慎重術師 作:コケ
俺も・・・ 何が何だか分からんのだ。
12月24日。
夏油傑が指定した会場に慎重祭事に参加する多くの術師が集まっていた。その数およそ30名。高専の生徒で出場するのは夏油直々に指名された乙骨と完全体になりかけている狗巻の2名。
この慎重祭事の表向きの開催理由は主に2つ。1つ目は術師の慎重力を上げること。2つ目は将来有望な人材を発掘すること。
ガシャーン!! と大きな音が会場に響き渡った。
「勝者、乙骨!!」
レフリーの声に会場がドッと盛り上がる。
「あ、危なかったー」
乙骨は無事に勝利することができてホッとひと息ついた。
今、彼らが行っているのはジェンガ。
ジェンガとは全54本のブロックを互い違いに組み上げられたブロックタワーの中から、片手で慎重に慎重にブロックを抜き取る。そこで注意が必要なのは両手で取ってはいけないこと。また、一番上に3本のっていない場合は、上から2段目のブロックを抜き取るのはなし。
抜き取ったブロックはタワーの1番上に乗せる。そのブロックを置いたら、次の人の番となる。
その過程でブロックを落としてしまったらその人が負け。
このジェンガは一見簡単そうに見えて、かなり難しい。そんなジェンガの勝利のカギは誰よりも慎重になること。ジェンガのブロックはそれぞれ微妙に大きさが異なるため抜けやすいブロック、抜けづらいブロックというのが存在する。それを見極め、慎重にブロックを抜き取っていく。これは相当な集中力、慎重力が問われるのだ。
「勝者、ラルゥ!!」
またもやレフリーの声により、会場が盛り上がる。
「よって、準決勝の対戦カードが決定しました!!」
選手、観戦者、レフリー、会場にいる全ての者が前にあるモニターを固唾を呑んで見守る。
乙骨vsラルゥ
狗巻vs夏油
モニターを見た観戦者はさらに盛り上がる。
「憂太ちゃん、負けないわよ!!」
上半身裸の男、ラルゥが乙骨の肩をポンと叩いて言う。
「ぼ、僕も負けません!」
乙骨とラルゥ。狗巻と夏油はそれぞれ位置についた。
「
レフリーの声により、試合が始まる。
狗巻と夏油の試合ではお互い、序盤という崩れる心配がない状態にも関わらず、1本抜くのにかなりの時間をかける。そして、1番上に置くときもゆっくりと慎重に置く。
対する乙骨とラルゥの試合ではラルゥが1本抜くのに時間をかけるが、乙骨はすぐに抜き取って、軽くブロックを置く。
そんな試合展開が続き、1時間程経ったところでガシャーン!! とジェンガが崩れ落ちる。
「し、勝者、乙骨!!」
準々決勝の時よりも盛り上がる会場。
「よ、良かった〜」
乙骨は緊張が解け、震えた声で胸を撫で下ろす。
「凄かったわ」
「ありがとうございます! ラルゥさんも凄かったです!」
乙骨とラルゥはお互いの健闘を讃え合い、握手をする。
しかし握手と同時にガッシャーン!!! と大きな音が会場に響いた。
乙骨はすぐに音がした方へ目を向ける。
「ぇ・・・・・・?」
乙骨は目の前の光景に声を失う。
そこにはジェンガの下敷きになった乙骨の友達である狗巻の姿があった。
「ゆうた・・・・・・」
狗巻は声を枯らしながら友の名を上げる。よく見ると喉仏にジェンガが突き刺さっている。
「狗巻君・・・・・・?」
「にげろ」
乙骨は、狗巻の自分ではなく相手を優先するその優しさに思わずーー
「来い!!! 里香!!!」
ーー特級過呪怨霊祈本里香を顕現させた。
祈本里香が乙骨の背後から現れ、床だけでなく、天井を突き破り、会場を崩壊させる。
これだけのことをしたら非術師にバレてしまって大惨事になる。しかし、そこのところは灰原という優秀な補助監督が強固な帳を下ろしているため問題ない。そして、夏油の3つ目の拠点地が破壊されたが、まだ5つあるため問題ない。
祈本里香の顕現により、夏油がニコニコしながら乙骨の前に現れる。
「君を倒す」
「ぶっ倒してやる」
2人の間には火花が飛び散り、辺りには張り詰めた空気が漂う。
「位置ニツイテ」
レフリーとなったミゲルが2人に声をかけ、冷静になり乙骨は狗巻に反転術式を使い、夏油と共にステージに立つ。
「
ミゲルの試合開始の挨拶により、先行の乙骨がブロックをすぐに抜き取る。それを見て夏油は問いかける。
「君はこんな言葉を聞いたことはあるかい? 『慎重を笑う者は慎重で泣く』と」
「そんな言葉ありません」
「いいや、あるよ。この『慎重辞典』に載っている」
夏油は分厚い国語辞典サイズの本を乙骨に見せる。
「何ですかそれ」
「これはね、優秀な信者が集結して作り上げた一冊さ。欲しいならあげるよ」
「そんなもの・・・・・・」
「いらないと言えるのかい?」
「い、いいから続きをしましょう」
「そうだね」
夏油は乙骨にそう言って思考を切りかえる。そして、どのブロックを抜いたらどこのブロックに負担がかかるのかを脳内で立体化する、いわゆる脳内ジェンガを始める。
夏油は慎重力を養うにはどうしたら良いか考え、未熟だった頃ーー否、今もなおジェンガを1人で、時には慎重ファミリーと共にやっている。
「ここだね」
夏油は脳内でジェンガが崩れなかったのを確認し、的確にブロックを抜き取る。
それに対して乙骨は直感ですぐに抜き取る。夏油はその光景を見て眉を顰め、すぐにジェンガへと思考をシフトする。
流石、決勝戦と言ったところか。もう既に1時間も経過していた。しかし、それはジェンガ素人が見た場合。ジェンガを極めし慎重者がこの試合を見れば口を揃えて何だあの体たらくは、と落胆する。乙骨は今この時はこの会場にいる誰よりもジェンガが下手だった。
それは何故か。その答えは慎重ではないからだ。乙骨はジェンガ経験がないのにも関わらず、決勝戦まで駒を進めることができていたために慢心していた。これが乙骨の慎重力低下の原因である。
そして、とうとうジェンガの崩壊の時がきた。
「あっ」
ガシャーン!! と大きな音を立てるジェンガ。
「私の勝ちだね」
「そ、そんな・・・」
「駄目じゃないか。そんな安易にブロックを抜き取っちゃ。簡単に崩れる。友達に教わらなかったかい?」
夏油はニヤニヤしながら負けた乙骨を煽る。
「ブロックは慎ーー」
「分かんないよ! 友達は基本、高専にしかいないから知らない!! オマエが正しいかどうかなんて僕には分かんない!!」
乙骨は夏油の言葉を遮り、心の内を叫ぶ。
「でも、僕は今日、色々な人を見た!! 皆が!! 皆!! 慎重になってた!! だから、僕も慎重になってオマエを倒す!!」
その言葉を聞き、夏油は口角を上げて言う。
「言うじゃないか。さあ、2回戦目だ」
そう、決勝戦は先に2勝した方の勝ち。つまり、まだ乙骨はチャンスがある。それと同時に次の試合に負けた場合、敗北が決してしまう。乙骨は絶体絶命の大ピンチであった。しかし、今の乙骨の目には絶対に負けないという強い意志が見られる。
「
ミゲルの試合開始の声で始まる。
2回戦目も乙骨が負けたので先行となる。しかし、1回戦目とは違い、1本抜き取るのにかなりの時間を使う。
「コレだ」
乙骨はブロックを1番上に置く。その時もブロックが1面全て接触したことを確認してから手を離す。
「やっぱりだ・・・」
夏油は乙骨の一連の動きを見て確信した、彼には才能があると。
そして、時間が流れる。その間、観戦者もレフリーも、そして、選手の2人も一言も喋らないし、音を立てない。ブロックを置くときでさえも一切、音が立たない。
乙骨がブロックを抜く。そこで少し揺れた。
夏油はすぐに脳内ジェンガを始める。そして、叩き出した通りにブロックを右手で抜き取ろうとするが、乙骨はここで声を発する。
「里香、アレをやる」
すると、ズズズと音を立て、乙骨の手には不思議な模様のメガホンが現れる。夏油は一旦、手を止めて乙骨が手に持っているメガホンを見る。
(『蛇の目』と『牙』あれはーー)
「狗巻家の呪印!!」
乙骨はメガホンを口元へ持っていき、
『落とせ』
夏油の右手が勝手に他のブロックへと伸びる。しかし、寸前のところで右手を左手で何とか押さえ込む。
「なんてことだ!!」
(勝つためにそこまでするのか!! 勝利への貪欲さ!! まるで師匠を見てるみたいだ!!)
「やっぱり難しいや」
メガホンが灰のようになって消えていく。
「呪力が拡散して狙いが定まらない。狗巻君は凄いなぁ・・・
そう、僕の友達は凄いんだ
それをオマエはオマエは、ジェンガで・・・」
「そんなことを言っといて乙骨。君は狗巻と違って傷を負ってないじゃないか。ノーリスクで呪言を使っといてよく言うよ」
「ぐちゃぐちゃにしてやる」
「グチャグチャニシタラ、駄目ダヨ。倒サナイヨウニシナイト」
レフリーであるミゲルが突っ込む。
一進一退。実力は拮抗していた。常に安定しているタワー。これは1回戦目とは大違いで、これまで幾度となく死闘を繰り広げてきた慎重者達でも固唾を呑んで見守るほどの熱い戦いだった。
しかし、ここで試合が動き出す。
「ま、まずい!」
乙骨がブロックを抜き取った瞬間、大きくグラグラと揺れ出す。細心の注意を払い、ブロックを置く。
「は、はぁ。助かった〜」
乙骨は安堵の声を漏らす。
そんな乙骨に対して夏油は焦らず、脳内ジェンガを始める。夏油はこの段階で5通りの抜き取っても大丈夫なブロックを見つけた。しかし、少しでも勝率を上げるため考える。
そして、夏油はブロックを抜き取る。
ブロックの揺れは乙骨のターンの時と変わらなかった。
「え・・・?」
乙骨は動揺する。もう自分は勝った気でいたからだ。
「これじゃ、狗巻と同じだ。君もあの無様な姿に成り果てるよ」
夏油は横たわっている狗巻を指しながら言う。
乙骨は友達の悪口を言われ、頭に血が昇る。拳は強く握られ、今すぐ殴りかかりそうになるが必死で抑える。
『憂太、憂太ぁ゛』
背後で見守っていた祈本里香が心配そうに声をかける。その声を聞いて乙骨は冷静さを取り戻す。
「里香」
乙骨は振り返り、祈本里香を抱きしめる。
『な゛ぁ゛に゛』
乙骨は友達の仇を取るため、決意する。
「今日、皆を見て色々分かったんだ。
ごめんね、僕が慎重じゃなかったばかりに。
でも、そんな僕をいつも守ってくれてありがとう。
僕を好きになってくれてありがとう。
最期にもう一度力を貸して。
コイツを止めたいんだ。
その後はもう何もいらないから。
僕の未来も心も体も全部里香にあげる。
これからは本当にずっと一緒だよ。
愛してるよ、里香。
一緒に逝こう」
乙骨は祈本里香の口元にチュッと口づけをする。
『あ゛っ・・・ あ゛ぁ゛・・・』
祈本里香はブルブルと震える。
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』
震えが激しくなっていき、思いっきり叫ぶ。
『憂太!!! 憂太っあ゛!!!
大大大大大大大大大大大大大、大好きだよぉ!!!』
(まさか、コレは!?)
夏油は目の前の信じられない光景に驚愕する。
「勝つためにそこまで・・・・・・」
乙骨は1本抜き取る。すると、グラグラと今日1番の揺れが起こり、倒れーー
ーーなかった。なんと祈本里香がタワーを軽く抑えていたのだ。
(いくら勝利に貪欲でもコレはないだろう!!)
「そうくるか!! 卑怯者の女誑しめ!!」
「失礼だな、僕たちは2人で1つ。純愛だよ」
(な、なんて屁理屈を・・・・・・!)
夏油はすぐさま脳内ジェンガを始める。脳内で組み立てられたジェンガをあらゆる角度から見て探る。どこを抜き取ればいいのか。どのように抜き取ればいいのか。どの力加減で抜けば倒れないのか、と長考する。しかし、どこをどう取っても崩れてしまう。夏油は久しぶりにジェンガで言い表せられない焦り、恐怖を覚える。
アレは夏油が慎重の極意を理解できていなかった頃。常にどうすれば慎重力を鍛えられるのか考えていた。そこで目をつけたのがジェンガだった。ジェンガは仮説、実験、そして考察。この3つのプロセスを繰り返すことで論理的思考力を鍛えることができる。この論理的思考力を鍛えることで慎重力も鍛えることができる。慎重になるということは簡単なことではない。何をすれば、どうなるのか。いつ、何を行えばいいのか。呪術師であるならば、相手はどんな術式を持っているのか、どんな術式が存在するのか。そして、その術式にどうやって対抗するのか。何通りも思考しなければならない。慎重とは一朝一夕でなれるものではない、奥の深いものである。その慎重力を鍛えることができるのがジェンガであった。
夏油は早速、ジェンガを3つ買った。勿論、スペアとスペアが無くなった時のスペアである。
しかし、始めたはいいものの、まだまだ慎重さが足りなく、常にジェンガはグラグラしていた。どこを抜き取っても倒れるという状況。それが、未来の自分を暗示しているのかと思い、それが堪らなく怖かった。そしてその記憶が今、脳内に溢れ出して脳内ジェンガを崩した。
「くっ・・・・・・! ならば、コチラは単騎だ!」
ブロックを抜くがーー
ガッシャーーーン!!!!
ーー崩れ落ちてしまった。
「か、勝ったよ里香ちゃん・・・・・・」
乙骨は2回戦目を勝利に収めた。それと同時に緊張が解けてジェンガのように崩れ落ちてしまった。
倒れてから30分程経ち、乙骨はようやく目を開ける。
「あ、れ・・・・・・?」
乙骨の周りには慎重祭事に参加した全てのメンバーが囲っていた。
「高菜!」
「狗巻君? あっ、ジェンガは!?」
「しゃけ」
狗巻は自身の包帯を巻いている首、喉仏辺りを指して笑って言う。
「起きたようだね」
夏油が教祖様フェイスで乙骨に話かける。
「夏油さん・・・」
「君の勝ちだよ」
「でも、僕はまだ1回しか・・・」
「乙骨君、それよりも大事なことがあるだろう?」
「え?」
『憂太』
乙骨は声がした方へ体を向けると、愛しの女の子が座っていた。
「ごめんね、里香ちゃん。待たせたね」
祈本里香の方へ歩みを進める。
「やはりか・・・」
夏油は納得したように呟く。
「高菜?」
狗巻の言葉を聞いて、乙骨は祈本里香の元へ向かっていた足を止め、振り返る。
「えーっと、力を貸してもらう代わりに里香ちゃんと同じ所に逝く約束をですね・・・」
「おかか!!」
「ごめん・・・」
乙骨が狗巻に謝った瞬間、背後から妙な気配を感じ取り、後ろ向く。すると、祈本里香の身体が突如ボロボロと崩れ始め、異形の肉体が朽ち果てていく。
「え・・・?」
そんな祈本里香の異変に気付いた乙骨が慌てて彼女に駆け寄ると、さらに形を崩し、そこから一人の少女が現れた。その少女はかつて結婚を誓い合った愛しの彼女の外見そのものだった。
「里香ちゃん?」
周りの人間は『え?』と困惑する。
すると、背後からパチパチと拍手の音が聞こえ、そこから白髪で海よりも綺麗な瞳を持ったイケメンが現れた。
「おめでとう、憂太。解呪達成だね」
突如現れた謎の人物に周りの人間は揃って『誰?』といった反応を見せる中、ラルゥは『あら、イケメン・・・』と恍惚とした表情を見せる。
「おや、悟」
「そうだよ、グッドルッキングガイ、五条悟だよ!」
「え? 五条先生!?」
乙骨はいつもの包帯を巻いていない五条の顔に驚く。
「傑もありがとうね」
「望みは薄かったけどね。まあ、代案は後3つあったからできないことはなかっただろうけど」
「え、えっと・・・・・・」
五条は困惑している乙骨に告げる。
「以前、憂太が立てた仮説。面白いと思ってね。家系の調査を依頼した。里香の方は随分昔に終了してたけど、憂太の方はザルもいいとこだったからね。それで判明したんだけど」
嬉しそうに笑いながら自分の顔の横でピースマークを作りながら乙骨に告げる。
「君、菅原道真の子孫だった。超遠縁だけど、僕の親戚!!」
「え? 誰?」
「日本三大怨霊の一人だよ」
「ツナ」
夏油は誰か分かっていない乙骨に教え、狗巻はそれに同調する。
「憂太が正しかった。里香が君に呪いをかけたんじゃない。憂太が里香に呪いをかけたんだ」
「ッ!」
(そうだ、僕はあの時里香ちゃんの死を拒んだ)
「呪いをかけた側が主従制約を破棄し、かけられた側も君に罰を与えようとしていない。なら、解呪は完了。直接教えてあげても良かったんだけど、それでは憂太のためにならない。だから、前に傑に相談したんだよ。ま、こんなことをするとは思わなかったけど」
「こんなこととは失礼だね」
乙骨は五条の言葉を聞くと、涙が溢れ出る。
「僕のせいじゃないか。里香ちゃんをあんな姿にして、たくさんの人を傷つけて。そもそも僕が慎重だったら・・・僕はなんであの時・・・・・・」
乙骨の視界は涙でボヤけ、頭を抱える。
「全部っ・・・! 全部僕が・・・・・・!!」
自身の過ちを責める乙骨を祈本の小さな体が包み込む。
「憂太、ありがとう。時間もくれて、ずっと側に置いてくれて。里香はこの6年が生きてる時より幸せだったよ」
乙骨はその言葉を聞き、顔を上げる。
「バイバイ、元気でね」
祈本は自身の手を乙骨の頬に添え、最後に笑顔で言う。
「自分ばっかり責めないでね。私も慎重じゃなかったのがいけなかったから。これから頑張ろう」
「・・・うん。またね」
乙骨がそう言うと、祈本の体は光の粒子となり天へ昇っていく。それを見届けて、袖で涙を拭いながら立ち上がる。
「ねぇ、憂太ちゃん」
「何ですか、ラルゥさん?」
「高専にしか友達いないって言ってたじゃない? 少なくとも私達は友達だと思ってるわよ」
「え?」
「同ジ場デ、ジェンガヲシタラ、ミンナ友達デショ?」
「ぼ、僕は・・・・・・! 誰かと関わりたい。誰かに必要とされて・・・・・・ 生きてていいって、自信が欲しくて・・・・・・!」
乙骨は自分の気持ちを吐露する。
「皆、憂太ちゃんを必要としてる。だって友達なんだから」
ラルゥは乙骨の手を優しく握って、優しく伝える。
「だから、私達も憂太ちゃんに必要とされたい」
「オタガイサマデショ?」
「しゃけ!」
そんな言葉に周りの皆は大きく頷く。
「皆・・・・・・」
乙骨は会場が崩壊して冷たい風にさらされているにも関わらず、不思議と温かい空気に包まれ、その温かさで目から汗が流れる。
「ぼ、僕は・・・・・・」
喋りたいが、上手く声が出ない。
声に出して伝えたい。
今の気持ち、覚悟を。
自分がこれからどうするのかを。
乙骨は深呼吸をして今ある様々な感情を1つにまとめ、落ち着かせる。
そして、自分の恩師に声をかける。
「五条先生」
「うん?」
「僕は呪術高専で慎重になります」
乙骨は満面の笑みで、そう言った。
は?何書いてんの?(ガチギレ)
次回から原作突入。ここからの展開は現時点で9割くらい決まってる。まあ、頑張ります。