慎重術師 作:コケ
竜宮院聖哉の朝は早い。5時に起き、まず身の回りを確認する。何か盗まれていないか確認するのが毎朝やる事の中で1番大切なことである。竜宮院聖哉はドア、窓に3つずつの鍵を取り付けている。そのドア、窓を寝る前に念入りに確認をして寝る。
そして、ドアと窓の確認が済むとパソコンの電源をつけ、50桁もあるパスワードを入力し、部屋に設置してある防犯カメラの映像を隅から隅まで見る。竜宮院の部屋には防犯カメラが3台設置してある。そして、壊れた用に予備のカメラが5台を補充している。
しかし、これだけやっても竜宮院は心もとない。なので、5種類の盗聴器発見器を使い、盗聴器がないかを調べる。
確認が終わると顔を洗い、歯を磨く。
そのあと、体温を測る。勿論、1回の検温では不安がある。だから、2本目の体温計を取り出し測る。その体温計で測り終わったあと、3本目でまた測る。1本の体温計だけでは壊れている可能性があるため3本の体温計を使わないと危なくて快適な1日を過ごすことができない。
計量カップを手に取り、蛇口を捻り、水を注ぐ。200mlまで注ぎ、蛇口を閉める。竜宮院は水中毒を防ぐために、水を飲む際、計量カップで水の量を量る。
水中毒とは、多飲症の結果により生じる発作性の病態。過剰な水分摂取により、中毒症状を起こし、低ナトリウム血症を引き起こした状態のことを言う。主な症状としては、めまいや頭痛、多尿、頻尿、下痢などの症状があげられる。
正直、竜宮院の飲む水の量では水中毒なんて起こらないが、人生何が起こるか分からない。だから、細心の注意を払って飲む。
軽食を取り、部屋にある金庫へと向かう。そして、番号を打ち鍵を開ける。すると、金庫の中には一回り小さい金庫が中に入っている。番号は違うが同じように鍵を開けると、またもや金庫が入っている。その3つめの金庫を開けるとようやくお目当ての物が姿を現す。それは2台の携帯と財布である。竜宮院は携帯を3台同時に契約をしている。その内の2台は盗まれないように金庫へ閉まっている。携帯と財布が入っていることを確認し、鍵を閉めていく。
確認が終わると竜宮院は外へ出てランニングをする。外へ出る際、3個の鍵がちゃんと閉まっているかドアを30回ガチャガチャと引いては押してを繰り返し、完全に閉まっていることを確認する。
そして10キロのランニングをする。体力づくりは健康な体を作るために必要なことである。それに、体力が無ければ外で急に刃物を持った男が追いかけてきた時逃げ切れなくなってしまう。
ランニングを終え、寮へ戻る。部屋に入ったあともしっかり鍵が閉まってないかを何度も確認する。
確認を終え、シャワーを浴びる。皮膚を傷つけないよう丁寧に洗う。皮膚を傷つけ、その傷から菌が入って最悪その部位を切り落とさないといけなくなってしまうからだ。
体を洗い終え、朝食を取る。朝食は竜宮院、自らの手で作る。竜宮院は過去にある飲食店が麻薬の中毒性を利用して売上げを上げるというニュースを見たため、外食は一切しなくなった。どうしても食べないといけない場面では必ず近くの人に食べさせるか、作っている所を間近で見てからではないと口にしない。
竜宮院は朝食を作り終えると、庵に連絡を入れ、朝食の一部を持って部屋を出る。連絡を入れる際、間違って他の人に送ってないかを何回も確認してから送る。部屋を出て庵の元へ向かう。
「聖哉、おはよう」
「うむ。さっさとこれを食え」
竜宮院聖哉は毎日のように作った朝食を庵に食べさせる。庵が任務でいない場合は担任の戸田や他の学年の担任である夜蛾に食べさせる。
「あら、ありがとう」
そして、庵は食べ、口を開く。
「相変わらず美味しいわね」
「即効性の毒はないか。もう少し様子を・・・」
竜宮院は顎に手を当てて言う。毎回こういう風に必ず他の人に毒味をさせる。いくら自分が作ったものでも、使った食材は自分が作ったものではない。本当は自給自足をしたいが、生憎そんな時間はない。過去に何度か心配から人参やきゅうりなどを水洗いする際、心配すぎて何回も擦って洗ったため摩擦で食材そのものが消えてしまったことがあるくらいだ。
「あんたも懲りずによくやるわね。いくらなんでも疑いすぎじゃない?」
「何かがあってからでは遅い。少しでも可能性を潰すのが大切だ」
「だからって毒味をさせるのって・・・・・・ まぁ、美味しいから良いんだけど」
「じゃあ、また授業で」
そう言って竜宮院は自室へと戻る。
竜宮院は朝食を食べ終わると授業が始まるまでの時間予習をする。いや、もうすでに自分で学んだところなので復習をする。
そして、いつものように授業を行う。その授業では先生にいくつもの質問をする。その中のほとんどは竜宮院が既に知っているものであるが、誤認していはまずいのでひたすら質問をする。因みに、授業が終わったあとの先生の喉はカラカラで声が出なくなる。
授業を受け終わったあとは教室で復習をする。それが終わると一旦荷物を片付けるため自室に戻る。庵は任務のため授業が終わってからすぐに出ていってしまった。
荷物を置いたら、ある確認をしてから修行相手を探す。
「おい、戸田。手合わせしろ」
竜宮院はベンチの下に隠れている担任の戸田に声をかける。
「ひっ!?」
戸田は何ものかに見つからないように声を出さずに隠れていたが、急に声を上げられて驚きのあまり、声が漏れてしまった。
「な、何故ここに!? しっかり隠れてたはずなのに!?」
「そんなことは今どうでもいいだろう?」
「は、はい! り、竜宮院さん! で、でも! これから任務なので、も、ももも申し訳ありませんがーー」
「任務なんて無いだろう先程確認してきた。嘘を吐く暇があるなら付き合え」
「は、はい!! す、すみませんでした! ぜ、是非ともお願いします!!」
担任の戸田は過去に竜宮院の手合わせに付き合った時、ボッコボッコのフルボッコにされた。最初は戸田が教える形でいたが、何度も戸田をと手合わせをしていくうちに竜宮院が一方的に殴るだけになってしまった。成長とは恐ろしいものである。それからと言うものの戸田は竜宮院という名を聞くだけで怯えるようになってしまった。
そして、竜宮院は手合わせという名の虐待を行う。馬乗りになり右から左へ、左から右へと何発も頬を拳で貫く。戸田の意識が飛ぶまで殴り続ける。
「あと少しで任務に行けそうだ」
竜宮院は高専に来てから3ヶ月経ったが未だに任務に行ったことがない。何度も任務に行くように言われているが、『修行の邪魔をするな』と言い放ち任務をスルーしている。絶対に行かない。行かないったら行かない。任務を受けるには絶対に負けない力と準備が必要である。だから、竜宮院は任務を受けない。普通は高専の者であるならば任務の拒否はできないがこの男は頑固であり、受けることをしない。しかし、十分強くなり、呪具も揃えたためそろそろ任務にいこうと考え始めた。
「あと1週間だな」
竜宮院は雲一つない空を見上げ、呟く。
竜宮院は自室に戻り、筋トレを開始する。まだ体をいじめ足りない。腹筋、背筋、腕立て、スクワットを500回ずつ行う。本当のところ、まだ続けたいのだが時間が許してくれない。
風呂を終えると夕食を作る。そして、いつものように毒味をしてもらう。今は庵が任務のため、外に転がっている戸田の口の中へ料理をつっこむ。安全を確認すると自室へ戻り、食す。
寝るまでの残りの時間は呪力操作をより精密に行うためのトレーニングと呪具の研究を行う。
時刻が23時を回り、呪力トレーニングと呪具の研究を終える。
最後に、侵入されないように戸締りを念入りにし、5つの目覚まし時計をセットして竜宮院は眠りについた。