少女、伝説と出会う   作:彦星七

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教えてコチヨ先生①

 お昼時の教室。

 

「ねえ、コチヨ。ちょっと教えて欲しいんだけど」

 

 お弁当を食べながらコチヨに質問をする。

 

「ポケモンのアイテムってたくさんあるけど、コチヨはどれぐらい持ってるの?」

 

 駆け出しポケモントレーナーの私には、どのアイテムを用意するべきなのかがよくわかっていなかった。

 もちろん私も自分なりに考えてはいるけども、考えれば考えるほど、あれやこれやと増えてしまっていた。

 

 例えばコチヨとポケモンバトルをしたとする。

 それで伯爵が、ガーちゃんから「ほのおのキバ」の攻撃を受けたとする。その時にやけどを負ってしまったら、伯爵の怪我を治すためにはきずぐすりとやけどなおしが必要になる……といった感じだ。

 だけど欲しいアイテムに比べて、お小遣いは限りがある。だから何のアイテムを持っておけば良いのか、私は密かに気になっていたのだ。

 

「うーん……私も必要になってから買ったりするからあんまり意識したことはなかったな」

 

 コチヨが軽く首を捻りながらそう言った。

「言われてみれば確かに気になるかも……」といった感じだった。

 

「でも最初は難しいよね」

「そうなの、伯爵に必要なアイテムは用意してあげたいし……」

 

 そう「難しいね」と私が言った時だった。

 

「じゃあ一緒に行こうよ、タマムシデパート。私がアドバイスしてあげる」

 

 コチヨが提案してくれた。

 

 〇〇〇

 

 タマムシシティの中心部にはカントー地方最大のデパート「タマムシデパート」がある。豊富な商品を取り扱っているのはもちろんで、何よりもまずその大きさに圧倒されてしまう。

 生まれてこのかたタマムシシティで暮らしてきた私でさえ、ここに入るのはいまだに緊張してしまう。

 

「スイちゃんとデパートに来れる日がついに来たんだね!」

 

 コチヨは嬉しそうだった。

 それもそのはずで、タマムシデパートにはブランド品・衣服や食品以外に、ポケモントレーナー向けのアイテムを取り扱ったスペースが1フロア分ある。広さだけではなく、取り扱っているのも一級品のアイテムだ。

 ポケモントレーナーで心躍らない人はいないだろう。

 

 これまでもコチヨは私とここに来たがっていた。だけど私がポケモントレーナーじゃなかったから、実際に来たことはなかった。

 

 でも今は私もポケモントレーナー。

 2人で仲良く自動ドアをくぐった。

 

「わぁあ、すごい!」

 

 たどり着いたポケモントレーナー用のコーナーは圧巻だった。

 たくさんのアイテムが綺麗に並べられており、きずぐすり1つでさえ輝いて見える。

 私はその中の1つに手を伸ばした。

 

「えっ。このかいふくのくすりって、きずぐすりとなんでもなおしがセットになってるってこと?」

 

 私が手に取ったのは黄色いケースに入った緑色に透き通る薬だった。その説明文だけ見るとまさに万能薬で、私が初めて見るようなものだった。

 

「そうだけど、1つ3,000円でちょっと勇気がいる値段なんだよね」

 

 横からコチヨに言われて私は値札を見た。確かに3,000円になっている。

 魅力的なアイテムだけど、高校生にとって1つ3,000円はかなりの冒険になってしまう。

 名残惜しくも、私はかいふくのくすりを棚に戻した。

 

 だけどかいふくのくすり以外にも珍しいものは沢山あった。

 次に目についたのは水色のカプセルみたいなものだった。

 

「ねぇ、このスピーダーってどんなもの? 足が速くなるの?」

「バトルで1回だけ、使ったポケモンが素早くなるんだよ。でもバトルが終わったり、ポケモンチェンジしたら効果は切れちゃうの」

 

 どうやらポケモン1匹のスピードを大きく上げるアイテムらしい。ただ説明を受けても、私にはそのアイテムのベストな使い所がいまいちわからなかった。

 

「私にはこのスピーダーはまだ早いかな……」

「でも意外に、スピーダーが必要になる時がすぐ来るかもしれないよ〜」

 

 コチヨは私に揺さぶりをかけるようにそう言った。

 でもそんな彼女は笑顔だった。今回は私の買い物だけど、それでもコチヨは楽しいらしい。

 

「コチヨ、健康ドリンク売ってる!」

 

 次に私が目にしたのは、業務用冷蔵庫に入れられた健康ドリンクのようなものだった。

 私が手に取ったものには、タウリンと名前が書かれている。

 

「これは人間も飲めるけど、ポケモン用だよ。ものによって効果が違うんだ」

 

 そう言いながら、コチヨは私と別のものを取った。

 

「スイちゃんの伯爵さんなら、こっちの方がいいんじゃないかな」

 

 コチヨが手に取ったのは、リゾチウムというものだった。

 なんでもタウリンは物理的な攻撃力を上げるためのドリンクのようで、コチヨが選んだリゾチウムは特殊攻撃を上昇させるらしい。

 確かに、伯爵はサイコキネシスや仮面レーザーのような特殊攻撃を得意としていることは、私もなんとなくわかっていた。

 

「うぇ……でもこれ1個10,000円なんだ」

 

 私は思わず値札を見て、固まってしまった。私が飲むような健康ドリンクの値段の比べても破格の値段だ。

 

「うーん……どうしようかな」

 

 リゾチウムを握ったまま私は暫く動けなかった。

 そんな私の姿が変だったのか、コチヨはくすくすと笑っていた。

 

 だけどポケモンのアイテムは回復アイテムやサポートアイテムだけじゃない。

 

「スイちゃん、見てみて! 色んなボールがあるよ」

 

 案内された先にあったのはモンスターボールコーナーだった。色々な種類のモンスターボールが綺麗に陳列されている。

 もちろん私が知らないボールもたくさんあった。

 

「コチヨ、このボールすごい豪華なんだけど!」

 

 私の目の前にあるのは、黒色をベースに、金色と赤色の帯がついたデザインのボールだった。見るだけでテンションが上がるようなボールだ。

 

「これはゴージャスボールだね。私達にはわからないけど、このボールはポケモンにとってすっごく快適なんだって!」

 

 コチヨが説明してくれる。

 確かにゴージャスボールという名前に違わぬゴージャスさだった。

 

 私もいつかこんなボールが似合うポケモントレーナーになりたいな。

 

 〇〇〇

 

 買い物が終わった後、私とコチヨは屋上の休憩スペースでカフェオレを飲んでいた。

 

「どう、伯爵。美味しい?」

 

 ペットボトルのカフェオレを飲む私達の横で、伯爵はリゾチウムを飲んでいた。それは私が悩み悩んで10,000円で購入したものだった。

 伯爵はサイコキネシスで瓶を浮かせながら、器用に飲んでいた。

 

「ギャーオ!!」

 

 伯爵は飲み終わると「プハーッ!」って感じに声を上げた。お風呂上がりに飲むコーヒー牛乳のような感じだった。

 

「伯爵、おじさんみたいじゃん」

 

 伯爵の飲みっぷりに思わず笑った。横でコチヨもつられて笑っていた。

 伯爵の様子を見ても、奮発してリゾチウムを買ったのは間違いじゃなかったと思う。

 もちろん購入したのはリゾチウムだけじゃない。

 膨らんだ買い物袋を見るだけで、思わず笑みがこぼれた。

 そしてこんなに有意義な買い物は私だけじゃできなかっただろう。

 

「コチヨ、今日は私の買い物に付き合ってくれてありがとう!」

「ううん、私も楽しかったからお互い様だよ」

 

 2人で並んで夕陽を見つめながら、カフェオレを楽しんだ。

 




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『第5話 教えてコチヨ先生①
 スイカ
 手持ち:フリーザー(ガラルのすがた)』

 スイカはレポートにしっかり書き残した!
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