背信の陰陽師   作:もやしナムル

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かなり時が飛びました。


少年は青年に

 

 

 

ーーその日、ある事件が一斉に報道されると世間は瞬く間に騒然とした。

 

 

『千年続く神職一族滅亡!警察は未だ原因を掴めず!』

 

『当主を残し、里の住民一夜にして謎の不審死!』

 

『代々ヒーローを勤めあげた一族を襲った悲劇!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日から中学にあがる緑谷出久。そんな彼は朝食を食べながら朝のニュース番組を見ていた。

 

 

[ーーーという訳で依然警察は事件性の有無を調査中とのこと。土御門一族といえば代々当主からヒーローを輩出している名門ですよね。この事件は今最も注目されている訳ですが、ここで個性研究評論家の(がわ)武さんにお話を伺いたいと思います。側さん。]

 

 

[はい。この個性社会では多数の個性が確認されていますが、一夜にして住民七十九名の命を奪う、そんな個性は些か信じ難いですな。しかも私の掴んだ情報筋によると無くなった住民たちは病死のような症状だったと。…ウイルスと言われた方が納得ですよ。そして未だにはっきり公表しない警察……そもそも昨今の警察はヒーローに任せ切りでーーーーー]

 

 

 

話が脱線して警察批判になっている評論家に苦笑いしているニュースキャスター。朝の番組では見慣れた光景だった。

 

 

「出久ーーー!そろそろ食べ終わりなさいー!」

 

母の声でリビングの時計を確認すると家を出る予定の10分前だった。そう、彼は学んでいる。幼馴染の爆破少年の朝は特に機嫌が悪い。だから通学途中は会わないように早めに出ることにしているのだ。

 

残った味噌汁を掻き込み慌ててテレビを消して席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー同時刻。三人のヒーローが警察の会議室に集められていた。皆一様に厳しい表情をしながら室内の前方に立っている一人の警察に注視している。

 

 

 

 

円卓の様な机の右側にはフレイムヒーロー、エンデヴァー。

反対側には抹消ヒーロー、イレイザーヘッド。

そして奥の正面に座るのはナチュラルボーンヒーロー、オールマイト。

 

 

「皆さん、急のお呼びかけに応えて頂き感謝します。政府特別事案捜査課係長、木天蓼(またたび)猫耳(みょうじ)です。にゃん。」

 

 

三人のプロヒーローの前で司会をしているこの男こそ、今回のメンバーを招集した者であった。

 

 

「今、世間を騒がている土御門一族の不審死。被疑者は既に分かっています。…あ、にゃん。」

 

 

 

「ならばなぜすぐに逮捕しない!」

 

エンデヴァーが今にも立ち上がろうとするとそこに木天蓼(またたび)が意を得たりという表情をしながら手元の機械を操作しモニターをおろした。

 

「まず、この被疑者は特大ヴィランと分類させて頂きます。一夜にして七十九名を殺害したことからも容易に想像出来ると思います。そしてこれは超極秘逮捕となります。表だってこの事件は謎の病死として片付けますので逮捕には三人という少数精鋭かつ、緘口令を敷かせて頂きます。にゃん。」

 

 

 

「おいおい、穏やかじゃないな!」

 

「……なるほど。それで俺が呼ばれた訳ですね。」

 

「フン。……どうにもきな臭い話だ」

 

 

オールマイト、イレイザーヘッド、エンデヴァーがそれぞれ聞く体勢になったのを確認した木天蓼(またたび)がモニターに画像を写す。

 

 

 

 

表示されたのは端正な顔をした左目に五芒星が輝いている黒髪の青年だった。

 

 

 

 

 

 

 

土御門 清明 (25)

 

前名 土御門 アザミ

 

45代目当主

 

ー家族構成ー

 

母 24年前他界

父 15年前他界

 

 

79名を呪殺。事件後、○○署にて事情聴取を行うも事件性なしと判断しそのまま本邸へ帰宅。

 

 

その後ヒーロー活動を休止し、昨日まで本邸のはなれに居る模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ってください。彼には会ったことがあります。本当に彼なんですか?それに呪殺ってなんですか!?」

 

「イレイザーさん。これからお話します。なぜ僕が、政府の揉み消し屋と揶揄される僕達が出てきたか。これから土御門の『個性』そして成り立ち。代々黙されてきた裏の仕事についてお話します。にゃん」

 

 

イレイザーが驚愕する中、或いは、と少し予想はしていたのか二人はそのまま黙って聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

それから木天蓼(またたび)に語られたことは充分に三人を憂鬱にさせていた。

 

 

 

政府の特に裏側に携わっている者にしか知られていない真実。土御門代々の汚れ仕事。『式鬼卸』について。その後の兄弟の扱い。公的な記録は抹消されているが青年に姉がいた事。

 

 

 

 

 

「holy sit!あんまりにもひどすぎる!」

オールマイトは唇を噛み締め血が流れんばかりに拳を握り。

 

「要は姉の復讐か?」

エンデヴァーは厳しい表情をしつつも正面を見据え、納得したように。

 

「…しかし分からない。なぜ15年経った今なんでしょう。」

イレイザーヘッドは自分の知る青年の心情を理解しようと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーそれでは本日二十三時、土御門邸にて捕獲、及び護送を実行します。それまで各自準備をお願いします。くれぐれも内密に。……あ、にゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして長かった昼は終わった。

 

 

 






側 武 : ガワだけ。ニワカさん。もう出てこない。

緑谷 出久 : 原作の主人公。もう出てこない。

緑谷ママ : 声だけ登場。もう(以下略)
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