母なる海に抱かれて   作:どうしてこうなった?

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(注)原作のネタバレあります!
アニメのみ視聴されてる方はご注意ください m(_ _"m)


残ったモノ

ピロン♪ 

 

部屋に初期設定の音が聞こえて再起動を果たす

 

入れていたアプリの更新がされたようだ

そこにあるのはひび割れた初期設定のままのホーム画面

 

いつまで画面を見つめていたのだろう 

数瞬?それとも数分?若しくは一時間以上見つめてたのか

 

足元が覚束ない、時間の感覚がない、時間が見えているのに計算出来ないほど思考が乱れている。

 

こういう時は何も考えずに眠ってしまうのがいいんだが…

 

「くそっ!」

 

無理やり目を閉じて眠ろうとしたが脳裏に浮かぶのは

倒れたあの男、紅く濡れた手、必死に叫んでいるイチゴ

 

…とてもじゃないが眠れる気がしない

 

「はぁ…」

眼が冴えてしまった俺は荷ほどき再開した。

 

「捨てたと思ってたんだけどな」

布団や電気ケトルなど一人暮らしの必需品を粗方取り出し整理した後、細々したものを出していたときに見つけたマフラー。

付き合っていた頃あかねが編んでくれたモノだ。

あの時はただのビジネスカップルだというのにアカネは尽くしてくれた…本当に俺なんかには勿体ない女性だったな

 

「今何をしてるんだろうな」

ふと口の端から言葉(弱さ)が零れる

 

 

あかねは今や月9のドラマや映画の主演として引っ張りだこで相当忙しくしている

アイの持っていた輝きを纏うことで俳優だけでなくマルチタレントへ成長し自分の番組を持ってるほど

もう十分芸能界で通用するというのにそれに満足せず大女優としての階段を上り続けているのだ

彼氏でもない俺がそんなあかねの心配をするなどもはや烏滸がましいとさえ言える。

 

「でも不思議とルビーと気が合うのか、よく一緒にいたんだよな」

 

遅咲きだったがルビーも今アイドルとしてのブレイクしてB小町旋風を巻き起こした

あの映画から俳優としても声を掛けられることが増えていたが、きっぱりと断ってアイドル一本でやっている。

映画で上昇した知名度に以前より光を増した輝きに焼かれて今のB小町は国民的な知名度・人気を誇るアイドルグループとなった

今は‥新しく加入したメンバーと共に全国ツアーで各地を回っているんだったか

 

彼女たちのニュースが流れてくるたびに少しだけだが救われている気がする

そんな今を輝く売れっ子たちへ俺が心配することなど何もない

 

「でも二人が忙しくて助かった。ルビーは兎も角アカネに動かれると困ったことになるだろうしな」

 

アカネの調査能力は復讐の手段として利用していた俺(アカネと付き合っていた彼氏)が一番知っている。

ネットで挙げられている情報だけでアイの性格・生い立ち・嘘(アクアの秘密)すべてを暴き模倣するあの異能と呼ぶべき才

あれを行使されたのなら堪らない…正直今でも怖くないといえば嘘になるが

 

「あかねの調査・プロファイリングには対象のかなりの量の情報が必要、つまり時間が必要だ」

 

プロファイリングのプロ

対象の性格はもちろん行動まで明らかに出来るアカネとはいえ無尽蔵にそれが出来る訳じゃない。

調査するには手間も時間も掛かれば根気も要る。あれだけ映画やテレビで引っ張りだこなんだ貴重な休みを使ってやるかと言われると否だ

 

仲良くなっていたルビーにどうしてもと頼まれたのなら手伝うこともあるかもしれないが…

ルビーは今全国ツアーの準備で忙しい、みやこさんも苺プロ初の大型ツアーに張り切っている。あかねは出演作品が多すぎてそんな時間は取れない

 

「まっあれだけ酷い別れ方してそれ後も散々迷惑を掛けた元カレのことなんて触れたくもないだろ」

 

 

そう事務所は初の全国ツアーで慌ただしく、有馬カナも引退後の進路の為に色々と顔を出して事務所に帰らないことも増えた

アクアが出奔なら今がチャンスだったのだ

 

医大受験を名目に仕事を絞り番組を降りていたことも大きかった。

全てが終わった後に本気で受験勉強に打ち込んだ結果、見事に理科3類に合格している。

 

 

「あいつらには悪いことをしたな」

 

結果発表の日にみんなで集まってお祝いしてくれたしな。いつものB小町メンバーだけでなく多忙を極めているあかねまで直接事務所に来てくれてお祝いしてくれた。

 

「おめでとうアクアくん! これで一緒に大学に通えるね♪」

 

そう、なんとあかねは東大へ通っている

付き合い始めた頃聞いたときは文芸部を受けようかなと言っていた気もするが、何か心変わりがあったのかもしれない。

 

まぁあかねは元から偏差値高かったし、入ろうと思えばどこでも入れたんだろうが。

その上料理の腕も一級品というのだから恐れ入る。最近は裁縫に嵌ってぬいぐるみや服なども作れるようになったと言っていたし、コミュ力や対応力もグングン伸びていて恋リアをやっていたときのあかねとは雲泥の差がある。小気味よいリズムと音質で話していて楽しいし、咄嗟に話を振っても話を合わせてくれる。夜の方でも理解があるし役者ということもあってバリエーションも多く…有馬が出てきたときには心臓が止まるかと思ったが…

 

まだ語りたいことはあるが俺に言えることは一つ。

 

 

「あかねと付き合える男はさぞ幸せ者に違いない」

 

 

 

「はぁ…」

 

今は午前2時PCのインストールだけしてあとは明日、いや今日か。

汗をかいたのでシャワーを浴びてからベットで寝転がった。

 

そのまま眠たくなるまでスマホで暇を潰しているとでかでかとあかねとルビーが一緒に写ってる見出しがあった。

聞いたことある漫画の舞台をダブルキャストで出演が決まったらしい

 

「さすがだな」

 

その写真を眺めてるとさっきまで感じていた不安や焦燥感が和らいでいく

なにか大きなモノに見守られている安心感すら感じるほどだ。

 

そのまま眠気に襲われて俺はタオルケットを引っかけて目を閉じる

今度は目を瞑っても悪夢を見ずに済みそうだった

 

 




序章が長い…
とりあえず一週間以内には序章は終わりにしたいです

あとアクたん勝手に動き回った挙句「俺が悪いんだよ…」って銃フェラし始めるのやめて()
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