フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く 1alternative   作:タラバ554

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何か日刊ランキングに乗ってた様で・・・ありがとうございます。


11 スタンス

おじさんのLvに顎が外れそうな二人を見ながら考えを巡らせる。

一応冒険者には成る路線にするとして……、でもLv6目指すとなると結構潜らないと厳しいんだよな。

経験値稼ぎなら深層にテレポートしてガンガンやるのが良いだろうけどソロだとめんどい……。

防御面は良いけど攻撃面でおじさんって火力不足なんだよな。スキル的にタンク系だし。

 

「ま、冒険者になるとしてももう少し先かな」

「その心は?」

「直近の問題じゃないし、俺にも()()があるからさ」

 

二人が『あぁ』という顔をする。

 

「ん-、何か色々考えて頭使ったから少しボケーっと映画見てスッキリしてぇな」

「おぉ、映画か! 今度はダンスの映画が見たいゾ!」

「あー、ダンスが主体の映画だと何かあったっけか……『バーレスク』これにすっか。ちと古い……いや制作は未来だけど。まぁいっか」

 

ぼけーっと映画を見ながら先の事を考える。

学業、仕事、生活、家族。地球と異世界。旅行にスタント。

色々浮かんでは消えていく考えをメモっていたら映画が終わってしまった。

二人はダンス主体の映画だったのが良かったのか満足したが、ガネーシャがダンスのお祭りを開きたいとか言い出したて喚くので今度その手の資料を持ってくる事を約束してサラスヴァティーファミリアのホームから退散する事に。

適当にブラついてみる。

路地裏を歩いて進んでりゃ足はついヘスティアファミリアの廃教会へ。

 

「……やっぱ誰もおらんか……」

 

がらんとした廃教会。地下への階段を下りて扉を開き中を見ても……がらんとした石造りの部屋が広がるだけで中には何もない。

床にはホコリが薄っすらと積もっているので人が居なかったのが分かる。

小さく溜息を零してから簡単に掃き掃除をして【トラベラー】で布団を取り出す。

何とも言えない寂しさを感じながら眠りに落ちた。

 

 

 

翌朝、教会から出て朝日を浴びながら路地を歩く。

若干の懐かしさを思い出しながらバベルへ続く道ではなく商業区画へ向けての道を行く。

冒険者に成る前に通った道、角を曲がり人通りのある道へ出る。少し歩けばヘスティアちゃんと一緒に屋台をやったお店。

当然の様に屋台があり……お店のおばちゃんが切り盛りをしている。

寂しさと納得を感じながら路地を曲がる。

 

ヘファイストスファミリアのホーム、豊穣の女主人、タケミカヅチファミリア、ソーマファミリア、歓楽街。

 

ヘスティアファミリアの初期を構成する人物の足取りを探して歩いてみたが、肝心の人物は見当たらず、ソーマファミリアに至ってはファミリア自体が無い。

自分の知ってる状態からの相違に喪失感を感じながらバベルの一階で流れる人並みをぼけーっと見る。

朝から端のベンチに座り人を眺めて居たおじさんを不思議に思ったのかギルド職員が声を掛けて来た。

 

「あの~」

「はい?」

 

何も考えていなかったので思わず反応して返事を返した先に居たのは、かつてベル君の担当をしていたエイナ・チュールがこちらを心配そうに佇んでいた。

 

 

 

話を聞けば日中から冒険者を眺める若い男がずっと居るという状態が珍しかったのかギルドに報告が上がって、ソレを小耳に挟んだ彼女、エイナは態々昼休みにバベルにまで足を運んだ……という事らしい。

 

「なんか態々すんません」

「ううん、良いのよ。それより午前中ずっと冒険者を見てたらしいけど……誰か探しているの?」

「あ~、いや。多分居ない……のかな?」

「そうなの?」

 

首を傾げながら此方を覗きこむハーフエルフ。成程、一部冒険者から人気があるのはこういう仕草からくるのか、等と考えながら考え無しに反射で応えていく。

 

「まぁ何というか、探し人の痕跡が見当たらないから……『此処ならもしかしたら』なんて思ってたけど。そもそも拠点に居ないんだから居る訳無いなって」

「……そう」

 

暗い表情で顔を伏せるエイナ。

別に良いのだ、彼等、彼女等が居ないとしてもやる事はそこまで変わらん……ただ少しだけ寂しさを感じるだけ。

 

「まぁ居ないって事を再確認出来て良かったわ」

「その……大丈夫? 居なくなってしまった人ってのは……やっぱり家族?」

「ま、家族っちゃ家族だけど……そういう事もあるさ。仕方ない事だ」

「君は強いね」

 

エイナ・チュールが苦笑をしながら此方を見る。

対しておじさんはおどけて見せる。

 

「強い? 違う違う、諦めてるだけ。どうにかなる事とならない事。自分でどうにか出来ない部分はどうしようもないと割り切ってるのよ」

「私はギルド職員だけど……知ってる顔が予定を過ぎても戻ってこないと、それだけで苦しいし、時間が経てば経つほど絶望感が襲ってくる。

 職員としては入れ込み過ぎって同僚には言われるけどやっぱり知り合いが居なくなるのは辛いよ」

 

ギルド職員とは思えない程に他人に共感を抱くこの子はギルド職員としてはあまり向いていないのではなかろうか。

ロイマン位に腹黒いのは問題だが入れ込み過ぎも自分の心身を壊してしまいかねない。

 

「あー、あんまり入れ込み過ぎない様にな? 冒険者なんて命をベットして金を稼いでるヤクザ商売なんだから。心配し過ぎると体が持たんぞ」

「ふふ、優しいんだね」

 

おじさん的には普通の事言ったつもりなんだが……何で皆して『優しい』という評価になるのか。これが分からない。

 

「優しいっつーか……普通だろl

「昔そんな事を言った人が居たなぁ、担当の子と一緒に、ダンジョンに潜ってた人。結局自分の国に帰ったらしいんだけど」

「おー、引き際が解ってる人は長生きするわ」

 

そんな風に世間話をしていたら昼の鐘が鳴った。気が付けば結構話し込んでいて、彼女の昼休みもぼちぼち無くなるだろう。

 

「んじゃ、そろそろ俺は行くわ」

「あ、うん。その……気を落とさないでね?」

 

此処まで気を遣うギルド職員ねぇ……こりゃ人気出るわ。

 

「平気平気。ちょっと悲しいけど割り切るから」

「あっ、そういや君の名前は?」

 

……そーいや自己紹介してねぇじゃん。ぼけっとし過ぎだな。

 

「おじさんの名前は中真有助。その内屋台でじゃが丸君とか売るつもりだからその時は宜しく」

「ふふ、君、おじさんって年じゃないでしょ。そっか、屋台見かけたら寄るから」

「おー、色々面白いもの作って売るから。噂になったら食べに来てなー」

 

 

 

片手を振りながら歩く黒髪の少年を見ながらエイナは嘗てベル・クラネルと潜っていた男性を思い出していた。

自分の事を『おじさん』と称し、本名を最後まで明かさず消えて行った人。

ベル君には最後は国に帰ったと聞いていたけど……もしかしたらあの人の子供だろうか。もしそうならあの子はあの人の……。

 

「今度ベル君に聞いてみようかな……」




ヘスティアファミリアの痕跡を探すおじさん

しかし見当たらず、虚しさだけが心に溜まる

果たして何時気が付くのか
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