フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く 1alternative 作:タラバ554
混乱を眺めながらティータイムにする。やはり騒動を側から見るのは面白い。
……何か俺、性格歪んできてるか? いや、元からか。
「何のほほんとしてるんだい おじさん!」
「えー、だって俺からしたら自分の持ち物だから今更騒ぐ事じゃ無いし」
「いやそうなんだろうけど! でもLv6になったのに冷静過ぎないかい!?」
「ラッキーだなー位には思ってる」
「ノリ軽っ‼‼‼」
混乱する皆を他所に折角なのでノートPCで映画『仮面ライダー1号』を見る事に。
「はぁ、何かおじさんと話してると一周して冷静になってくる」
「そいつは僥倖」
「それで? おじさんは何しようとしてるの?」
はす向かいに座ってた椅子から降りておじさんの隣へ移動してきたヘスティアちゃん。
「ほら、今ヴェルフ君とベル君が手に持ってるベルト。アレの原型っつーか大本になった作品の映像でも久々に見ようかなーって」
「アニメって奴?」
「いや、コレは特撮。俳優が演技してる奴だね」
「ふ~ん」
覗き込む様に椅子に座り直したヘスティアちゃんにPCの画面を向けてアイスティーを出してから映画を再生する。
◆◆◆◆◆
騒動が開始して30分、流石に刀を握りしめたままの命ちゃんはそろそろヤベェと思って手から刀を取り上げる。刀を鞘に戻して命ちゃんにコップ一杯分の水を飲ませた所でベル、リリ、ヴェルフの三人組が話しかけて来た。
「なぁおじさん、コレどうやって使うんだ?」
「そりゃベルトだから腰に付けて」
「ボク、ヴェルフも付けて見ましたが使い方が良く分からなくて」
「一応リリも付けて見ましたがバックルが大きなベルトとしか……」
「あー、そりゃ専用に調整されてるし起動の仕方も特殊だしな」
ベルトを受け取りバックルを開いてコアを取り出す。魔力を使い切ったままなので輝きが無い、これも魔力注がないといざって時に困るな。
そんな現状を確認していたら使い方を見せてくれという話になった。
「まぁ良いけど……これ鎧だぞ?」
「へ?」
「それで鎧?」
「あの……武器ではないのですか?」
「うん、コンセプトが所謂『実力の底上げ』『魔力タンク』だからね。武器っていう形にはならんかった」
そう言ってからベルトを腰に取り付けてリビングの開いてる場所へ移動する。
丁度ヘスティアちゃんが見てる動画でも変身シーンに差し掛かったのか音楽が良い感じに流れてる。ならば乗るしかないでしょう。
両の拳を顔の前でクロスさせながら全身から緑色の魔力をコアへ送る。全身から溢れる魔力を一度リセットするかの様に両の手を裂帛と共に振り抜く。
「ハァッ‼‼」
起動初期シーケンスは問題無し。
魔力の抜けていたコアに最低限の魔力が注がれベルトが起動する。そしてポーズを続けると共に魔力を高めベルトの起動シーケンスを進めていく。
左手を引き絞り腰だめ右手は左斜めに真っすぐ伸ばす変身ポーズ。そのまま右手を水平に動かしながら全身の魔力をコアへ注ぎ込めばスパークしながらベルトが起動を始める。
移動しきった右手と入れ替える様に左手を正拳突きの要領で前に出しながら始動キーを叫ぶ。
「変身‼‼」
一瞬の輝きに全員が眼を瞑り、恐る恐る目を開けるとそこには全身が緑の装甲に覆われた偉丈夫が佇んでいた。
「と、まあこれが変身ベルトの変身後の姿」
途端に調子が崩れるおじさんだが周りの眼はそうもいかない。
「か、かっこういい……」
「まじかよ……コレを別世界とは言え俺が?」
「……?!(無言で動画とおじさんを見比べるヘスティア)」
「……‼‼‼(無言で震えるガネーシャ)」
「何かまた凄いのが出て来たな」
「いや、ソーマ様。ソレで済ませて良いのですか?」
「神造兵器とはまた違った方向で凄いわね」
「流石に布都御魂剣と比べるのは間違いでは?」
男性陣は変身に感動し、女性陣は割と冷静に見てる。ソーマ君はおじさんのやらかす事に慣れて来てるよね。
「因みにこれ使うと大体Lv1つ分位ステータスが底上げされます」
「「「「「「「「は?」」」」」」」」
「まぁベル君のヘスティアナイフみてーなもんよ」
「え"、僕のナイフってそんな感じなんですか?!」
「似たようなもんだぞ、使い方の違いで
自分のナイフを抜いてまじまじと見つめるベル君を他所にヘスティアちゃんが寄ってきてめっちゃ触って来る。
そしてガネーシャは無言で遠巻きにジロジロと観察してくるのはどうした?
「取り合えず【解除】っと」
また一瞬の光に包まれ元に戻るおじさん。ヘスティアちゃん、ぺたぺたと触るの止めてくれんか?
「……うん、まぁ色々とアレだけどおじさんだし、いっか!」
「それで良いのか、ヘスティア」
冷静に突っ込みを入れるガネーシャというレアなモノを見ながら騒がしいヘスティアファミリアの一日がスタートした。
◆◆◆◆◆
おじさんの別世界線での活動を一日長々と語った翌日。ヘスティアちゃんとおじさんの姿は黄昏の館にあった。
場所はロキの執務室。対談のメンバーはおじさん、ロキちゃん、ヘスティアちゃん、アイズちゃんの4人。
「なあ、アイズたん。ホンマにコレがおじさんなんか?」
「そうだよ、ロキ。分からない?」
「えっ、えぇ~~~?」
「まあそう言う反応になるよね……」
コロッケで頬を膨らませながらロキに応えるアイズ、そんなアイズに地球の各種コロッケを【トラベラー】から取り出し与えるおじさん(若)。
困惑するロキに対して頷くヘスティアちゃんという、元犬猿の仲とは思えんやり取りをする主神s'を見ながらおじさんは口を開く。
「信じられんなら胸を元に「いやっ、信じるで! おじさんやろ!」もどっ……判断が早いなぉ、オイ」
一度得た物をまた取り上げられるというのは神でも辛いのか、胸を守る為に理不尽を飲み込んだロキ。
「ま、認めてくれたら話が早くて助かるけどね」
「それにしても見た目若くなったなぁ~」
「おう」
一々訂正するのも面倒なので勘違いはそのままにしておく事がファミリアの話し合いで決まっている。ヘスティアちゃんも結局は昨日の面子を巻き込む形で画策する事を決めたみたいだし、まあ良いんじゃないかな?
「そんで今日来た理由なんだけども、一個は顔合わせ、もう一個がハイ、これ」
「うん? おぉ?! ソーマやん! おじさんが持ってきてくれたんか!」
「一昨日ロキちゃんが
ついでにと地球のお酒詰め合わせのお中元Boxと乾物を渡す。
「こいつは……酒の詰め合わせか! ほんでコレは……おぉ、ツマミやないか。やっぱおじさんは分かっとるなぁ」
「割と良いヤツだから新作のソーマと飲み比べて見てよ。良さそうなら会社に置いてみるから」
「まかせとき、ウチがしっかり飲み比べるで!」
贈り物を受け取ったロキが戸棚の奥にお中元をしまいながらこちらに質問を投げかけてくる。
「それにしてもおじさん、結構直ぐ帰って来たんやな。ウォーゲームの後に帰るって聞いた時にはウチもめっちゃびっくりしたんやで?」
「まあ結果的に、ね? ヘスティアちゃん」
「ぶっちゃけおじさんの魔法使うと移動コスト、ほぼゼロになるしね」
「あ~、ウォーゲームで見せた
神の鏡に映ったおじさんを思い出しているロキ。壇上から飛び降りたと思えば空中で消えてゲームの盤上に突如現れたおじさんに驚いたのは記憶に新しい。
「ほんで? もう一つか二つ位
「おー、流石トリックスター。話が早い」
「おじさんが来た時点である程度予測するっちゅーねん」
「んじゃ本題、ここのLv5以上と模擬戦させて」
「……は?」