フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く 1alternative 作:タラバ554
楽しく過ごしてます。
けどFGOガチャ、テメーだけは駄目だ。
「せぇやああああ!」
気合の入ったラウルが訓練用の剣を携えて突貫してくる。それを「ぬるり」と避けて手首を取ったら身体の動きを利用してそのまま投げる。
「ほいっ」
「うおわぁ?!」
「コラァ! ラウル! もっと腰を入れんか‼‼」
良い様に投げられるラウルを見て檄を飛ばすガレス。
「ガレスさん……そんな事言われても、この人に触れられると良く分からないまま投げ飛ばされるんですよ~」
「っつか~~~! よし! そろそろワシとやるぞ!」
「ガレス、僕らは最後だよ」
「少しは落ち着かんか」
嘆くラウルに納得のいかないガレスと、そんなガレスに冷静に突っ込みを入れるフィンとリヴェリア。
ここは黄昏の館に設けられた中庭でソコでおじさんはラウル君と模擬線中である。
「よし、次はアナキティちゃんで」
「うっし、んじゃラウルとは違うって事を教えてやるか」
ラウル君を立たせてから庭の中央に戻ると観察に回ってた集団の中からアキという名前の猫人が出てくる。
「アキ、舐めてると足元救われるっすよー」
「アタシはアンタとは違うのよ」
そうラウル君に軽口を叩きながら模擬戦用の短剣を二本携えて此方に走って来る。
「(片手剣は腰に差したままで短剣二本での近接戦闘かぁ)」
相手のペースに乗りたくないなと思案しながら絶妙な立ち位置を維持して攻撃を振らせて動きを見る。Lvが上がったお陰で眼で相手の動きを見るのが楽になってる。
それに刃物持ち相手でも心理的に割と余裕を持って対処が出来てる。この辺りはやっぱり心境が関係しているんだろうなぁと思いながら左手に持った丸盾で短剣を防ぎながら観察しているとアナキティちゃんが何時の間にか左手の短剣を逆手に持ち替えていた。
何か仕掛けてくるかと見ていたら左手での相手から見て左から右への攻撃の瞬間、右手の短剣を腰のホルスターに戻して直ぐに腰の片手剣にてをかけてきた。
すかさず左手はおじさんの顔に向けて切り上げられると同時に右手で抜刀しながら斬りつけてくる。まさに早業。そして抜き方が淀みない。相当この連撃の練度を上げてるのが分かる。
「(得意な距離になると一気に攻めるタイプか……)」
牽制の攻撃の後に一気に距離を詰めて短剣と片手剣の間合いを押し付け攻撃を繋げてくる。二種類の武器距離を上手く使いながら仕掛けてくる攻撃にちょっとやりづらい。
「ここっ‼‼」
瞬間、左手の短剣を順手に持ち替え二刀での鋭い突き攻撃。
突き出される右手の片手剣に合わせて体の内側に入り込む様に盾を差し込み弾く。所謂パリィを使いアナキティの姿勢を崩しながら左手首を取る。
「しまっ」
崩した姿勢を持ち直す前に自分の方へ引き寄せ加速させる。突っ込もうとしていた為に抵抗出来ず、ソレに合わせておじさんは頭突きをかます。
結構な音が庭に響き渡り、この試合を見ていた大多数が顔を顰める。
「っ~~~~!」
眼の中に星が跳びまわる様な衝撃を受けたアナキティはおじさんの次の投げ技を抵抗も碌に出来ずに地面に転がされてしまった。
◆◆◆◆◆
「ふいー、んじゃコレで幹部連中以外は粗方模擬戦したか?」
「ああ、それにしてもまさかLv4の連中も相手として不足とは思わなかったよ」
「いや、結構手ごたえはあったよ。対人戦としてはまぁまぁ良かった」
「まぁまぁ……ね」
庭の端へ寄ってロキ、ヘスティアちゃんが座ってたベンチに近づいておじさんも座り水分補給。ベンチ近くで待機してるフィンがメンバーに対して不甲斐ないと言いたげに言ってきたが……おじさん上がり立てとはいえLv6なのでね……。
「んで、ロキちゃん。これでLv5以上の子と模擬戦やっても良いよね?」
「うん、ここまで勝たれると仕方ないやろな……っていうかおじさんホンマLvいくつなんや? ウォーゲームの時にLv1って公式発表されとったけど今の動き見る限りLv1や2って感じやないやろ? なぁフィン」
「そうだね……Lv5の後半位かな? ウォーゲームの時見た動きはLv1終盤って感じだったけど今の動きは全然違う。どう考えてもLv4は最低でも無いと可笑しい」
流石に動きからある程度バレるねぇ。まあ、其れも分からない相手なら話にならんのだが。
「取り敢えず幹部連中への挑戦権は得たからサクっと誰かと……」
「いや、流石に僕らとやるには狭すぎる。場所を変えてやらないかい?」
中庭で続きをと思ったらフィンから待ったがかけられた。
「ここじゃダメか?」
「流石に高レベル同士がやるには狭すぎだ。どうせなら訓練場使おう。良いだろう? ロキ」
「ええよ。おじさんが幾つか分からんけど訓練用の武器なら死なんやろし、エリクサーは用意しとくで」
「おぉー、ロキちゃん太っ腹」
「勿論使ったら請求するで」
「(使わないなら請求されない……ケガ負わせて治療したら逆に請求できるかな?)」
捕らぬ狸の皮算用な思考をしながらフィン達幹部連中の跡を追うおじさんとヘスティアちゃん。
「ねえおじさん。本気で使うの?」
「え? 駄目?」
「いや……まぁおじさんが良いなら良いけど」
「まぁ慣らし運転みたいなもんだから平気平気」
「本当かなぁ……」
肩を落としながら歩くヘスティアちゃんを引き寄せ肩車する。
「(なーに、何かあれば全面戦争するだけさ)」
「(止めてよ?! フリじゃないからね!?)」
「たのしみー」
「本当にもう……」
◆◆◆◆◆
「どっこいしょっ!」
「ぐぺっ」
ベート戦、肘鉄でのカウンターで脇腹破壊。
「どっせい」
「うわぁ!?」
ティオナ戦、白刃取りからのヤクザキックからの抑え込み。
「だっしゃぁ!」
「っ‼‼?」
ティオネ戦、背後を取ってから首へ両手同時チョップで気絶。
ここまでである意味ティオネちゃんが一番やり辛かった、何というかバランスよく纏まっててその中でパワーが秀でてる純粋な前衛って感じ。
なので首への攻撃で一気に終わらせた。今日のメインはこの子じゃないので。
気絶したティオネちゃんをフィンへと渡す。ここでフィンに渡すのはちょっとしたサービスだ。
尚、この場面……というか試合全部ヘスティアちゃんに撮影しているのでフィンが彼女を抱える場面も当然収めてる。何かあれば映像を焼き増しして渡そう。手札一つGETだぜ。
「ティオネもやられちゃったか~」
「次は私」
「アイズた~ん、おじさんなんてやってまえ~!」
読み辛いがどうやら高揚してるっぽいアイズちゃんが来るがおじさんの狙いは君でも無いんだよね。
まあコレまでの模擬戦である程度溜まったからメイン前にちょっと手札見せるか。
「カモ~ン」
丸盾を持った左手は胸に添えたまま腰だめの右手の指をワキワキさせながら挑発する。
体重は半身で構えた右足へ乗せて如何にも一撃を狙ってますという姿勢。
「行く」
宣言した瞬間、ベートよりちょい早い位のアイズがすっ飛んでくる。ので……。
「ほいっ」
ドゴンッ!
巨大な岩を【トラベラー】から取り出しておいてみた。
「「「「「「!?」」」」」
「⁉っ!」
唐突に出現した障害物に進行方向の変更を余儀なくされたアイズは失速しながら斜め上へ跳ぶ、だがソコはおじさんの射程距離です。
「ごらいあすぱーんち」
「うっ!?!!」
発勁を目指して作った技だけど……振り抜いてたら割とシャレにならん威力出るかも。……冒険者の身体なら平気やろ!
一応軽く診たけど受けた腕が痺れてる程度らしい。謝罪を入れつつ本命を誘う。
「さ~~て、ガレスく~~~ん。やろうぜ~」
「何じゃ、何か大分気合が入っとるな。まあええじゃろ、ルールはさっきまでのと同じでええな?」
「武器、盾あり、
「
そう言うガレスは腰に斧を二つと両手斧を抱えている。てっきり斧と大盾の組み合わせと思ったが違ったか。まぁ何でも思い通りにはいかんな。
「
「いらんいらん、そーいう実験だし」
「ほぉ?」
ガレスの纏う空気が若干変わる。いや、全体の空気か。
「つまりワシらファミリアで実験をしとったと……」
「うん、因みにコレはロキちゃん了承済み」
あっけらかんと言えば変わった空気が再度抜ける。
「あはは、スマンなガレス。そーいうこっちゃからおじさんの実験付き合ってほしいねん。勿論ウチ等にも利益がある実験やから」
盛大に溜息を吐いてから改めて両手斧を構えるガレス。
「これで意味が無かったらロキの酒は没収じゃな」
「んなぁ?!」
「それならさっき良い酒を幾つか渡したからソレ没収したら?」
「おじさん!?」
「決まりじゃな」
騒ぐロキを意識から追い出しながら
地球の人間が見ればレスリングの構えに近い事が分かっただろう。特にスタートの合図も無いままに試合は動き出す。
攻めて来たガレスに対して盾で受け流しながら攻撃パターンを見る。
斜め振り下ろし、横なぎからの突進。パワーがあるので突進を受けると大きく後ろへのけ反ってしまう、この辺りはLv差が出てる。
皿にガレスはおじさんと比較すると背が低い。背丈が低い相手に対しての攻撃ってのが今一やりづらい。
という訳でガレスの攻撃を防ぐタイミングで【トラベラー】を使い訓練用の片手槌を出す。
「ほいっ」
「ぬっ?」
急に相手の手元に無かった武器が出て来て戸惑ったのか完全には避け切れなかったガレスが被弾する。といっても流石タンク、ダメージはほぼ無い。
「そいつが実験とやらか?」
「まさかぁ、実験の本番はこれからよ」
ニコニコ笑うおじさんと、ギラギラ笑うガレス。さっ、タンク同志で殴り合いといこうか。