フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く 1alternative 作:タラバ554
弁天様、もといサラスヴァティー様ご一行とダンスレッスンした後、ちょっと会話してたら今日は泊っていけという話になった。
寝る所なんてキャンピングカーで良かったが折角なのでお呼ばれすることに。
場所を貸してくれた礼として今はキャンピングカーの電力を使って壁一面にインド映画を投影している。
バーフバリは長いが満足度高いから良いやろ。昼過ぎから流し始めたら夕方には終わるからその間におじさんは料理の準備を。
お返しと思い、前世でデータベースを保存してたPCで弁天様の事を調べるとどうやら日本三大弁天というのがあるらしく……それがコレ。
宝厳寺・竹生島神社(滋賀県)
江島神社(神奈川県)
厳島神社・大願寺(広島県)
うーん、おじさん的に広島なイメージがやっぱり強いな。
そんな独断と偏見で広島料理をお返しとして出そう!
まぁ当然『お好み焼き』だわな。これを抜きには広島言えない気がする。
食材はアホ程【トラベラー】にあるから車の中で処理をしてタネを作り、延々と具財の処理を済ませる。
映画の途中で休憩時間を儲けてトイレや水分補給をしてもらう、その際に眷属の人達に鉄板の用意……正確にはかまどの用意をしてもらう。
ついでにそのかまどでお湯炊いてからインドの甘いお茶、チャイを入れて全員に振る舞う。
皆イケる口らしい。
映画を再開してまた料理の仕込み。仕込みが終わったら映画もクライマックスになっていたのでそのままおじさんも観覧して一緒になって映画を楽しんだ。
「ユースケ! とても楽しかったわ! こんな素敵なプレゼント初めてよ!」
「おー、喜んで貰えて良かった」
「皆大満足! ほら、あそこの子達なんてさっきの攻撃方法を真似できないか真剣に話してるんだから」
そう指さす一角には映画の中で盾で身を固めて飛んでいくシーンを再現出来ないかと検討している人達。
……エンタメと現実は違うと言おうとしたが、冒険者ならイケル可能性もあるので黙っておいた。
「そんな事より飯にしよう! ウチの地元(日本)でサラスヴァティーさんは別の名前で信仰されてっから、ソコの料理を振る舞うよ」
「あら、私を信仰してる所なんてあるの?」
「ウチは色々自由な所だから、形を変えて根付いてるよ」
「へー、面白いわね」
感心するサラスヴァティーさんを背に感じながら温めておいた鉄板に油をジュッ!
油が広がった所にタネが大量に入ったボウルを取り出して質問を投げかける。
「因みに好きな食べものは?」
「え?」
「牛、豚、鳥、魚、貝。色々あるけど」
「えーっと……じゃあ、豚で」
「(あれ? ヒンドゥーだと食べないはずだけど……)まぁリアルとは違うか」
「?」
「いや、豚ね。了解」
ボウルからタネ生地を鉄板に乗せて火を通していく。火を通して生地が硬さを得ると同時に広がる出汁の香り。
その直ぐ横で焼きそばモドキをささっと作る。こちらは麺にソースをかけるだけの超シンプル版。
その強い香りに眷属全員が料理を認識する。
そしてすかさず取り出す大量の野菜。それを生地の上にどさっと乗せたら、横で作ってた焼きそばモドキを上へ。
生地が固まる前に更に天かすをふりかけて~、ご要望の豚ちゃんをドーン!
そしたらコイツの上から追加の生地をダバァ。
おっと、卵を忘れてた、横で目玉焼きを追加で焼く。
良い感じに生地が焼けた状態でヘラを二個使って……ひっくり返す!
金属同士が当たる音に匂い経つ出汁のいい香り、うーん、何か出店やってる感だわ。
ひっくり返したお好み焼きをやさーしく叩いて成形。
しっかりと火が通ったのを確認してからお好み焼きを皿に盛って、ソースだばぁ、青のりどーん!
暴力的な旨味と匂いに震えるが良い。
その上に目玉焼きをトッピングしたら……鰹節だぁ!
更に更にサイドに紅ショウガを載せると周りの生唾を飲む音が聞こえる。
直ぐに食べたそうにしてる人達を押さえて最後の仕上げにかかる。
追いソースにマヨビーム!
そっからは只管全員が食いまくる。
こういう時に高Lvステイタスがあって良かったと思うね。
分身したかの高速の手さばきがステイタスのごり押し出来ちゃうのは素敵。
そんな感じでサラスヴァティーファミリアでの一泊は過ぎた。
明けて翌日。
「ユースケ、昨日は楽しい娯楽に美味しい料理をありがとう」
「「「ありがとうございました!」」」
帰る前に改めて挨拶された。
「いや、こちらこそ泊めてくれてありがとね。場所借りられて助かったわ」
「実質場所を貸しただけなのよね。何か貰い過ぎたわ」
「楽しけりゃ何でもいいっすよ。そんじゃ、失礼しますね」
そう言って裏通りに移ってワールドテレポートで消える。ノリの良い人と騒ぐのも、コレはこれで悪くないと思いながら地球へ。
その頃のヘスティアファミリア。
「だー! またおじさんの反応が消えたー!」
「うーん、何で来ないんだろう?」
「やっぱ迷子なんじゃねぇか?」
「どうせあの人の事ですからとんでもない事してるんじゃないですか?」
場所は所変わってハリウッド。
おっさんにこっそりと会いに来た訳だが……。微妙に時間感覚がズレてるからちょっと薄暗い。
いつも通りにカメラを取り出して街行く人や風景を撮る。
段々と明るくなってきて頃に後ろから声を掛けてきたのはおっさんだった。
『オッサン、ゴメンネ』
『あ?』
『ニンギョウ、コワシタ』
『ははっ、気にするな。それよりボーイ、あの動きは何だ? やっぱりニンジャなのか?』
謝罪を口にしてみたがおっさんはそれ以上に案山子を切った時の動きに興味津々で質問が止まらなかった。
海外でちゃんと話した人っておっさん位だし、周りの反応とか会話してる感じは悪い人じゃなさそうだからちっと話してみるか。最悪アメリカを避ければ良いだけだし。
『オレ、フツウ、チガウ』
『うん?』
『ニンジャチガウ。ケド、ソレイジョウ、デキル』
首を傾げるおっさんに苦笑してからしゃがみ込む。
今居る地面はコンクリートが敷き詰められていて綺麗に慣らされている。
目を丸くしているおっさんを無視してコンクリを引っぺがして一抱え。そしたら今度はソレを頭上へポーンと放り上げれば10メートルは軽く飛ぶ、左手に持ったコンクリ片を頭上のコンクリの塊に投げればぶつかって真っ二つ。
顎が外れる程に口開いてるおっさんのリアクションが面白いので少し笑ってからその場で跳躍。
二つに割れて落ちて来ていたコンクリを7メートル地点で両足で蹴り、粉微塵に変えて着地すれば声の出ないおっさんが指さしして口をパクパクさせてた。
『コレ、オレ、フツウ』
『oh、mygod』
両手で頭を抱えて天を仰ぐおっさん。
いやー、なんやろ。驚かせるのってちょっと楽しいな。
あ、でもそろそろ家に帰らんと……一日外泊してるし二日連続は母親に怒られる。
『ソレジャ、オッサン。マタネ!』
『ちょ、ボーイ!』
おっさんが何か言ってるが母に怒られるのは例えボウケンシャーのステイタスをもってしても辛いのだ。
故に止まらない。フーハハハハ、あばよ~、おっさ~ん。
家に着いたらみっちり叱られました。日本とアメリカの時差で外泊二日分になってるのは想定外です。
ちょっとずつ地球でも理解者を得ようとしているおじさん
素性も知らぬ他人に話すのは色々危険と思うが……
テンションのままに動いているおじさんは自分の理性を敢えて抑え込んで行動する道を取る