フィジカルお化けおじさん、異世界へ行く 1alternative 作:タラバ554
神二人が話してるのを横目に明日やる事(材料の仕入れ)や、オラリオでの商売の展開を考えながらメモを取っていく。
ジャガイモの加工品は『ジャガまる』というコロッケの様なものがあるが、他の加工品はオラリオに無い所に勝算を見出す。
最初こそ持ち出しは地球のお金だが最終的にオラリオでお金を生み出す仕組みを整えて……あれ? こっちで最終目標決まって無いから無理に金を稼ぐのは……。
いや、何にしても資金は必要だから取り合えず数百万を目標に動こう。
改めてオラリオでの目標設定を決めてメモに『数百万ヴァリス稼ぐ!』と書いた所で神二人が話しかけて来た。
「ユースケ」
「ん? どったの、サラスヴァティーさん」
「お前は冒険者になるつもりはあるのか?」
「ん-……その内なるんじゃない?」
「具体的には何時になる?」
「え?」
「冒険者になるとしたら何時なんだ?」
やたらと真剣な顔つきで聞いてくるので改めてスケジュールを考えてみよう。現在2年はモラトリアムで遊び惚けている。
2年のモラトリアムが明ければ就職か進学かを決めて……いやそれ以外にも色々面白おかしく遊びまわるって選択もあるか?
兎も角2年後が目安……いや違うな、2年で進路を決めてその後は決めた進路に向けて進むから『冒険者にならない可能性』も当然ある。
「考える期間が2年。冒険者にならない場合も大いに有る」
「そうか」
厳しい顔のサラスヴァティー。そんな態度に疑問で口を開こうとした時、ガネーシャが先に口を開いた。
「少年 君の恩恵は今背中にあるのか?」
「いや、
これは現実でどれだけ生物を殺す行為を行っても経験値として蓄積が一切しなかったので間違いは無いだろう。
「と言っても恩恵自体は効いてるけどね。だから正直に言うと無理に冒険者に成る必要は今の所無いかなって思ってる」
肩をすくめて見せると、それを聞いて唸るガネーシャ。
「二人共何をそんなに悩んでるんだ?」
改めて疑問を口にしたら二人は視線を合わせて頷きあう。
ガネーシャが大きくポーズを決めながら俺に対して大声で言ってくる。
「少年! 君はこのままでは死んでしまう!」
「……は?」
「ガネーシャ……お前は何でそう言葉足らずになるかな……」
頭が痛いとサラスヴァティーさんが頭に手をやりながら立ち眩みをしている。
一先ず二人をテーブルに着かせて改めてお茶を入れる。落ち着く為に氷も追加して出す。
「えー、サラスヴァティーさん。落ち着いたかな?」
「ああ、すまないな。普通なら第三者の私がもっとこう……」
「良いよ。
「なんか……本当にすまん」
「二人とも酷いゾゥ!」
仮面越しに涙目になるガネーシャ。だがテメーは黙ってろ。場が乱れる。
「んで、この
「ああ、ユースケの魂の話だ」
「魂……」
オウム返しに呟いてしまう。何だろう、医者にこのままだと生活習慣病で死にますよって言われた様な気分。
現実味が無い。
「最初から話そうか……私とユースケが初めて会った時だ」
「初めてって……俺がダンスしてた?」
「そう、あの時だ。私はね、最初ユースケの事を死霊だと思ったんだ」
「……」
「前に音楽,弁舌,財富,知恵,延寿を司る女神と言ったな。でもそれと同時に水と豊穣の女神でもある。
水は死者を包み、冥府へ送る。お前を見た時、送るべき迷い子だと思ったんだ。
それはユースケが目の前に居るのに余りに希薄で生きてる様に見えなかったからだ」
そう言ってサラスヴァティーさんは手を見せてくる。手に乗ってるのは……種?
疑問から種を凝視していると、そっと両の手を重ねると少しずつ掌の中が膨らんで来る。やがて掌から溢れ出たのは蓮の花だった。
掌の中の蓮の花が淡く光る。曇り空で薄暗くなっていたホームの庭に幻想的に灯る蓮の花。しかしその光は頼りなく、今にも消えてしまいそう。
「暗闇の中で儚く消えそうな光、そんな印象をお前に……ユースケを見た時に受けた」
サラスヴァティーさんの抱える花は次第に花びらが落ちて行く。
「そしてユースケと短い時間だが接している内に違和感はどんどん大きくなった。『気配が希薄過ぎる』と」
「思い悩んでいた所に私、ガネーシャが遭遇したのだ」
お茶を飲み落ち着いた雰囲気でガネーシャが喋る。
「ほぉ、映画云々はブラフ?」
「それはそれで興味があったのは本当だぞ?」
笑いながら快活に答えるガネーシャ。うーん、流石困難や障害を取り除き福をもたらす神。
「兎も角、サラスバティーに俺は詰め寄った。『何をそんなに悩んでいる。大衆の王、ガネーシャに話せば良い! 例え神でも、いや神だからこそ! 友なのだから! 相談して欲しいゾゥ!』とな」
こいつって要所々々でシメる事が出来るから何だかんだ慕われてるんだろうな。
「だからこそ! 少年、告げさせて貰おう」
真面目な顔をしたガネーシャが、真剣な顔をしたサラスバティーが、二人の神の眼がおじさんの瞳を貫いてくる。魂を見通す様な目力に思わずつばを飲み込む。
「このままだと少年は死ぬ」
「ユガを繰り返し、摩耗した魂はいずれシュードラからも堕ちるだろう」
「そうなれば『次』へ行く事も無く、何処にも行けず魂は終わる」
「だから」
「ならば」
「「
のほほんと構えていたおじさんに告げられる神からの宣告
その事実は重く、その目は嘘が無く
だからこそおじさんは……
次回、善意