機動戦士ガンダムL(ルミナス)   作:C4-1341

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第7話『ピースミーティア攻防戦』

「ブリーフィングを始める。」

 

アンダーソン艦長の言葉が、静寂に包まれたブリーフィングルームに木霊する。

此処は、ラー・ネイジュの中にあるブリーフィングルーム。ブリッジクルーの面々、モビルスーツパイロット達、機関長、整備長らが出席しており、壁には大型のモニターが設置されていて、その横に艦長のレイ・アンダーソンが佇んでいる。本来であれば副長のエリス・ノートレス中佐も補佐として横に立っているのだが、今回は彼女も最前列の席に着席しており、その光景だけで大多数の出席者は普通と違う違和感というものを感じていた。

だが、そんな事を詮索しても仕方ない。その違和感の理由は、これから艦長から説明される作戦内容で明らかになるのだから。

 

「まず、これを見て欲しい。」

 

アンダーソン艦長がモニターに触れると、画面が変わっていき、地球を取り巻く各コロニーサイドや月の位置関係が示されたマップが表示された。この場に集まったクルーにとっては見慣れた宇宙の地図であり、もっと言えば小さな子達が学校で習う地図でもある。その中において、サイド5の宙域に赤いシグナルが点滅していた。シグナルの上には『ラー・ネイジュ』と表示されているので、現在の艦の位置を示しているものだと一目で分かる。

 

「これが、現在の我々の位置だ。本来であれば再び暗礁宙域へと向かい、ネオ・ジオンの残存勢力の捜索と追撃に出る所だが……、我々は此処に向かう。」

 

暗礁宙域は、此処コロニーアーダンからは割と近場だ。そもそも暗礁宙域とは、サイド5に属する宙域…所謂”ルウム戦役”の古戦場跡を指すものである。デブリが密集しているので素早い動きが取れない場所であるものの、姿を隠したり気配を消すにはうってつけの場所でもあるので、通常であれば交戦したネオ・ジオン勢力がまだ留まっている可能性があるのだ。

然し、アンダーソン艦長が示した場所はまるで違っていた。新たな赤いシグナルが点滅した場所は、地球を挟んで反対側……ルナツーと地球、サイド7宙域の3地点の間にある、ラグランジュポイントIII。その中心地に、シグナルは点滅している。

 

「諸君も知っての通り、我々はネオ・ジオン軍の大規模反抗作戦を未然に防止、或いは武力を用いて阻止する事を任務としている。これは、その本丸だと思ってもらいたい。」

 

そう言うと同時に、ラグランジュポイントIIIと表示されている場所に、黒い何かの塊が追加で表示された。そこに記されているのは、”Peace Meteor”という名称。そのまま素直に読むとするなら、平和の流星…又は、隕石だ。

その言葉を見て、ブリーフィングルームに招集された1人であるシーナ・ランチェスターは、言い様のない不思議な感覚のようなものを感じていた。

 

(……隕石…。)

 

連想されるのは、1年前のアクシズ・ショック。ネオ・ジオン総帥のシャア・アズナブル大佐が引き起こした、フィフスルナと小惑星アクシズを地球に落とした、一連の反乱作戦の名称である。自身もあの場に居合わせ、サイコフレームの奇跡とも言える超常現象を目の当たりにしただけに、どうしても今回の任務と重なって思い出してしまう。

そして、私が感じている事は、現実の事としてアンダーソン艦長から告げられた。

 

「廃棄資源衛星…情報によると、コードネームはピースミーティア。この衛星を地球に落とそうと企て、ネオ・ジオンが集結しているとの事だ。この衛星を破壊し、奴らの企てを阻止するのが、今の我々に託された任務と心得て欲しい。」

 

アンダーソン艦長の言葉は、真っ直ぐで重く、非常に簡潔だった。聞きたい事、疑問点は多々あるものの、それらを代弁するかのように先ずは副長のエリス中佐が口を開いた。

 

「…艦長、敵の規模や衛星の大きさは分かるのですか?」

 

この質問で、誰もが最初から感じていた疑問が解けた。エリス中佐にすら、今回の任務は伝えられていなかったのだ。それ程急な任務なのだろうとも言えるし、極秘任務だろうとも言える。

副長の質問を受けて、アンダーソン艦長はモニターに触れていき、次の画面へと移していった。先程までの地球と月周辺を取り囲む各コロニーサイドの全体マップから、ラグランジュポイントIIIを拡大したマップに切り替わる。そこには、ピースミーティアを中心として、敵の凡その数と配置が表示されていた。

 

「衛星の大きさは、小惑星アクシズの片割れより一回り小さい程だと考えてくれ。現在までに観測されている艦隊は、グワダン級1、ムサカ級3、エンドラ級5だ。」

 

そう言うと同時に、マップ上に敵の艦を模したCG像が浮かび上がり、かなりの戦力が集結している事を示していた。エンドラ級はともかく、ムサカ級やグワダン級を相手に立ち回りつつ、この巨大な衛星を破壊するとなると、正直言ってラー・ネイジュ1隻では不可能ではないかと思ってしまう。

私がそう感じている事は周りも同じようであり、あちこちでざわつきが起こり始めた。モビルスーツ部隊のパイロット達は態々死に飛び込むようなものだと考えているようであり、怪訝な表情を浮かべている。無理もないが、場の空気を一度静めるようにアンダーソン艦長が咳払いをし、ざわつきが落ち着いたのを確認してから言葉を続けた。

 

「ロンド・ベルも全隊を動かせる状況には無く、ブライト司令もそれは承知している。この衛星を取り巻くネオ・ジオンは、シャアの一派とはまた別の組織との情報だ。ルナツーの連邦軍も迂闊に出払う事は出来ない。

…よって、我々への増援はクラップ級3隻が限界だ。厳しい状況に変わりないが、衛星の破壊に関しては極秘裏に特殊部隊エコーズが衛星内に潜入し、破壊工作を行う。我々の任務は、敵戦力を引き付け、エコーズの侵入経路を確保、及び退路の維持と援護にある。」

 

私は目を僅かに見開いた。正に活路を見出した、という感覚だった。噂でしか聞いた事がないが、連邦宇宙軍の中に存在すると言う特殊部隊エコーズ。彼らも同時に作戦に参加すると聞いただけで、グッと勝算が増した気がした。心強い味方を得た事で、ブリーフィングルーム内の空気も変わり、全員の目には闘志が漲る。

静かな闘志を燃やすクルー達の熱量を身に受けながら、アンダーソン艦長は最後に僅かに笑みを浮かべ、締めの言葉を私達に送ってきた。

 

「…ラー・ネイジュ、出航準備だ。諸君の奮起に期待する、解散っ。」

 

 

 

 

同時刻、ラグランジュポイントIII。ピースミーティア周辺に集結しているイサベルのネオ・ジオン艦隊の中に、カトレア・ペンタスが座乗するグワダン級旗艦『アグライア』が居た。ルナツーの連邦軍が表立って阻止作戦を展開して来ない事を分かっているので、これだけ堂々と艦隊が集結する事が出来ており、ピースミーティアへの核パルスエンジン搭載も滞りなく遂行する事が出来た。

 

「……ふふ、私の計画もここまで順調だな。」

 

アグライアのブリッジから艦隊を眺めるカトレア・ペンタスは、微笑を浮かべながら呟く。陽動部隊として暗礁宙域で戦闘を繰り広げたムサカ級2隻は、修理と補給の為現在は小惑星イサベルにて待機中なので、現状では即応出来る戦力としては目の前に集結した艦が全てである。

これが仮にピースミーティアが無く、連邦政府との密約も無く、ただ真正面から連邦軍と事を構えるとなると、間違いなく我々が塵芥のように擦り潰されるだろう。それ程に艦隊規模としては心許ないが、それも間も無く気にする必要は無くなる。条約の調印さえ済んでしまえば、地球は私の手に委ねられたも同然となるのだから。

 

「連邦政府の代表団が、間も無くサイド7宙域に向けてシャトルで宇宙に上がってくる模様です。」

 

「そうか……。」

 

アグライアの艦長が私に向けて報告をして来ると、その内容に微笑を浮かべる。要求通り、護衛のモビルスーツや護衛艦をつけず、代表団のみでサイド7へとやって来るようだ。

今回調印式を行うのは、サイド7に属するコロニー”ロウグ”。連邦にもジオンにも与せず、戦争行為を禁じ、中立を宣言しているコロニーの1つだ。このコロニーを指定したのも、中立故に…である。戦闘行為そのものを禁じている為、連邦もジオンも軍事力を以て侵攻する事が出来ない。よって、高度に政治的なやり取りを確実に行うにはうってつけの場所なのだ。

 

「閣下、連邦軍に動きが。」

 

ふと、私の耳に下士官からの報告が入る。その言葉を聞くと、少しだけ怪しげな笑みを自ら浮かべた。

下士官からの報告内容は、サイド5宙域に連邦の補給艦数隻と、クラップ級が3隻集まっているというものだ。先の戦闘でロンド・ベルの戦艦がサイド5に寄港した事を考えると、恐らく増援部隊であると推測出来る。

……やはり動いた。正規軍でないとすれば、恐らくはロンド・ベルだろう。本来はこんな感情を抱くべきではないのだろうが、私は気分が高揚してしまっていた。アナハイムの思惑に乗せられている事は癪に触るものの、あのガンダムを倒せば私の計画は完全なものになるのだから。

 

「ロンド・ベルなら放っておけ。此処で奴らを迎え撃つ。」

 

「然し、閣下……。」

 

「進路が此処に向けられているのなら問題はない、イサベルが探知されていないならどうとでもなる。……迎撃体制を取らせろ、良いな?」

 

下士官はこれ以上の進言は失礼に当たると考え、敬礼をしながら了承の意を私に伝えてきた。その姿を見届けながら、私は艦長に「後は任せるぞ、艦長。」と言い残し、モビルスーツデッキへと向かう為にブリッジから艦内通路へと出ていく。

……そう、どうとでもなるのだ。小惑星イサベルはこの地球圏に確かに存在しているが、まず探知される事はなく、目視もほぼ不可能だ。唯一探知される可能性があるとすれば、艦隊がイサベルの艦船ドッグに入港する所を追跡されるくらいだろう。私達の家があれば、私達はいつでも立ち上がれるのだから。

ふと、通路の奥の扉が開き、軍服を派手な装飾で飾り、髪を紫色に染めたモヒカンヘアーの奇抜な風貌をした人物が近付いてきた。私よりも一回りも二回りも大きな体躯をしており、私は僅かに見上げる形になりながらその人物を見つめ、向こうは私の前で止まると姿勢を正して敬礼し、ニヤニヤとした怪しげな笑みを浮かべて見つめ返してきた。

 

「ご無沙汰しております、カトレア閣下。リベリオ・ビアンキ、只今戻りました。見目麗しい閣下を再びこの目で見る事が出来て、生きる喜びを噛み締めている所存であります。」

 

「ん……ご苦労、リベリオ。連邦の偵察部隊の始末、見事であった。」

 

リベリオと呼ばれた男は、私の言葉を大事に受け取るように、仰々しくその場で頭を下げながら「勿体なきお言葉です、閣下。」と呟いた。頭を下げた事でその表情は窺い知る事は出来ないものの、きっとあの薄気味悪いニヤけ面を浮かべている事だろう。

 

「此度の作戦、私の部隊も戦力として閣下の為に戦います。」

 

そんな私の考えなどお見通しと言わんばかりに、何処で覚えてきたのか爽やかな表情を浮かべながら彼は顔を上げた。追加戦力の話は既に耳に入っていたので、私はただ小さく頷くに留める。

これで挨拶は終わり、私はモビルスーツデッキへ向けて進み始め、彼は艦長に挨拶をするようでブリッジに向けて進んでいく。

 

「……連邦なんて、アタシがぐっちゃぐちゃにブチ殺してやりますから……。くっ、ふふ、ンフフフフ……。」

 

去り際、すれ違った瞬間に彼が私の耳元で囁いてきた言葉…これが彼の本性だ。薄気味悪い笑い声を静かに通路内に響かせながら、彼はブリッジに通じる扉を開き、その姿を消していく。

 

「……俗物が。」

 

彼が居なくなった通路に、軽蔑するような私の言葉が静かに木霊する。

リベリオ・ビアンキ……小惑星イサベルのネオ・ジオン軍内において、特殊な立ち位置に存在する将校。彼自身、独自のモビルスーツ部隊を編成しており、指揮官でありながら彼もまたパイロットとして最前線に赴く兵士でもある。その主任務は、所謂汚れ仕事だ。

彼自身、そして彼の部隊に所属するパイロット達は、皆戦争というものに取り憑かれた戦争狂徒だ。戦いの中でしか生きられず、戦いこそ自分の存在を認知出来るという者達が集まっている。イサベルに留まっている事は極稀であり、基本的にはモビルスーツを用いたテロ活動や暗殺任務、戦争を意図的に勃発させる為の火種を地球やコロニーに巻く…等、表には出せないような事を喜んで行う連中である。

一抹の不安はあるが、今は確かに戦力が欲しい。外道な連中を戦いに加える事のリスクは、この戦いに勝つ事で拭い去るしかないのだ。

 

(後は…、私の問題だな。)

 

モビルスーツデッキに通じる扉を開きながら、懐からタブレットケースを取り出し、白い錠剤を1錠取り出して口に含み、喉を鳴らして飲み込んでいく。今の私には欠かす事の出来ない薬であり、これが無ければキュベレイの実力を引き出す事が出来ない。少しだけ頭から血が引いていくような感覚を覚えつつ、然し薬が直ぐに身体に浸透して通常の感覚に戻っていくと、ゆっくりと息を吐いて瞼を閉じた。私には、この感覚が未だに苦手だ。

モビルスーツデッキ内へと足を踏み入れ、無重力の空間に身体を浮かしていきながら、直立でデッキ内に格納されているキュベレイの足元へと向けて降りていく。傍らには、キュベレイを整備している整備兵達が忙しなく作業を進めていた。

 

「敬礼はいい、作業を進めるのだ。」

 

私が来た事で皆一斉に作業の手を止め、その場で敬礼しながら私へと視線を集めてきた。仕方ない事とは言え、私からの命令が無ければ、彼らはずっとこのまま敬礼をし続けて微動だにしない。

私は作業に戻るように彼らへと命令を下すと、皆返事を返してから敬礼を解き、再びキュベレイの整備作業に戻っていく。私は私でコックピット周りやサイコミュ受信機の調整を行う必要があるので、そのまま地面を蹴って無重力空間を跳躍し、一気にコックピットへと上がっていった。

 

「あっ、閣下…!お待ちしておりましたっ。」

 

コックピットの中には既に若い整備兵が居て、パネルやモニターの整備作業を行っていた。私が来る事は知っていたようで、直ぐに作業の手を止めてコックピットから出て、手を翳しながら中へと入れるようにしてくれた。

私は「ご苦労。」と労いの言葉をかけて微笑を浮かべると、コックピットのシートに座り、サイコミュ受信機の調整作業を始めていく。

 

(……負けはせんよ、絶対な。)

 

私の脳裏には、あのガンダムの姿がハッキリと浮かんでいた。

 

 

 

 

「ウォルドさん、話って何?」

 

ラー・ネイジュがアーダンを出航してから、何やらモビルスーツデッキが慌しい。通常の整備作業ではなく、見た事のない武装や追加装甲が次々と運ばれており、メカニックマン達は忙しなくあちこち動き回りながら作業をしていた。

そんなモビルスーツデッキに、シーナ・ランチェスターは上司であるウォルド・シャウラから呼び出されていたのである。

 

「見ての通り、ルミナスの追加パーツと武装だ。次の作戦までに何とか間に合ったので、グラナダから補給艦に載せて運んで来てもらったのだよ。」

 

「これ…全部が…っ?」

 

驚いた。

これだけのパーツ全てがガンダムの為だけのものだと知り、目を見開きながら見渡していく。丁度私と彼はモビルスーツデッキの壁際にある通路から全体を見下ろす形となっているので、ルミナスガンダムへ追加装甲を装備していく様がハッキリと見れていた。それなりに整備についても、モビルスーツ工学についても勉強はしてきたつもりであり、これだけのパーツの数を追加装甲として装備するならば、全身を覆う程になるのではないかと思ってしまう。

そんな私の考えは表情や眼差しに表れていたようで、彼は横から私に端末画面を見せてきた。

 

「……ルミナスガンダム…H.W.S.?」

 

端末画面に表示されていた文字を、私はそのまま口にしていく。首を傾げる私に対して、彼が簡潔に説明をし始めてくれた。

 

「H.W.S.(ヘビー・ウエポン・システム)は、ルミナスガンダムの拡張装備構想の1つで、元々はアムロ大尉のHi-νガンダムに搭載する予定だったものをルミナス用に作り替えたのだ。言わば設計の流用にはなるが……そのお陰で、装備の製造期間を大幅に短縮出来た。

詳しい装備の中身はその端末に全て入っている、よく目を通していて欲しい。」

 

「ヘビー…ウエポン、システム……。」

 

私は更に驚いてしまった。この装備のインパクトについてもそうだが、あの憧れのアムロ・レイが手を加えたものを自分が使えるという事に。私は食い入るように、端末画面に表示されている仕様について確認していく。

まず目を引くのは、その見た目だ。胸部、フロントアーマー、脚部それぞれに追加装甲を施し、分厚い鎧を身に纏っているような重厚な印象を受ける。胸部装甲にはミサイルランチャー、フロントアーマーにはマニュピレーターが内蔵されており、脚部装甲は追加スラスターが展開可能となっている。加えて、背面バックパックユニットに大型のハイ・メガ・シールドを装着する事で、それ自体が追加スラスターの役割も果たし、スペック上は通常のルミナスより機動性は上がっているようだ。また、バックパックユニットに装着したハイ・メガ・シールドの両端には、新たにルミナス用に設計されたハイパー・バズーカを左右それぞれ1挺ずつ装備する事が出来、キャノンのように背面からバズーカでの砲撃が可能となっている。通常武装のライフルも変更が施され、ハイパー・ビームライフルそのものに追加装甲を施した、ハイパー・メガ・ビームライフルへと換装されるようだ。

……と、端末に表示されている仕様を見るだけで凄まじい情報量だが、これは全て頭に叩き込まなければならない。操縦する上で、機体の何処に何が装備されているのかを正しく把握し、その仕組みを理解する事が、自身の生存率を上げるのだから。

 

「換装作業は明日までには終わるだろうから…、」

 

「分かってるよ、ウォルドさん。ちゃんと読んどくし…明日はH.W.S.のテストって訳でしょ?」

 

「…その通りだ、少尉。」

 

私の言葉を受けて、彼は小さく息を吐きながら笑みを浮かべている。今でも私はガンダムのテストパイロットという立場に変わりはないので、新しい装備が出来たならテストをするのが仕事だ。今はその延長線で、そのままテストを実施しつつ戦闘任務に従事しているという訳だが。

 

(…見ていて下さい、アムロさん。ガンダム…乗りこなしてみせます。)

 

簡単にやられるつもりは無いし、簡単に死ぬつもりも無い。アムロ・レイが設計を施したガンダムに、泥を塗るような真似は出来ないのだから。

重厚な見た目に変わりつつある愛機を見下ろしながら、私は憧れの英雄へと心の内で誓った。

 

 

 

 

「社長、報告です。」

 

「ん、読み上げてくれ。」

 

「はい。現在ラー・ネイジュはラグランジュポイントIIIに向けて航行中、ガンダムの追加装備の換装作業を進めているとの事。また、ピースミーティアのネオ・ジオン軍も艦隊の布陣を展開し終え、ロンド・ベル艦隊を迎撃する模様です。接触予定時刻は72時間後……、以上です。」

 

「そうか……、楽しみだねぇ…。それと、例の機体の方はどうかね?」

 

「はい、現在シーナ少尉の戦闘データを解析し、機体システムに組み込んでいる最中です。本体は数日あれば可動試験まで持っていけますが、”付属品”については現在も製造中で……2週間程あれば。」

 

「結構結構、いずれ必要になるかもしれないからね。私の夢の為に……な。」

 

「……仮に、カトレア・ペンタスとシーナ・ランチェスターで成し得なかった場合は、如何なさるおつもりですか?」

 

「問題はないさ、カトレアの代わりなど幾らでも用意出来るだろうからな。それに、連邦が出来ないと言うのであれば、そのノウハウをアナハイムで利用してみるのも…また一興じゃないかね?ふっ、ふふ…。」

 

「…畏まりました、社長。引き続き機体の製造に注力するよう、現場に指示を出します。」

 

「あぁ、よろしく頼むよ。」

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