転生TSアリスの魔法譚   作:不審者γ

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No.6:毒魔法づくり

学校の初日も終わって、晩御飯とかも食べた後。

只今家の中の図書室。毒魔法について書かれている本を捜索中。が、

 

「…無い…」

見つからない。本当に存在しない。

確かに、優勢魔法調べるときに「前例のない」って言われたけど、本当に存在してないとは。

その場合どうするべきか…毒魔法を作るより他ないね。優勢魔法が使えない魔法使いはある意味レア…というかそもそも存在しない魔法属性が優勢魔法な人とかいないはずだけど。

 

「でも毒魔法ってどんなのを…」

魔法に毒の効果でも付けておけばいいんだろうか。

…そういうわけにいかないよね。というかものによっては死んじゃうし。有名どころでいくとテトロドトキシンとか青酸カリウムとかシアン化合物とか。魔力と科学の融合だぁ。

 

「…というか毒を操るって意味ならどうなるんだろう…無毒を毒にしたり毒を無毒にしたり…とか?」

そうなるならかなり強い気もするけど…正直ピンとこない。

敵が水を飲んでたらその水を毒に変えたりとか…うわ、そう考えると凶悪だな…つかそれこそ下手すれば死ぬよ。

 

「…んー…魔法の作り方みたいなの無いかな」

割と大きめの書庫の中だから、魔法の作り方みたいなのありそうだけど…そもそも魔法って作れるのかな。

まあ探してみよう、と探すことわずか10分。

 

「……あった…」

あった。

普通にあったわ。

でも題名がサルでもわかる魔法陣入門だってさ。何これ。本当になにこれ。闇落ちサマーオイルかよ。

 

まあ正確に言えば魔法陣の構造と組み立てに関する本だったけど、ぶっちゃけ魔法陣ができたらあとは狙いを定めて魔力送り込むだけだし、同じようなものでしょ。

 

ということで読んでみた。

とりあえずは基礎的な分野のことで、要約すると魔法陣は主に魔法式、模様、枠の三種類でできてて、魔法式で属性を、模様で魔法の種類を決めて、枠でその二つを纏めて魔法陣にしてるらしい。

魔法式はともかく、模様は本当にいっぱいあるみたいで、丸とか四角とか六芒星(✡←こんなの)とかの単純なやつからもう訳の分からんくらい複雑なものまであるみたい。

まあでも、要するにはその三つを押さえられれば魔法はいくらでも作り出せる、ってことだね。

そこで問題が一つ。毒魔法の魔法式なんか存在してないし、模様も正しく描かないと魔法は発動しない事だ。

 

そんな所に落とし穴が…!と思うけど、よくよく考えればそんな大雑把にできてたらあっちこっちで新しい魔法ができててもおかしくないよね。大体みんな使ってる魔法が同じなのはそういうところなんだろう。

 

さてさてどうしたものか…と思っていると、ふと一つ引っかかることが。

 

「…じゃあ何で魔法陣無しでファイヤーボールでたんだろ」

あの日の事だ。宣告も、魔法陣もなしに放った火球。

魔法は魔法陣、宣告、魔力の三つを使って放つのがセオリー。宣告は補助的な役割として、少なくとも魔法陣と魔力が無いとただ魔力を放出してるだけになる。

 

なら、何で?

 

「……やってみようか」

少し考えて、一応仮説を立てた。

とは言っても考えただけ、試してみないと分からない。

そっと玄関を出て裏手の山に入る。…不法侵入とか言わないで、おじちゃんにはいつでも入って良いって言われてるから。

 

控えめな高さの山の頂上に登って、両手を器のような形にして、胸の前で上に向けて目を閉じる。

頭の中で、想像する。

掌の中に魔力が収束して、毒の塊ができる。色は…やっぱり紫とかかな。効果はなんだろう、軽い麻痺…10分位体が痺れるみたいなのにしてみようか。

掌の上でふわふわと浮いて、少しずつ大きくなっていく。粘性のある液体みたいな、少しドロドロとしたような見た目のものがゆっくりと回転しながら出現する。

 

…目を、開く。

 

「…やっぱりだ…!」

イメージ通り、両手の上には想像したのと同じような物が浮いていた。

 

ボクが立てた仮説。それは、ボクは転生という形を取ってるからこの世界の人間じゃない。この世界で必要とされてる魔法陣とかそういうのより、イメージ的なのが必要になるんじゃないかと思ったんだ。

結果は…多分正解。魔法陣は出てないけど、多分毒の塊が両手の上でゆっくり周りながら浮いてる。

…効果までは試せないから本当に毒なのかも分からないけど…多分仮説通りなら軽い麻痺がかかるはず。

 

なら次は、と少し規模を大きくしてイメージする。

体の周りから霧状の毒が溢れ出て拡散していく。効果は…軽い錯乱と幻覚とかかな。その中を白い光弾がボクを中心にして周りながら次々広がっていく。

光弾には体の麻痺効果を付与する。

 

目を開けてみる…が、思ったのとはちょっと違い。というか大分違って。何というか…全ての動きが二次元で完結したものすごい表現しにくい動きしてる。なにあれ。

多分…複雑なことをしようとすれば更にイメージ力が必要なのかな、うまくいかなかった。

何度もやってみては失敗し、想像を練り直して再度やってみては失敗してを何度も繰り返してもう何十回目かわからなくなった頃。

 

ふと魔法を思い描いていると、頭の中に魔法陣が浮かび上がった。

見たことのない魔法式に見たことのない模様。

まさか…?と思ってその魔法陣を現実に顕現させて魔力を行き渡らせる。

そして見渡すと、なんか綺麗な事になっていた。

自分の周囲から紫の霧のようなものが出ていく。

それを割くように白い光弾がボクの周りを回りながら少しずつ広がっていく。

光を完全に塞ぐわけじゃない霧の上から赤い月光が差しこんで、その間に白光が通っていく感じになってて割と幻想的になってる。

やっとイメージ通りのができた…

と、イメージが崩れたからか毒霧の拡散が止まって、光弾が次々と弾けて小弾幕になり、周りに飛び散った。

 

「わ、」

…思わぬ副作用。初見でこれされたら避けるのは難しいだろうな…

 

「…よし、まあこんな感じでいいか。…消費魔力は…うん、ランク6くらい…かな?」

魔力の感知は結構あやふやでほぼ勘みたいなところあるけど。

じゃあとりあえずこれで一つ完成ってことで。名前どうしよっかな…「ポイズンミスティア」とかでいいかな?…ちょっと厨二っぽいか。

 

「…まあ、不評ならそのうち名前も変えても良いか」

明日も学校だし、今日は寝ることにしよう。

あ、ちなみに毒霧とか光弾はボクの管理を離れたら綺麗サッパリ消えたよ。便利。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《翌日》

さてさて今日から本格的に学校だ。

制服もある学校で、昨日配られた制服を着る。なんと言うか…こんな感じなんだなぁ、といった感じだったね。というか女の子の服ってボタン男子と逆なんだ…今までワンピースみたいなのばっかり着てた(着させられてたとも言う)から慣れてなくてちょっとつけづらいな…

 

「アリスー。準備できたー?」

お姉ちゃんの声。しばらく慣れるまでは二人で一緒に行くことになってるんだ。心配だから、だって。…んー…まあ、外見5歳だしね…

 

「うん、できたよー」

そう答えて玄関で待つお姉ちゃんのところへ。

 

「…よし、じゃあ行こっか。行ってきまーす!」

 

「行ってきまーす」

お母さんのいってらっしゃーい、を聞いてからドアを閉めて、お姉ちゃんと手を繋ぐ。…こっちが手を上げないと繋げないところらへんが本当に小さいんだなって思うよね…あと歩幅も小さいから歩きづらい。まあそっちはもう慣れたけど。

 

ウィルヘム魔法学校は家から歩いて20分位の所にある。大体皆飛んで向かうことが多いけど、今日はボクを連れているため、歩いて向かっている。ボクがまだ飛べないからね。というかランクに関わらず無属性魔法が使えないんだけど…ナンデ?

ちなみに、箒で飛ぶ、っていうのは結構前の発想らしくて、基本は何も使わずに飛ぶのが主流らしい。まあ、飛ぶ練習をする時に補助道具として箒を使うことはあるみたいだけど。

 

「…アリス、疲れてない?」

 

「大丈夫」

 

「疲れたら歩くの遅くするから、言ってね」

 

「分かった、ありがとう」

まあ、この体体力がびっくりするくらい無いんだけど、歩くのにも少し体に魔力を回して楽にしてるもので。

道中なにかハプニングがあるわけでもなくそのまま学校に到着した。

 

「どこの教室か覚えてる?」

 

「うん、1年のC組だったよ」

 

「オーケー、じゃあ私は中棟だから、また帰りにね」

 

「うん、じゃあね」

そう答えてとりあえず教室に向かう。が、

 

「…誰も来てない……」

誰一人として来ていなかった。教室間違えてないよね…?うん、合ってる。登校日も間違ってない。

まあ早く来すぎたってことだね。

確かに通学中にここの制服の人あんまり見かけなかったけど。

 

「…本でも読んどこっかな」

そう呟いて本を取り出そうとしたとき、ガラガラと前のドアが開けられて一人男子が来た。何なんだろう、この安心感。

やけにビビられている気もするけど、多分気のせいでしょう。うん。

 

 

 

 

 

その後も一人、二人と少しずつ来る人が増えてきたけど、大半に避けられている気がする。クラスが大体30人クラスかな?今15人くらいいるけどその内半分以上には避けられてるんだけど。まだ何もしてないどころか初対面だろうに…

と考えていたとき。

 

「あ、アリスー!」

バートだ。テトテトと早足で走ってきてた。

だから何なんだろうこの安心感。知り合いがいるっていうのはここまで安心することだったっけ。

 

「おはよう、バート」

 

「うん、おはよう!」

…その視線の先にぎょっとした感じの人が見えた。本当になんだろう。一回バートに聞いてみようかな。

 

「…何か私避けられるようなことした?」

ふと聞くとバートは若干目線をそらして、あー…と言葉を濁しつつ教えてくれた。

 

「あー…何かね、昨日、アリスが私を助けてくれたときに男の人を吹き飛ばしたのと、最後の勝負(?)の時にシュウって子に圧勝したじゃない?それですごい怖くて強い人みたいに見られてるみたい。ほんとは違うのにね」

 

「あー…あれかぁ…」

ちょっとイラッとしたのと、できるだけ傷をつけずに勝つ方法をとった結果こうなったわけだ。…ある意味自業自得か、と苦笑いする。…そんなんで避けられてもなぁ…

 

「ま、でも私はアリスがそんな感じじゃないってのは知ってるからね!」

 

「……ありがと」

ちょっと手を伸ばして頭を撫でてみるとくすぐったそうに目を瞑った。かわいい。

 

「あ、そういえばさ、アリス自己紹介とかどうするの?その…ランク、とか」

撫でられながら片目を開けて、バートが聞いてきた。あぁそうだ、言っとかなくちゃ。

 

「お母さんが校長先生と話して書類上は私ランク4になってるから、大丈夫。…周りにはないしょだよ?」

 

「もっちろん!」

バートは結構明るくて結構おしゃべりな感じだけど、大事な秘密とかは勝手にしゃべったりしないし、人の嫌がることはしないタイプの人柄だ。今のところの付き合いではそう認識してるし、多分そう変わるものでもないと思う。信頼はできる。

 

「そうだ、バートは優勢魔法何だった?」

 

「私は水だったよ。アリスは?」

 

「…何か、毒って言われたけど…大方草みたいな感じだと思う」

今使える毒魔法なんかアレ1個しかないし、大体毒は虫とか草とかだから無理矢理こじつけで草でいいだろう。…流石にだめか。

 

「…毒魔法なんてあったっけ?」

 

「……昨日調べたけど無かったね」

 

「え、どうするの?」

 

「うん。まあ結構…というかかなり時間かけて一個作ったし」

実際、あれを作るだけで4時間かかっている。昨日寝たのは1時だったしね。…寝たの今日だったや。

 

「凄い!普通作れないよ、魔法なんて!」

 

「頑張ったから…」

まあ、偶然とインスピレーションの賜物と言うべきかなんというべきか。まるでアイデア製造機だぁ!

…もうストック無いから他のやつどうしようかものすごい迷ってるところではあるけど。アイデア製造機一瞬で崩壊。

まあそこは置いておいて、そうこうとバートと話していると、担任の先生が入ってきた。

 

「はーい、席についてくださーい」

先生の号令で全員が席につき、朝の会が始まる。

懐かしっ。

朝の会とか響きだけでも懐かしいわ。まさかまた受けることになるとは思わなんだ。

まあ特筆するほど特別なことは何もなく。

 

まあ内容的にはアレだね。廊下は走らない、とかそういうルールから、人に対して無闇に魔法は使っちゃいけません、とかの法律関連のことを本当に軽くさらっと。

確か人に向けて魔法使うのって、例外はあれど基本違法なんだってさ。まあそうやって制限してないとあっちこっちで魔法がボンボンなっちゃうだろうし。

…この世界って少年法とか適用あるかな。こないだばっちりあのリーゼント学生に魔法使っちゃったんだけど。

 

まあそんな感じの話があって、朝の会は終了。それで、まずは一時間目。

 

「えーと、一時間目は…」

前に書かれたのは、一時間目から総合という時間割。まあ、初めだからこういうことになるよね。多分自己紹介とかそういう感じのやつ。

 

「じゃあまずは、それぞれ自己紹介をしてもらいまーす。出席番号、名前、優勢魔法の後に何か一つ自分の特徴を言ってみてね。どんな食べ物が好きー、とか何とかって呼んでねー、とか何でもいいからね」

やっぱり。

ボクは出席番号は2番だから…うわ、早い。でもそれより、アから始まるから前半にもなるだろう、とは思ってたけど、前に一人いたんだね…。ア、リ、の並びより前だから…なんだろ。

 

「じゃあ、言うこと決まった人から手を上げて、当てられたら立って、言ってね」

あー挙手制だったか。まあラッキー。初っ端からはきついや。

先生がそう言うと、目の前で手が上がった。

 

「はい、じゃあアイネさん。」

 

「1番、アイネ・カランです!ランクは5、優勢魔法は草で、好きな動物はハムスターです!」

また元気な。

というかア、イの並びとか出席番号1番不可避じゃない?これからの学校生活はクラス替えがあっても多分1番不可避だろうな…

 

そんなことを考えてる間に、その後も色々と情報が飛び交った。

特に印象に残ったのは主に二人で、一人は饅頭って呼んでくれっていった少年。よく言ったな、それ。それともう一人は、好きな動物でガラガラヘビって言った少年。猛毒蛇じゃん。…もしかしたら召喚とかできるかもしれないね。

 

さて、と…そろそろ手を上げておかないと最後に言うはめになって面倒なことになるかな。

流石に大トリを務める気にはならない。

 

「はい、アリスさん」

 

「2番、アリス・セナールです。ランク4、優勢魔法は毒、好きな花はカラーです」

色々ざわざわする。

カラー。結構形は有名だったりする花。ボクは個人的に結構好きなんだけど、どういう偶然かこの花死ぬほど強い毒性を持っているらしい。齧ったりしたら最後、口の中が使い物にならなくなるほど痺れて痛くなるらしい。

…まあ花かじるやつなんかいないだろ、と言われればそれまでなんだけど。いい匂いするんだけどな…

 

まあ、そこじゃなくて多分優勢魔法の方だと思うけど。そこも変に追求されることもなく、全員の自己紹介は恙無く終わった。良かった良かった。

 

「はい、じゃあ、仲良くしてねー。…先生の名前覚えてる人ー?」

確か昨日言っていたはず…あれ、何て名前だったっけ。

やべ、人の名前覚えるの苦手っぽいな、ボク。前世そんなだっけ…?

 

「ユーヌ・アイオライド!」

と、誰かが言った。

あーそうだ、ユーヌ先生だわ、思い出した。

アイオライトっていう宝石があったから、それで覚えた気でいたや。…覚えれてないんだから駄目駄目なんだけど。

 

「おっ、覚えてくれてたんだ。はい、じゃあ私も改めて自己紹介をしようかな。ユーヌ・アイオライド、ランク4で優勢魔法は石。特技だけど、先生ね、すごい体が柔らかいんだよ」

そう言いながらユーヌ先生は右足を持ち、バレエのように上に持ち上げる。

わお。

 

「「わーー!すごーい!」」

これすごいな…バレリーナとかのアレみたい。足180度開いてるよ。…股関節とかどうなってるんだろ、ああいう人。

 

「まあ、こんな感じだね。じゃあここから2年間、よろしくね」

 

「「よーろーしーくーおーねーがーいーしーまーす!」」

 

「じゃあ、一限目はそろそろ終わりね。」

あー言い忘れてた。この学校の一時間授業は40分らしくてね、ちょっと終わるのが早いんだって。

まあ人の集中力…特に子供とかになると30分持てばいい方とか言われるけどね。

 

まあそこは置いておいて、先生はカツカツと黒板に今日の時間割を書いていく。

で、初日から体育とかいうハードワーク。

 

「うわ、五限目か…」

二、三、四限はいっても難しいものじゃない。そもそもこの世界では国語と簡単な算数、魔法ができていればなんとかなるし、社会等はそこまできつくもない。前世知識がある以上国語と算数は楽勝だし、社会もある程度は父さんとか母さんに習ってる。だけど、体育は運動と称して魔法の練習の一つでもあるから一年であろうと魔法の勝負もあるらしい。

まあ、何を言いたいかというと、ここでは体育が特に大変だっていうことだね。体力ないのよ、この体。

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