転生TSアリスの魔法譚 作:不審者γ
あれからそれなりに時間が経って、4年生になった。
なんかこの学校ってクラス替えっていう制度がないみたいなんだよね。だから同じ顔ぶれのまま上に上がっていってて、流石に4年も一緒にいればそれなりに仲良くなった人もいる。
…数人だけどボソッ
まあそこはともかく。
大体3年生とか4年生になると本格的に魔法の授業が始まる。
まあ具体的には魔力をうまく操作できるように訓練したり、等級の高い魔法を使えるように魔法に慣れたり、あとは
ボクの認識的にはゴーレムって言われると「硬くて重くて動きが鈍い、土か石属性のデカくて超強い物理ゴリゴリのモンスター」みたいな感じの印象だったけど、実際は魔導人形って言って魔力を流し込んで動かす人形のことを全般的にゴーレムって言うらしいんだよね。
だから普通に空飛ぶゴーレムとかあるし、何なら魔法使ってくる人形サイズのゴーレムとかもあるらしい。
まあ半自動戦闘機的なやつだね。
…で、現在進行系でその魔法の授業なんだけど…
「……あー…」
やっちゃった。
完全にやらかした。
毒魔法の開発途中で一応ランク4相当の魔法「ポイズンベリー」っていうのができたから使ってみたんだけど、これがまた制御が微妙のまま使っちゃって毒が弾けた。
空から毒の塊を降らせるっていうやつだったんだけど…
まあ幸い誰かに当たったりとかそういうことはなかったけど、はねた毒が地面に当たって地面から「ジュッ…」とかいう音鳴ってたし…やばっ。毒というより酸じゃん。強度までミスってる。
まあでも、低級でも火の魔法が草木を燃やせるように、水の魔法が火を消し止められるように、効果を発するものは発するから、毒っていう区分的にはそういう効果…なのか、な?
いや分かんないや。少なくとも酸と毒の違いも微妙なところだし。
漫画とかで毒を吐き出す蛇とかがいて、吐きかけた毒が気に当たって木がぁ──みたいなのよくあるけど、あれ毒って言えるのか微妙だしね。腐食するとしたらそこに細菌とか湧かないと腐ったりもしないし、仮にそういう毒があるにしても、そんな毒が掛かったらタンパク質の塊の細菌も死滅するはずで…
あーやめやめ、深く考えすぎだ。「そういうもの」ってことにしとこう。
とりあえず、
クラスの中でも、「進んでるグループ」「普通くらいのグループ」「ちょっと遅れ気味のグループ」の三区分に分かれてて、僕とかバート、あとシュウ君とかは進んでるグループ。
あんまり魔法の練習とかって家でしないんだってさ。完全な英才教育じゃん。
まあそのグループに応じて硬度の違う
「毒4魔法…エラージョンアロー」
あと発見。
一回作れた魔法陣は再顕現が可能だったから、ポイズンミスティアから毒魔法の魔法式が分かった。
それをそのまま他の魔法に移植したら…まあ、普通に魔法がいくつができた。
「アロー」の魔法式を毒の魔法式に変換したら何か毒が侵蝕する矢ができたからエラージョンアロー。
あとは「ボール」のポイズンボールとか「ランス」のポイズンランス、「ウォール」のへスティックウォールとか。
大体そこら辺の魔法は全属性にあるから当てはめといたらできるかなーってやったら、できた。
というかオリジナル色の強い魔法ってあんまりないんだよね…基本どの属性でも魔法式さえ取り替えれば新しい魔法の出来上がりになっちゃうからさ。
威力はランクによって変動するけど、本当にどの魔法も基本的には属性しか変わんないんだよね。やけにおんなじような魔法ばっかあるなーとか思ってたけど、やっと謎が解けたや。
「毒2魔法、ポイズンボール───」
ただねぇ…毒魔法、効果は強いしダメージ量も高いんだけど、ゲームで言うなら「持続ダメージ」的な扱い受けるのが多いからその場でのダメージ少ないんだよね…
特に、当てはめたやつ全部持続ダメージ系だし。
人間に対しても似たようなものだけど、その場合盲目とか麻痺とか幻覚とかの状態異常がつけれるから良いんだけど…ゴーレム状態異常効かないんだよね。
初撃は弱いから、この手の相手には…
「──×30ボソッ」
小声で連射する。
これだけで30回宣告したことにしてるの、中々単純だよね。
ちなみに、宣告したのとしてないのとじゃだいたい1.5倍くらいの魔力消費の差があった。まあボクみたいなレベルの魔力量あればその差なんてあって無いようなものだけど…
「よし撃破、と」
撃ちすぎたせいか黒ずんでボッロボロになったゴーレムを横目に、周りをちょっと見回す。
バートはまだだね。でも頑張ってるし、もう終わりそう。シュウ君…も終わってるか。頼むから集中して?こっち向かなくていいから。
「おや、アリスさんも終わったのかな?」
「、はい」
ふと、魔法教師であり担任のライ先生が来た。
で、ゴーレムの方見て糸目が若干見開かれてた。…うん、他の魔法とはあきらかに違う壊れ方してるもんね…そろそろ慣れて欲しい気持ちもあったりなかったり。
「…毎度思うけど、君は成長速度もかなり速い。ランクは4…だったね?」
「は、はい」
ふんふん…とライ先生はちょっと頷きながら手元のファイルとゴーレムに目を移した。
「そう、だね…一回全力で魔法を撃ってみないかい?見た所、そこまで魔法のランクを上げずとも威力は出てるみたいだから、技術量的にはもうかなり十分だ」
わお、ほとんど低ランクの魔法で倒したのバレてる。…マジで?
そんなの見ただけで分かるの?
いやまあそれより。
全力で魔法…いや、ランク9魔法になっちゃうや。ランク4の一番威力の高い魔法でもいいけど、魔力残量の疲労度合いがわかんないし、止めとこ。危険な橋は渡らないに限る。
「や、やめておきます」
「……そうかい?ならやめておこうか」
何今の不穏な間。
え、何?ボク実はそういうの周りにバレやすかったりする?
今のところバレてるのはバートのお母さんだけだけど、先生にバレるのは色々不味いよ?ライ先生アレだし。「真面目そうに見えて実は面白い方の味方」の人だし。
《ライside》
人にはそれぞれ、生まれ持ったその人だけの魔法、というのが一つだけある。固有魔法、と呼ばれるものだ。
使えるようになる時期も、性質も、ランクもバラバラ。同じ固有魔法を持つ人間は同時に二人は存在できないとも言われてる。
さて何で急にこんな話をしたのか。
僕の固有魔法は「魔法看破」。使われた魔法を確認することができる魔法だ。
まあ正確に言うと、対象に対して向けられた魔法陣の構造を理解して魔法模様を認識、込められた魔力と放出された魔力の総量やその効果から見て魔法を特定することができる。
教師職ではこういうのはよく重宝させてもらってるんだ。
「はて、さて…」
グラウンドを見回しながら考える。
今のところ、魔法の精度として一番高いのはアリスちゃん。次点でシュウ君といったところかな。
シュウ君は、魔法の威力は高いけどそれはランクの問題。少しそこに身を任せて精度がおざなりになりかけているところがあるかな。ランクを縛って練習させるのも良いかも知れない。
アリスちゃんは…あれ何か言うことあるかな。
優勢魔法が毒とかいう時点でまず魔法式が存在しないから本来使えない魔法のはずなんだけど…まあ、使えてるなら何かあったんだろう。
「ちょっと進んでる組」に与えてる魔導人形は大体ランク3程度の物だけど、彼女のダメージを与えた魔法は一発の「アロー」系の魔法と、えーと…いっぱいの「ボール」系の魔法。多すぎてちょっと見づらいな。
まあ、ランク4が一つ以外は全部ランク2で倒してるわけだ。順番はわからないからトドメとして「アロー」を使った可能性が高いかな?
自分から自分を縛ってやってるのかな。
というかあんな訳の分からない量の「ボール」魔法がぶつけられてるけど、よくやったね。んで
まあ、さてさて…どうするかな。