俺と千束たちの正体を明かして翌日、俺は普通にリコリコでバイトをする。
ただこの店の正体を知る事が出来た。
此処は千束達が所属するDAの支部で、DAが受け要らない依頼を受け持つ所。それがリコリコだ。
主に千束が居てこその店で、何でも屋みたいな感じだ。
なる程ね…、それで千束が主に指揮している感じに思えたのか…。
って言うか店長のミカさんは単なる飾りなのか? そんな風には思えないんだけどな~…。
まあこれは俺がそう思っているだけなんだけどな。
それにもう1つ気付いた事もある、それはクルミだ。
クルミはどうやら裏のネット世界では名の知れた凄腕ハッカー【ウォールナット】と言うらしい。
ネット世界で彼女は何でも知りたがる性格で、何でもハッキングしちゃうらしい。
そしてある事件で彼女はDAとテロリスト達に命を狙われる事となったみたいだ、狙われる理由…それは俺が直接聞いた事だった。
クルミが居る押し入れの所に行き、そこで聞いた。
「クルミ、お前が狙われている理由は一体なんだ?」
「…知ってどうするんだ?」
「どうするって、決まってるだろう。俺も千束達の素性を知った以上…お前を雇った奴の事も調べたいからだ」
「どうなっても知らないぞ。……ボクを雇ったのは【アラン機関】と言う奴等だ」
ん?アラン機関…何だそれ?
何だかまた分からない言葉出来たなおい。すると俺の横にブレードウルフがやって来て、それを説明する。
『アラン機関、世界中で障害を持つ者たちに医療活動を行っている謎の機関だ。主に障害を持つ者たちには天才的な才能があり、それを世界中に示している。
だが実際は何を考えているか分からない機関だ、エメリッヒ達もそれを調べたが、まだすべて分かっていないとの事だ』
「アラン機関…そんな組織があるのか」
「ボクは無知で居るのは嫌いでな、ある事をアラン機関にそれを問いかけた所で命を狙われる羽目になった」
クルミの話を聞いた俺は少しばかり考える。
アラン機関…何やら胡散臭い感じがするな、それに障害を持つ者達が天才的な才能を持つ…? そんなのを世の中に見せてどうする…。
天才ってのは99%は努力の結晶で、最後の1%の確率で天才の才能を発揮するんだ。
それで天才が世の中に示せるのだったら、この世は残酷なもんだよ。
同時にズルいと思えるな…。
だから俺はそのアラン機関がどうも怪しい感じがする。
でも調べても出て来ないんだったら今は様子で行こう…。
そしてある日の夕方、この日は千束とたきなはお休みで俺はカウンターでコーヒーを入れているとドアから客が入って来た。
その人は歳がほぼミカさんと同じくらいくらいで、少し瘦せ型の人だ。
「あ、いらっしゃいませ」
「おや?新しい店員かい?」
「はい、1週間前からここで働かせて貰ってます」
「へぇーそうなのかい。それでミカは?」
その人はミカさんが居るか尋ねて来て、俺はそれをありのまま語る。
「ミカさんは今買い出しに行ってますね。本来だったら俺が行くのですが、どうしてもと…」
「あははは、彼はちょっとばかり頑固な所があってね、そこは許してやってくれ」
ほうほう…? どうやらこの人はミカさんの知り合いの様だな。随分と浸しい間柄の様だ。
「まあ折角だ、君の珈琲を貰おうかな?」
「分かりました。少々お待ちください」
俺はすぐにコーヒーを入れる準備をし始める、カップを一旦お湯で温め、コーヒーを少しだけ蒸らす。蒸らしたコーヒーは程よい感じになり、お湯をゆっくり注ぎながらコーヒーを入れる。
そして温めていたカップのお湯を捨てて、入れたコーヒーをカップに注ぎ、俺はその人に差し出す。
「お待たせしました」
「おおー…中々上手だね。しかも手際が良い」
「ありがとうございます」
お礼を言った後、その人は俺が入れたコーヒーを飲む。
「ふぅ~ん…中々いいね。ミカが入れたコーヒーよりも美味い」
「そうですか?」
「ああ、最初は彼が入れたコーヒーはとてもじゃないが飲めた物じゃなかったんでね」
ああ~、最初の頃の事か…それは仕方ないんじゃない。
誰だって失敗する事だったあるよ。
俺がそう思っていると、ミカさんが帰って来た。
「ただいま、ん?おお~“シンジ”か」
「やあミカ。彼中々いい腕をしているね」
「ははは…彼には参るよ。彼のお陰でここ最近売り上げが良くてな」
「なる程ね…、彼を大事にすると良いよ」
そう言ってシンジさんって人はコーヒーを飲み終えると、代金を置いて去る。
「それじゃあね」
シンジさんは店を後にし、俺はそれをただ見届け、ミカさんに問いかける。
「ミカさん、あの人をご存じで?」
「ああ、彼は【吉松シンジ】。私の古い友人だよ」
ああ~なる程ね~、だからミカさんの事を知っていたのか。
それなら納得だ。
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そして翌日、リコリコで俺はお昼の食事を取っていた時に千束が慌てた様子で来た。
「ねえねえねえ!進一君!!!」
「な、何だ千束?」
「昨日吉さんが来たって本当!? どうして私に報告しなかったの!」
はっ?どうしてそんな事で報告しなきゃならんのだ?
するとたきながこの場にやって来て、俺にその理由を説明してきた。
「千束は顔見知りの人にはちゃんと挨拶をして置きたいんですよ。常連客の人達には特に…」
「それで吉松さんが来た事をミカさんから聞いて、俺に言いに来たのか…大変だな?」
「ちょいちょいちょい! 他人事みたいに言わないでよ!」
そう言うと同時に俺の端末が鳴り響き、それに俺だけじゃなく、千束達もそれに振り向き、俺はその端末をテーブルに置いて起動させる。
するとホログラム画面が出て、キャンベルが映し出される。
「進一、先ほど1時間前にある情報を耳にした。とある倉庫で月光らしき無人機が停止状態で発見されたとの報告を聞いた」
「月光が?」
「ああ、そこである国のPMCがその月光を回収しようとしているとの情報を手に入れたんだ。もしその月光がPMCに渡ってしまったら大変な事になってしまう…。
進一…すぐにその月光を破壊して、他国に渡るのを阻止してもらいたい。手段はどんな手で使っても構わない」
「分かったよ。早速準備して行く」
そう言ってホログラム画面を切って、俺は準備をする。
だがそれを当然の様に千束が…。
「はいはいはい! 進一君!当然私も行くからね!」
「まあそうでしょうね。進一さん…私も行きます」
「でもいいのか? DAにはあまりこの事を知られる訳には行かないんだろう?」
俺がその事を言うと、千束はその場で固まり、ちょっとばかし困り果ててしまう。
あの時キャンベルが言った通り、DAはあまり他国やそのほかの組織の協力を好まない。
逆にその組織を潰していくのが常套手段、どうするべきか考えていると、ミカさんがこう言いだした。
「なら制服を着ないで、撫川君がこの間着ていたあれと同じ物を着ればいい。そうすればDAにバレない筈だ」
「え?スニーキングスーツをですか?」
「おっ!何だか潜入っぽい名前のスーツ! それじゃあそれを着て行こう! ねえ進一君、それ何着か持ってる?」
千束が俺が持つスニーキングスーツのもう一着があるかどうか聞いて来て、俺はそれを端末で調べて見る。
するとスニーキングスーツは何着も取り出せると分かって、それで解決する事が分かった。
「ああ、家に何着もあるみたいだ。取り合えず千束とたきなの分だけ出して置こう」
そう言って俺は家に戻り、スニーキングスーツを取りに戻った、本当は店を出た後にこっそりと端末でスニーキングスーツを家に出して置ける様出した。
だがその際に千束とたきなが付いて来ていた。
それに俺が気が付く。
「あれ…? このまま付いてくるの?」
「当然だよ!」
「進一さんの家で着替えて、そこでミズキさんの車で向かう事にします」
ああ~そう言う風な感じなのね、やっぱり仲間を持つと違うな~。
そして俺達は家に着くと、置いてあるスニーキングスーツ二着を千束とたきなに渡し、それを2人は受け取って別の部屋で着る。
俺もすぐにスニーキングスーツを着用し、身体にフィットさせて、無限バンダナを巻く。
「お待たせ~!」
振り向くと、千束とたきながスニーキングスーツを着た状態でやって来て、スーツの着心地の良さを言う。
「いや~このスーツ凄いよね! 着た瞬間身体にフィットするんだもん!」
「これって一体どんな構造になってるんですか? 絶対普通のスーツじゃありませんよね?」
「ああ、俺達の財団組織が開発したスーツだ。自動調整機能や治癒機能、体温調整などの機能も付いているから」
「ええ? 何それ…すっごい便利なもんなんだけど」
千束は俺の説明を聞いて、このスーツの凄さに驚いていた。
本当はそのスーツはただドライ効果だけが強い奴なんでけどね、本当ならもっと凄いスーツの開発もしてみたいよ。
その為には拠点が必要だけどね…。
でもその拠点はないからな~…、まあないものに駄々こねちゃあ行けないな。
これで準備万端、武器も取り出して、オペレーターと麻酔銃、M4カスタムを持つ。
千束とたきなも銃を持って確認し、外に出てミズキさんが乗って来た車に乗って行く。
さあ~て、どんな結末になるやら…。
当然ながらその背後にブレードウルフがステルス迷彩を起動させて付いてくるのは言うまでもなかった。