リキッド達からの襲撃から数週間か一ヶ月近くが経った。あれから敵の襲撃が全くない…と言うより来ない事が帰って不気味だ。
俺はその不気味な感じからどうも抜けきれない感じがして仕方がないんだ。
あのリキッドが何もして来ないのがどうも怪しい…。
「一体何が望みだ?リキッド…」
俺はそう呟きながらお客さんが食べた後の食器を洗い、次のデザートを作る準備をする。
そして別の場所、千束達が居るリコリスの本部では千束とたきなが前回襲われた時の似顔絵を描かされていた。
千束とたきなだけはなく、楠木と助手、そしてファーストリコリスである【春川 フキ】とセカンドリコリスである【乙女 サクラ】の姿もあった。
彼女等は前回進一が行っていた任務に居た時のがこの2人である。
その似顔絵が完成すると、一斉に見せる。
しかし似顔絵は全く似つかない物ばかりだった。
「プッ!!何たきな!全然似合ってない!」
「な!笑いましたね!! そっちこそ似てないじゃないですか!!」
言い争う2人にフキは徐々に苛立ちを隠せない。
「お前等な…、これじゃあいくら私が書いても埒が明かないだろうが!!」
っとフキはプロジェクターに映し出されてる似顔絵写真を叩きながら叱っていた。
その似顔絵は警察の似顔絵と全く同じで、上手な方だった。
「…似てない」
「似てないですね…」
「お前等のがそう書かされてるからだろうが…!」
「…帰っていいぞ」
楠木がそう言うとたきなが慌てて抗議しに行き、千束とフキが似顔絵の事で睨み合ってる中で、サクラが呟く。
「リコリスは絵も必須科目に入れるべきっすね…」
そしてまた別の場所では、真島がロボ太に頼み、進一達を助けた部隊を調べさせていた。
『こいつ等一体何処から来たんだよ? まるで霧の様に現れては消えて行った…訳分かんないよ!』
「だよな…あの野郎もこの事にはだんまりしてるしよ…、こっちで徹底的に調べてやる」
そう言って真島はリボルバーを画面に向け、その照準を進一の方をに向けた。
「特にお前…、あいつと何やら面白そうな情報を持ってそうだな…? 一体何者だ?」
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千束達がリコリスの本部に行った翌日、俺は外の買い出しに行っていた。
まあ買い出しと言えど、足りない物を買うついでぐらいだけど。
その際に俺は公園のベンチに座り、端末を取り出して、オタコン達と連絡を取る。
「どうしたんだい進一」
「何か悩み事か?」
「いや、大した事じゃない。この間俺がフルトン回収したあの空母の改修作業はどんな感じ?」
そう、俺が連絡したのはあの空母の改修作業だ、あれだけの大きな船だ。かなりの時間が掛かってる筈、それがちょっと気になったんだ。
「ああ、あの船ならもうすぐ改修が終わるぞ」
「…え?」
今…なんて? もうすぐ終わる?どう言う事? あれだけの大きな船だぞ、最低でも1年以上は掛かると思ってた。
その疑問を俺はすぐに問いかけた。
「おいどう言う事だ? もうすぐ終わるって」
「その言葉の意味だよ。亜空間にある物は時間がかなり短縮される様になる、更にこっちは無人機があるから24時間フル稼働状態だ。そのおかげで空母の大改修も着々と進んでいる。
そして空母に放置されていたあのF-14も大改修を進めて、今最新鋭の戦闘機と同等の性能を有する事となる! どうだ!!これぞまさに俺が望んだものだ!!!」
「暑苦しいぞ…」
ミラーの暑苦しい感じには呆れさせるが、その話を聞いて俺は少しだけ考えた。
あの空母も勿論、月光と戦闘機をアップグレートさせた事を本当に良かったのか。まあしてしまったものは仕方ないか…。
何よりリキッドの事を考えると、これだけの戦力を揃えるのも必要なのかなっと思う。
「ありがとう。それを聞いただけでもかなりの成果だよ」
「ああ、俺はこれから新しい装備の開発を研究開発班の所に行く」
そう言ってミラーは通信を切った。
本当にあいつはこういうのが好きだな。まあいいか。
「それよりオタコン、リキッドの動向は調べる事は出来たか?」
「いや、相手側はかなりのセキュリティ体制がとても高い。こちらじゃあリキッドの動向を調べる事は出来ない」
「そうか…リキッド側の方がセキュリティは万全か…。分かった、ありがとうオタコン、引き続き頼むよ」
「うん、それじゃあ」
そう言って通信を切り、俺はベンチから立ち上がって、リコリコへと戻る。
「ただいま戻りました~」
「お、進一、やっと戻ったか~」
っと和服のクルミが俺が戻ったのを見て振り向く、千束達が襲われて以来全面協力をしていると同時に店までの協力を得ている。
最初はクルミは聞いてないとの雰囲気を見せたが、何も言わせない雰囲気を俺が見せた為、クルミは渋々協力をする事になった。
まあ事件をややこしくした結果だから仕方ないよな。
「おう、それよりも千束は?」
「千束なら休憩室に居ますよ」
たきなが俺の所に来て、買ってきた買い物を受け取る。
そして俺はその買い物袋の中から千束の好きなお菓子を取り出す。
そう…あいつ等が襲われ、俺がリキッドと戦う事を話して以来あいつとは少しぎくしゃくな感じになってしまっている。
不殺を願うあいつだ、そう簡単に殺人を認める事は出来ない。
それがあいつの少し面倒な所だ。
そして俺は休憩室に行き、そこに入ると千束が俺の方を見ると、少しばかり戸惑うそぶりを見せる。
「あ、進一…君」
「千束、ほらお前の大好きなお菓子買って来たぞ」
「あ…ありがとう」
「おう、それじゃあ俺は仕事に戻るぞ」
そう言って俺は休憩室から出て行く、あんまりしつこいと返って駄目だからな。
俺はそう思いながら出るのであった。
「はぁ…」
また私ってば、変な感じにしてしまった。
襲われて以来…私は進一君との距離感が出来てしまった。
その理由は…はい、勿論私です…私がいけないの。進一君に無茶な要望をお願いしてしまったのが原因。
進一君がリキッドと戦うって聞いて、それを思うと殺してしまうんじゃないかな?って思って、私が殺さない様頼んじゃったから。
でも…本当は分かってる、進一君は理解しながらも戦うんだって事が…。でも…やっぱり納得できない。
私はどうしても殺す事が容認出来ない…。私は…この機械の心臓をくれた人の様に、人の命をどうしても救いたいと思うから…。
「…はぁ」
「千束」
「っ!?」
突然の声に私は慌てて振り向くと、そこには先生が居た。って言うか先生…居たの?」
「まだ進一君と話せてないのか?」
「え…あ、…うん」
「……分かってると思うが、あいつ等はこの世を混乱や下らない程の管理をしようとしている連中だ。絶対に改心はしない奴らだ」
「先生までそんな事…分かってはいるけど…」
私の心の奥底では中々納得は出来ない。
どうして納得が出来ないんだろう…、この胸の奥底に誰も答えてくれる人はいない…。
一体如何したらいいのやら。
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その翌日、休みの日に俺はチャドの散歩をしていた。
同時にまだまだこの辺りを知らない俺、それを知る為にチャドと共に見ている。
旧電波塔に延空木…あの辺りの周りはまだ見てないから、今度チャドと一緒に見て回ろう。
っとその時だった。
「ッ…クンクンクン」
「ん?チャド?」
突然チャドが地面をにおいを嗅ぎ始め、ゆっくりと進んで、そのまま路地裏へと行く。
チャドの後を追いかけると、そこに赤み入ったピンク髪の少女が壁にもたれて座り込んでいた、しかも腹部には撃たれた後があり血がでている。
そしてなにより気がかりなのは、彼女の服装はセカンドリコリスの制服を着ていたからだ。
「(この子は…DAの子か? でもどうして腹部に銃創がある? でも今はそんな事を気にしてる時じゃない)」
俺はすぐさまその子の所に行き問いかける。
「おい、大丈夫か?」
「はぁ…はぁ…。だ、大丈夫…です。わ、私…の…事は構わず」
息が辛そうに喋る彼女、おいおい…無理するな。
「そうはいかない。見てしまった以上放っては置けない」
俺はそう言ってその子の腹部を見る。
腹部の傷…内臓は傷ついてないな、それに弾は貫通してある。
これならばすぐに手当てできる。
軽い治療キットを出して、彼女の腹部にある注射器を打つ。これは撃たれた部分を止血する効果のある注射型の止血剤だ。
これを使って止血する。
打った止血剤の効果により、腹部の血は止まった。
「これで良し、後は…」
俺は撃たれた所を上着で隠し、背負ってある所に向かった。
「(本来なら病院に連れて行くのがベストだけど、ここからだと遠い…。仕方ないけどリコリコでミカさんに頼むしかない)」
俺の後をチャドも追いかけ、そのままリコリコへと向かった。
そしてリコリコへと到着し、扉に手を掛けようとした時だ。扉の奥に誰か3人くらい気配を感じた。
これは…敵か?
俺は背負ってる子を下ろして、M9を取り出して構え、ゆっくりドアノブに手を掛ける、そして一気に扉を開けると、3人の女子が俺に襲いかかって来た。
1人は銃を抑えながら首元に近づけて、カウンターに押さえつけて締め上げ、もう1人は右足を使って首元をロックして締める。最後に俺は銃を構えようとした子に向けて銃を構えた。
「っ!?」
「グッ…!!」
「う…!」
俺は睨みを効かせながら見ると、3人共リコリスで、ファーストリコリスが1人、セカンドリコリスが2人だった。
これは一体…。
「進一君!銃を下ろすんだ!!」
「ミカさん?」
ミカさんはカウンターから出て来て俺に言い、千束とたきなが従業員用のドアから出て来て、その様子を見てた。
これは一体どう言う事だ?
「進一君。出来たらフキ達を離してくれない…」
「彼女達は私達の仲間です」
「おい!!お前ら何を!! それに先生も一体何を!!?」
ほう~?俺に押せつけながらも喋れるのか、結構タフだな?
まあそれなら良いか。タフはタフで。
「別に構いませんが、こいつ等が襲うのをやめてくれませんかね?ミカさん。特にこの男勝りの奴は結構暴走気味ですよ?」
「分かった。フキ…いいから私の言う事を聞け…」
「せ、先生…」
その言葉と同時にその少女は力が徐々に抜けて行き、同時に2人も力が抜けて行った。
よし…これなら大丈夫だな。
俺は抑えている3人を解放し、その後に皆に言う。
「申し訳ないですが、ちょっと気になる子を連れて来たんですけど…大丈夫ですか?」
そう言って俺は一旦外に出て、先ほどの重症の女の子を背負って入って来る。
「あっ!!“エリカ”!!!」
長身の金髪少女が背負ってる子を見て駆け寄り、心配そうに見ている。
やっぱりこの子達の仲間か…。
一旦店を閉めて、俺はリコリス達の方を見る。
一応救急箱で傷の手当てをしている彼女達、それとさっき千束から名を聞かされたよ。
千束と赤服の少女は『春川 フキ』、そしてたきなと同じ蒼服の少女達は『乙女 サクラ』と『蛇ノ目 エリカ』に『篝 ヒバナ』と言うらしい。
一体どうしてリコリスがこの店に居るんだ?
「ミカさん、一体何があったんです?」
「ああ、それは「先生!」どうしたフキ?」
「どうしたもこうもありません!! 何ですかそいつは!!何でこの店の事は勿論リコリスの事を何故平気で喋ってるんですか!? それに千束!たきな!!お前等も一体どう言うつもりだ!? 何故民間人を巻き込んでる!!?」
フキは怒り散らした状態で俺等を見る、って言うか民間人って…お前さっき俺にあっけなく制圧されてしまったじゃないか。
それでよく民間人と言えたもんだな…。
「えっと…」
「それは…その…」
言葉を積もらせる千束とたきな、するとミカさんが言葉を開かせる。
「フキ…彼…進一君は民間人じゃない。ある組織に所属するエージェントだ」
「っ!?エージェント…!?」
驚く表情をしながら俺を見るフキ、勿論サクラたちも驚いた表情で俺を見る。
まあそんな事は良いとして、一体何があったんだ?
「さっきの続きですが…こいつ等に何があったんですかミカさん、何故リコリスが此処に?」
「ああ、それはこれだよ進一君」
っとミカさんはタブレット端末を出して俺に渡して見せる。
その映像には驚くべき映像が映し出されていた。
それはリキッド達が率いてる部隊がリコリス本部を襲撃している映像だった。
進一がフキ達を拘束するシーン、これはMGSのスネークが投降するそぶりを見せ、抵抗したシーンの辺りです。