俺達はナオミとの出会いである程度の情報も手に入れた。
この世界のメタルギア…メタルギア・ゼロと呼ばれる新型メタルギアの名前もな…。
しかし新型メタルギアの開発コードネームがそんな名前だなんて…誰が想像するんだ?
そしてナオミの言葉に俺達は一瞬言葉を無くした。
機械のみを直す修復用ナノマシン…? 一体何処でそれを…。
「…機械のみ?」
「そうよ…。貴女の人工心臓はアラン機関が総力を集めて開発した最新式の医療技術よ。それを壊されたと言う事は…貴女は何かしらアラン機関から切られてしまった…との事よ」
「……」
ナオミの説明にミカさんは少しばかり黙り込んでしまう。
ミカさんはあの吉松シンジからある約束をしたにもかかわらず、何も変わってないと思われてこの手を使われてしまったのだろう。
あの詐欺師がしそうなことだ。
俺が考えてる中で、ナオミは千束に説明をし続ける。
「このナノマシンを打つと、貴女の人工心臓にナノマシンが届き、壊れた部分を修復して復元する。更に劣化した部品も修復してくれるから交換の必要はない。
更にこのナノマシンは体温によって充電される為、貴女の人工心臓の充電機能も役立ててくれる筈…」
「修復…。…千束!これを打ちましょう!これを打てば千束は助かるんですよ!」
たきなが勢いのあまり千束に近寄り、両肩を掴みながら言う。
でも千束はたきなの手を握って言う。
「たきな~、落ち着きなよ」
っとその事を言われたたきなは少しだけ落ち着きを取り戻して千束の肩から離れる。
だが千束はナオミの方を向いてこう言ったんだ。
「折角ですけど~…。お断りさせていただきま~す」
「っ!!千束!!?」
「おい千束!!!」
たきなとフキは驚きを隠せないまま千束を見て、俺は表情を変えないまま千束を見る。
一方ナオミは表情を変えずに千束に問いかける。
「何故なの?」
「う~ん…確かにそれを使うとこの心臓は直ると思いますけど、私はもう良いと思ってます。それに命は何時か尽きるので、それを受けて入れて──」
「貴女が死ぬのはまだ早いわ」
千束が言っている最中にナオミが口を挟み、それに千束は思わず口が止まる。
「貴女はまだ17歳…いくらなんでも死ぬには早い。10年前に先天性心疾患を患い…アラン機関からその心臓を与えられたとは言え、貴女が死ぬにはまだ早すぎる。それに…」
「もう~!私が良いって言ったら良いんですって! もう私は十分に「貴女は周りの人達を巻き込み、その笑顔を作っていった。その笑顔をここで絶やすの?」っ…」
ナオミの言葉に千束は思わず口が止まり、たきな達もそれを思わず唾を飲み込む。
俺は黙ったまま千束を見て、そしてナオミは千束に歩み寄ってしゃがんで千束を見る。
「アラン機関から何かしら使命を与えられている…、それを貴女は抗いながら己の道を進んでいる…。…生きる事から逃げちゃだめよ」
「あ…」
「っ…!」
千束とミカさんはそれを聞いた途端目を大きく見開いた。生きる事から逃げるな…か、俺も薄々感じていた事だったからいつか千束に言おうと思ってたけど、まさかナオミがそれを言うとは思わなかったよ。
まあそう思いつつ、俺はナオミの方を向いて問う。
「ナオミ、その注射器を今打つのか?」
「…そう考えたけど、今の様を見ても彼女はどうもやる気にはなりそうにないわ。だからこれは貴方に一応渡しておくわ。それともう1つ…」
ナオミは修復用ナノマシンを俺に渡して、棚からもう1つナノマシンを取り出して俺に渡す。
「これは何だ?」
「アップグレート用のナノマシンよ。それを使えばナノマシンを強化する事が出来る。リキッドの技術力に対抗する為にもナノマシンの強化は必須よ、上手く使って」
アップグレート用のナノマシンか…。確かに無線を傍受される様じゃ駄目だな、これは使わせてもらおう。
俺はそれを受けとると同時にエリカとサクラが何かを感じ取る。
「あれ?」
「ん? 何すかこの音?」
「え?」
俺達は2人の言葉を聞いて耳を澄ましてみる、するとわずかながら何か鳴き声の様な音が聞こえる。
カァァァァァア…。
カァァァァァア…。
カァァァァァア…。
すると徐々にその音は聞こえてくる。ってこの音は!
「っ!!皆伏せろ!!!」
「伏せるんだ!!!」
俺とミラーが皆にそう叫び、皆は同時に伏せると謎の爆風が外から起きて、窓が一斉に割れて飛び散る。
くっ!この攻撃は一体!?
「っ…!おい何処からの攻撃だ!?」
『上空からです!無数の無人機が飛び回っています!!』
マザーベースのスタッフからの無線に俺達はその無人機にすぐに正体が分かった。
「クソッ!レイジング・レイブンか! どうやってここを嗅ぎ付けたんだ!?」
「その考えは後だ進一! 今はここに居てはこの診療所は崩れるぞ! すぐにここから離れる!!」
確かにな。何時までもここに居たら的にされてしまう!だが全員で行動すると危険が及ぶし、サニーが一番危ない…。
仕方ない!ミラーにあれを呼ぶよう頼もう!
「ああ! ミラー!例の車を寄こすよう仲間に伝えてくれ!」
「それなら心配ない!! おいすぐにあの車をこっちに寄こしてくれ!」
『了解!!』
ミラーは部下達に例の車をこっちに持ってくる様にと手配した。おいおい…用意周到過ぎだろう。
そして俺達は外に出ると、戦闘員達が上空に向けて銃を乱射していた。
上空には無数の無人機であるグライダーが飛行していて、戦闘員達に向けてミサイルを発射し、それを回避する戦闘員達。
数はかなりあるな…。なら早くここから移動しないと!
っとそう思っていると、俺達の元にある車が猛スピードでこちらにやって来て目の間に止まる。
それは嘗て港の倉庫で密輸として運ばれそうになっていたあの国産高級スポーツカーだった。
「うわっ!?何その車!?」
「また今度説明する! 俺はこいつに乗って奴等を誘い出す!その間に皆を連れて逃げてくれ!」
「ええっ!?進一君1人で!?」
「私達もお手伝いしますよ!!」
「時間がない!頼んだぞ!!」
そう言って俺はスポーツカーに乗って、アクセルターンで急速発進させ、その場から去る。
同時に無人機のグライダーは俺が飛び出したのを認識し、追いかける様に飛び去ってしまった。
「進一君!」
「千束!今は皆の安全が最優先だ!」
「っ…うん、分かった…」
仕方なく千束は残ったメンバーで車に乗り込み、その場から早急に退散していった。
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おまけ
「あっところで進一君の車、誰が運転する?」
「ああ?私がするに決まってるだろう?」
「ええ~!フキが?! それだったら私が!」
「私がします」
っとたきなが早急に運転席に乗り、千束が猛抗議する。
「そんな~!私が運転したいよ~!」
「進一さんの車を千束の乱暴でガサツな運転で壊したくないのです!」
「ぶ~~~~!!」
膨れる千束に対し、たきなは無視してエンジンを掛けて、仕方なく千束は助手席に座るのであった。