レイジング・レイブンを撃破し、俺は亡くなったリコリスの遺体と共にリコリコへと戻って来た。
なるべく遺体を住民たちに見られない様に隠しながら俺は店の中に入る。
すると店の中には千束達が待っていた。
「あ…進一君」
「お疲れ様です…」
「ああ、オタコン…ミラー。この子を埋葬してくれ…」
俺はオタコンとミラーに死んでしまったリコリスを頼む。
何時も辛い役目を押し付けてしまうが、この場合彼らが適任だ…。
「分かった、俺達が何とかしよう…」
「うん…それよりもナオミはどうするの?」
オタコンがナオミにこの後の事を聞かれ、ナオミはその事に少しばかり考え込む。
そう言えば診療所がレイジング・レイブンとグライダーのせいでめちゃくちゃになってしまったからな…。
どうするんだ一体…。
「そうね…。診療所ならこの街にもいくつかあるから、そこで行う事も出来るわ。それに貴女の言う山岸さんにも話をしてみたいし…」
「え?山岸先生の所に…?」
「そうよ。貴女がいつもお世話になってる場所、一応挨拶しておいた方がいいと思ってね」
「うわ~…マジか~」
千束は何故か肩を落としながらため息を付く。
何でそこでがっかりするんだお前? 別に良いと思うんだがな?
まあそれはいいとして…、千束は果たしてこれを打ってくれるかどうかだ。
俺は修復用ナノマシンを取り出し、千束の方を見る。
実際の所…これをあいつはどう受け止めるかどうか…。
すると千束は俺の視線に気づき、手に持っているナノマシンを見る。
「…進一君。それ…」
「…ああ、これは千束がよく考えて決めてくれ。一応渡して置く」
俺は千束に修復用ナノマシンを渡し、千束はそれをじっと見つめて考え込む。
恐らく千束はナオミに言われた事を考えてるだろうな、自分の人工心臓の事を考えるとな…。
するとミカさんがこう言い出した。
「取り合えず今回は様子を見よう。進一君…お疲れだったな」
「ええ…、じゃあ俺はこれを脱いだ後はこの近くの隠れ家に居ますので、何かあったら呼んでください」
そう言って俺はスーツを脱ぐ為に休憩室で着替え、私服に着替えて隠れ家に向かった。
その際、たきなが俺の方を見ていた。
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隠れ家に戻ると既に補修工事が完全に終えていた。
傷んでいた所が綺麗に直り、更に色剥げていた部分も補修されている。
かなり頑張ってくれたな仔月光たち…。それに俺が乗ってた車とバイクも此処に移されてる。
移動した際にスタッフの1人が此処に戻したのだろうな。
まあそれはいいとして、俺は隠れ家に入ってリビングルームへと入る。
家具の方は一通り揃ってる、大体マシな方かな?これでも。
俺はそう思いつつリビングに置かれているソファーに寝転がり、天井を見ながら思う。
ナオミが現れて千束に修復用ナノマシンを使うよう勧めた…、でも千束はなかなかそれを受け入れるかまだ迷ってる様だ。
目を見れば分かる…。ナオミに生きる事から逃げては行けないと言われた事に、少し思いつめる様子が伺える。
「…千束の奴、ちゃんと使ってくれると良いが」
俺はそう言いつつ、一度起き上がってアップグレート用のナノマシンを取り出す。
俺のナノマシンを強化するナノマシン…、これを使えば相手に無線の傍受はされなくなる。
アップグレート用ナノマシンを首に当てて打ち、ナノマシンが体内にあるナノマシンを強化し始める。
これでもう大丈夫だろう。
そう思ってると呼び鈴が鳴り、それに俺は振り返り玄関の方に行き、ドアを開けるとそこにはたきなが居た。
「たきな?どうしたんだ?」
「突然すいません。お邪魔してもよろしいですか?」
「あ、ああ…」
たきなの真っすぐな目に少し押された俺、そのままたきなを隠れ家に上がらせ、俺はたきなが来た理由を問う。
「それでたきな、来た理由はどうした?」
「…進一さん。…貴方は千束をどう思ってます?それと私の事をどう思ってますか?」
「え…?」
たきなの突然の質問に俺は思わず言葉が詰まった。
2人の事をどう思ってるかって聞かれるなんて思ってもいなかったから、それに千束とたきなは仲間として思っていたけど…恋愛に関しては…。
恋愛に疎い俺には全く関係のない事だと思ってた…。
だからこれに答える事なんて…、なかなか出来ない。
「…それは」
「進一さんはこれまでずっと私達の事を助けてくれました。そしておそらくこれからもずっと助けてもらうと思ってます…だから今聞きたいのです。進一さんは…私や千束の事を…好きですか?」
「(好き…そう言う事か、疎い俺はそれにどう答えるかは分からないけど…、ここは素直な気持ちを伝えればいいのかな?)」
たきなからの言葉に少し考えた俺は、素直な気持ちを伝える。
「…俺は、千束もたきなも好きだぞ。2人は今の年頃の女の子としては良い感じだし、それに…2人の悲しむところは見たくないしな」
素直な気持ち…俺はそうたきなに伝える。これで…良いんだよな?
後の事は分からない…、恋愛は得意分野じゃないし、誰だって分からないから。
するとたきなはその答えを聞いた後、少し微笑みながら立ち上がる。
「それを聞けて安心しました…。進一さん…どうかこれからも私達を助けて下さい、もう私達はリコリコメンバーの中でも特別な関係ですから」
そう言ってたきなは隠れ家から出て、自分の住まいに戻って行く。
それに取り残された俺はただ唖然とするしかない。
特別な関係か…、ただこれからも一緒に居られるか正直分からない。メタルギアを破壊した後はどうするかを決めてないからな。
それまでは何とも言えない…、そう思う俺であった。