メタルギア・リコイル   作:ライダーGX

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決戦の時
第56話


サイボーグ化された楠木を連れて俺達は喫茶リコリコに戻って来た。

 

戻って来た俺達をミカさん達は何とも言えない様子だった。それもそうだ…楠木がこんな姿にされてしまった事に何とも言えないからな。

ミカさんは楠木を見て呟く。

 

「楠木…、お前ともあろう者がそんな姿にされるとは」

 

「気に入らない奴だったけどね~」

 

ミカさんはともかく、ミズキさんは楠木を見ながらそう言う。

 

「おい!!司令にそんな事を言うんじゃねえ!!」

 

「仕方ねぇだろう!あんた等とは違ってこいつとは嫌な思い出しかないんだからよ!!」

 

ミズキさんとフキが言い争う中、俺はミカさんにある事を聞く。

 

「ミカさん、奴らは楠木をさらった上にサイボーグまでした。リキッドが俺を殺すにしては、ちょっとおかしな感じがしますよ…」

 

「やはり君もそう思うか?」

 

「ええ。リキッドの事です…奴は何かあります」

 

俺は確信する…。リキッド…あいつは何か考えて楠木をサイボーグにした筈、それだったら即殺している筈だ。

 

俺達が考えてるとクルミが楠木を少し調べていて、すると何かあるのに気が付く。

 

「おい、こいつの身体に何かあるぞ」

 

「え?」

 

「何だと?」

 

クルミの言葉に俺達は振り向き、すぐにクルミの元に集まる。

楠木の身体を調べるクルミは、楠木の身体に取り付けられていたあるUSBメモリを取り出す。

 

見た所損傷もないようだし、あの戦いの後の電流での損傷も見受けられない。

 

これは一体…。

 

「クルミ、これをすぐに調べられるか?」

 

「ああ、任せろ」

 

そう言ってクルミはパソコンにUSBメモリを接続して、このUSBメモリに何が入っているか確かめる。

 

調べるとこのUSBメモリには楠木の証拠記録が残されている。

 

『これを見ていると言う事は、私はもう殺さているのだろう。そしてDAもまた壊滅…復旧は困難と見て良いのだろう…。だが望みはまだある。

千束…フキ、これを見ているのならこれをスネーク…撫川進一と言う人物に渡して欲しい。

当然外部の人間…別組織の人間を信用するのは間違いだろうが、もうそんな事は言っていられない。

 

リキッドと言う男は意外にも用心深く、そして巧妙だ…。

 

奴はどうやらメタルギアとか言う核搭載兵器を探しているらしく、先ほどその兵器の場所が判明したらしい…。

その兵器が延空木辺りにあると言っていた様だ。

 

何故延空木辺りにそんなのがあるのかが不思議で溜まらん、ラジアータでさえも見つける事が出来なかったその兵器…見過ごす訳には行かんが、リキッドには何もかも見破られている。

 

すまない…お前たちリコリスには過酷な道だろうが。これからはお前たちの道を進め…。

ミカ…貴方には負担をかけて申し訳ありません。

 

そして撫川とやら…この状況を打破してくれ…頼む。』

 

その記録と共に場所が記されていて、その記録に俺は黙っていた。

 

「延空木辺り…。まさかそんな所にあるなんて…」

 

「意外と身近だな…。すぐに行くか?」

 

「いや、あそこはもうすぐ延空木オープンイベントが行われるし、警備の警戒もある。今行ったら怪しまれる」

 

クルミの問いに俺は少しばかり慎重に考えて行動しなければな。今回ばかりはクライング・ウルフとの一件であまり派手な事は出来ないし、何よりレイジング・レイブン戦でもそうだ。

あの戦い以来もちょっとニュースになってた。

 

何もないビルで銃撃戦があった模様って。そう考えると慎重に動く必要がある。

 

今回は港だったから多少銃撃戦は大丈夫だがな。

 

「明日出発しよう、侵入経路を探してそこから捜索すればいい」

 

「そうだね~…。よし!私も気合入れて――」

 

「千束はもうこれ以上動かないで下さい」

 

っとたきながそう言い出して、それにより千束は抗議する。

 

「ええ~!?なんでよたきな! 今はそんな事――」

 

「もうあなたには時間が無いんです。そろそろ決心して下さい、修復用ナノマシンを使う事を…」

 

たきなの言葉に千束はその事に黙り込み、修復用ナノマシンを取って見つめる。

 

…千束の充電のタイムリミット。そろそろもうすぐだ。

マジで考えないと千束の命が危ない。

 

そう考えながら俺は準備を進めるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして翌日、俺達は延空木辺りに行く為、準備をしていた時に千束がある箱を見つける。

 

「あれ?何これ?」

 

「どうしたんですか千束」

 

たきなは千束の方を振り向き、千束はその箱を開けた。

中に入っていたのは着物が二着が入ってのだった…。とても綺麗な生地で出来ていて、とても美しい…。

 

「ねえ先生、これは何?」

 

「…千束のだよ」

 

「ええ~!本当!? じゃあちょっとだけでも着て良いかな?たきなもほら!」

 

「えっ…ちょっと」

 

「おい千束、時間が「構わんぞ…」え?」

 

「(ミカさん…)」

 

フキが言おうとした際、ミカさんがそれを許可したのだ。当然フキは振り向き、俺はそれを見つめていた。

 

そして千束とたきながその着物を着て、俺達の前に現れる。

その姿はまるで完全な晴れ着姿で、成人式によく見られるものだ。

 

「うわ~!結構似合う!ねえたきな!」

 

「え、ええ…そうですね」

 

「じゃあちょっとだけ写真でも撮る?」

 

するとヒバナがスマホを持って千束達の前に来て、それを千束は嬉しがる。

 

「おお~気が利く~! ありがとう先生!」

 

「…お前に感謝される事など、何も出来てないさ」

 

「またまた~、私に名前をつけてくれたのも先生だしぃ、銃を教えてくれたのも!この店もたきなにも出会えたのもぉ~何より、私のためにヨシさんを探してくれたのも先生じゃん!あっ!さっきの写真ヨシさんに送ってよぉ!それくらい──」

 

 

 

「そうじゃないんだ!!」

 

 

 

突如ミカさんが大声を上げた事に千束達は驚きを隠せない。

 

「せ、先生…!」

 

「先生が大声出すなんて…珍しい」

 

フキとエリカが呟く中で、ミカさんが千束の方を向く。

 

「千束、シンジの事で話がある…」

 

「っ…」

 

千束はその事を聞くと、思わず息を飲み、俺も含めたきな達は真剣な表情をする。

 

「あの時私がシンジにオペを頼んだのは、司令官としての利益のためだ。少なくともあの時はそうだった。リコリスとしての現役期間だけ生き残ればそれでいい…と、そしてシンジとはある約束をした…」

 

「約…束」

 

千束はその事を問うと、ミカさんはこう言った。

 

 

 

──彼女を最強の殺し屋として育ててくれ

 

 

 

その言葉には俺は目を細め、たきな達は信じられない表情をしていた。

勿論…千束はこの事には信じられずにいた。

 

俺はため息を吐いて言う。

 

「はぁ…あの人の言っていた通りか」

 

「え? どう言う事…?」

 

「以前バーで話し合った際にこう言ったんだよ。“彼女には素晴らしき才能がある。それは彼女自身が持っている……殺しの才能がね”って」

 

それを聞いた千束はあり得ない表情をする。

 

「嘘…うそうそ、だって…自分は人を助ける救世主だってヨシさん…」

 

それをミカさんは頭を横に振る。ミカさんが言っている事が全て事実である事に、千束は再び言葉が止まる。

 

「じゃあ…どうして?」

 

「言えなかった!お前の中で…どんどん大きくなるシンジに対しての憧れは…いつ終わるかわからない命を支える力となっていった。それはとても眩しくて……儚い」

 

「ミカさん…」

 

俺はそれを言うと同時にミカさんは千束の方を言う。

 

「言ったほうがよかったのか!?お前の生き方は間違いだ。殺しを重ねればシンジはまたお前を助けてくれると……言えば良かったのか!?…教えてくれ、千束…!進一君達も教えてくれ!これが正しかったのか!?」

 

ミカさんが今も泣きそうな雰囲気で叫ぶ言葉に俺を除くフキ達は答える言葉はなかった。

 

でもそれはそれでミカさんらしい事だ…。ミカさんが千束に自分で選ばせ、千束自ら進めて、それが今まで通りの感じにさせて行ったのが納得できる。

だから俺から言う事は…。

 

「……ミカさん。それは誰も分からない」

 

「え?」

 

ミカさんはそれを聞いて頭を上げる。

 

「正しかったのか、間違いだったのか。それは誰も分からない…未来なんて分からないんだ」

 

「…うん、それは私も同じだよ先生、そして…ありがとう。私に決めさせてくれて…それ聞いてたら多分負けてた」

 

千束は腕を組んで語る。

 

「そんで仕方なくリコリスの仕事してたと思う。んで嫌なこととか辛いことは全部、先生やヨシさんのせいにする…。……それは嫌だわぁ、うん…ないない」

 

たきな達はそれを聞いて千束の方を見て、俺も千束の方を見る。

 

「私の仕事も…このお店を始めたのも全部私が決めた事。…それをさせてくれた先生とヨシさんへの感謝は今の話しを聞いても全然変わんない。…ふたりとも、私のお父さんだよ」

 

「千束…」

 

たきなは千束の話を聞いて呟く。

 

「それが、一番嬉しいって感じする…それに」

 

千束は俺の方を見る、って何で俺の方を見るんだ?

 

「別の場所でだけど…進一君とも出会えたし、一緒にお店もやる様になって嬉しいし、一番感謝だよ」

 

「…誘ってきたのはそっちだぞ?」

 

少々苦笑いしながらも俺は少し違ってる所を言い、それを千束が笑いながら言う。

 

「一緒だもん。でしょ?先生」

 

「……すまない、すまない……」

 

「もう先生泣かないでぇ~」

 

ミカさんはそれに泣き出してしまい、それを千束が慰める。

俺達はそれを見つめるのであった。

 

 

 

 

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