前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

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アビドスの事情

 アビドスに戻った私たちは、先生とアヤネちゃんに迎えられて、部室に戻ってきていた。

 

「よーし、面倒なことも終わったし、借金返済に集中できる!」

 

 そこで、気の緩みからかセリカちゃんは爆弾とも言える一言をこぼしてしまった。

 

”借金って?”

 

「ああ……借金というのは……簡単に言うとこの学校の借金です」

 

「ちょっと!」

 

 先生が聞いた事情を、アヤネちゃんが答えようとして……セリカちゃんが怒ったように立ち上がった。

 

「私がこぼしちゃったのが悪いけど、うちの事情まで話す必要はないでしょ!?」

 

”大人として、聞いておかないといけないから”

 

 先生は冷静にそれに返すと、アヤネちゃんに続きを促した。

 

「大人として!? そんなの信用できない!」

 

「ちょっとセリカちゃん。一応さ、先生達は今回助けてくれた人たちなんだから、信用してみるのもいいんじゃないの? それとも、それよりいい案があったりするのかな?」

 

「でも、これまで大人が私達の事情を助けてくれたことなんてなかった!」

 

「今回は先生達は助けてくれた。これはこれまでの人たちとも違う証拠。私は信用してみたい」

 

 頭に来ている様子のセリカちゃんを、ホシノとシロコもなだめようとしている。

 

「……当の本人である私に言われても信用できないかもしれないけどさ、それでも、助けになれるかもしれないなら、きっと協力する。だから……」

 

「〜っ! それでも! これは私達の問題! 今更大人が介入してくるなんて私は認めない!」

 

 効くとは思っていなかったけども、私の言葉も突き返すように反論して、席を離れ、部屋から出ていってしまった。

 

「私、探してきます!」

 

 ノノミちゃんが心配そうな表情で、それの背中を追いかける。シロコとホシノは全く表情を変えることなくその一部始終を眺めていた。

 

「……じゃあ、続きを。この学園には、かなりの額の借金があります」

 

「まあ、大体、9億円くらいだねー」

 

 ホシノが口にしたその金額は、学生どころか、大人が何人か束になっても返済が厳しいほどの巨額だった。……私は知っていたからそんなに衝撃を受けたわけではないが、実際に聞いてみるとやはりまた違うものがある。

 先生の方を向くと、眉をひそめて、真剣な表情を固めてしまっていた。肩を突くと、それに気がついたのか、眉のシワを緩めて、「大丈夫」と言わんばかりの微笑みを見せた。

 

「もともとこの学区では砂嵐が定期的に発生していたのですが……ある時、例年より強い砂嵐が直撃したのです。ここは田舎である上、被災した学校にお金を貸してくれる機関はなかなかなく、結局非合法な組織から借りたのですが……何度も来る砂嵐がどんどんとこの自治区を荒廃させ、現在ではこのように膨れてしまいました」

 

「……というわけでさ、うちはヘルメット団以外にも対処しないといけないことがあるっているのは、これのこと」

 

「だから、先生達が来てくれて助かった。ヘルメット団も倒せたし、おかげで、借金返済に集中できる」

 

 三人からの現状の説明は、このアビドスという自治区を左右しかねないほどの重さを持っていた。しかし、それを放っておけるほど、私達は合理的になれない。

 

 先生を見ると、うんと一つ頷いて口を開いた。

 

”私達にも手伝わせてくれないかな”

 

「……私からもお願い。ほんの少しだけでもいいから、私たちに手伝わせてほしい」

 

 皆に向かって頭を下げる。ホシノ以外は驚いた顔で固まってしまった。……確かに、ただの一人の生徒がここまでやるのは、普通おかしいのかもしれない。

 

「ねえ、先生、キタノ。おじさん聞きたいことがあるんだ。二人は、なんで頭を下げてまで手伝おうとするの?」

 

 それに対する答えは、私も先生も、驚くほどしっかりと持っている。先生はブルーアーカイブの先生として。そして私は画面の向こう側からこちらを一度観測して、そしてあの子からこの世界を託された特異点として。心の奥底は一致してるはず。

 

”「私たちがシャーレで、皆が生徒だから」”

 

「うへえ、なにそれ、変な理由だね」

 

「ホシノ。シャーレは、生徒皆を助けるための組織だから。それが、誰であっても変わりないよ」

 

 ホシノにそう言うと、表面上は軽い雰囲気で、しかし瞳の奥底では本当に信じられないという、疑念と諦め。そして……本当に小さな希望を宿しながら肩をすくめた。

 

 ……これは私が一度彼女を見たことがあるからこそわかった事。願わくばその肩の荷を少し私達にも分けてくれたら、なんて言うのは今日あったばかりですることではないかな。

 

「とにかく、先生、キタノちゃん、よろしくおねがいします!」

 

 

 ●●●

 

 

「ねえ先生」

 

”うん? どうしたの?”

 

「なんで私達一緒の部屋なのかな……?」

 

”……わからない”

 

 私達は、休養できる部屋が残り一部屋しかないということで、二人で毛布がある空き教室を案内されていた。

 

 本当はセリカちゃんとも話したかったけど、今あったら逆効果だから申し訳ないけど部屋に戻っててほしいと言われると断れない。

 

「まあいいんだけどさ……先生は大丈夫?」

 

”うん。キタノだしね”

 

「うおい、なんだよキタノだしって。気にしなくていいしってことー?」

 

”うん。余計な気を使わなくて済むでしょ?”

 

 先生はそれが当然といった顔でそう言うと、毛布に寝転がった。

 

「一応、私も女の子なわけですが」

 

”知ってる”

 

 何だこの人。

 ちょっとはある女心というやつは、少しは女の子扱いしてくれてもいいんじゃないか? とすこし拗ね気味だ。

 

「はあ……」

 

 私も毛布に寝っ転がると、意外と床が固くて新感覚の寝心地に違和感を覚えながら、先生の方に顔を向けた。

 

「でも、良かったじゃん? 肉体的には疲れるけど、仕事で徹夜とかはしなくていいじゃん?」

 

 そう言うと、先生は目を見開いた。

 

”知ってたの?”

 

「そりゃあそうだよ。ソラちゃんとは友達だし、明らかに前日と同じ格好でやつれてるみたいなこともあるし。……あのさ、徹夜でもなんでもいいから、私を頼ってって言ったよね?」

 

”……おっしゃるとおりです。でも、生徒をそこまで付き合わせるわけには……”

 

「ああもう! いいの! 私はもう運命共同体みたいなものだって! 辛苦を共にする覚悟くらいできてるの! 一緒に生徒の力になるんでしょ!?」

 

”……うん。わかった。これからはそうする”

 

「よし。それでこそ私が見込んだ先生!」

 

 毛布から起きて、自分の持ち込んだ整備道具で今日使った銃でも整備しようと準備をしていると、後ろから声がかかった。

 

”何か、キタノっていろんな人勘違いさせそうだよね”

 

 は? 先生に言われたくないが? 先生ってすぐ皆をたらしこもうとするよね?

 

「絶対それ自分に帰ってきてますよ」

 

”いや、そんなことないって。キタノっていろんな人に好かれてそう”

 

 そう言われて、悪い気はしない。でも、実際のところはどうかわからないから。この世界では特異点かもしれないけど、一人の生徒でもある。色々な人に好かれるというのは、嬉しいことだ。

 

「……正直、人間的に好かれるなら、嬉しい」

 

”うん。キタノはいい子だから、きっと”

 

 人たらしめ……そういう事を言うから勘違いさせるんだぞ。将来苦労するのは先生なんだから。

 

 そんな悪態を心の中で吐きながら、銃の整備の様子に目を輝かせながら近寄ってくる先生に「拭いてくれない?」と、布とミニくんを手渡した。




二人きりのシーンになったら無限にいちゃついてるな……
この二人相性良すぎないか???

文章にオリジナリティ入れる?

  • 原作重視!これまで通りでいく
  • 若干オリジナリティ入れる!
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