前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

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大切な人を悲しませないで

 目が覚めたらそこにセリナがいた。

 

「あ、目が覚められましたね。先生」

 

「……え? セリナ?」

 

 周囲を見回して見る。ここはシャーレ。先生が帰ってきて万全である今、容易に入ることはできないはずだけど……まあ、セリナだからそんなものか。……って!

 

「あ、セリナ先輩……」

 

「どうしたんです? さっきのようにセリナと呼んでください。……その様子、先生も覚えていてくださってるんでしょう?」

 

「覚えてる、って……」

 

「良く無理をする先生を看にここに来たのを覚えてますよ?」

 

 少し驚く。確かに彼女のことなので、これくらいは造作もないことのように思えるがまさか普通の生徒に前世のことを覚えている人がいるなんて……

 

「……でも、こうやって先生自身とは初対面になりますか? 確かいつもは画面の向こう側から見ていらっしゃったのですよね?」

 

「え?」

 

「なんで知ってるのって言う顔ですね。……これは、もともと確信していたわけじゃないのですが、連邦生徒会長さんから答えを教えてもらいました」

 

 セリナは私のお腹に巻いてある包帯を巻き直しながら、優しげな顔を少し綻ばせた。

 

「なるほど……ところで、前世の時から気になってたんだけど、セリナってどうやってここに入ってきてるの?」

 

「……」

 

 ニッコリとした顔を崩さず、また何も口を開こうともしない。これは……黙殺の構えか! ちょっと気になるんよなあ……。私のことに感づいてたのもあるけど、この世界の人間という枠に収まってないような気がす……

 

「先生」

 

「ひっ! な、なに?」

 

「……あんまり考えすぎるのはいいこととは限らないと思うんですよ。私は先生のことが大好きだから、なんとかして助けようとしている。これでいいじゃないですか」

 

 怪我がひどいお腹にゆっくり手を当てられる。あ、きもちいい……。

 

「それに、私のことより先生のことです。……多分、なにか意識の問題でヘイローが充分に機能していないときに大口径の砲弾を受けたんだと思いますが、結構危ない怪我だったんですよ?」

 

「そうなの?」

 

「そもそも、ここにいるのもこっちの先生が、アビドスから気絶した先生を連れ帰ってきたからなんですよ?」

 

「まじかあ。もうちょっと持つと思ってたんだけど……」

 

「それに、これは無理した証拠ですね? 血の量まで誤魔化して……死んでしまう寸前、という感じでした。今は栄養剤を投与したのと先生の治癒力で大丈夫だと思いますけど……あまりむりしちゃ、だめです」

 

「そっか……でも、セリナが来てくれて助かったよ」

 

 そう感謝の言葉を紡ぐと、セリナはかつて大切にしていた宝物をまた見つけ出したような懐かしさを滲ませた顔を浮かべた。

 

「……その言い方、懐かしいですね」

 

 そう言うと、セリナは近くの椅子に腰掛け、頭を撫でてくれた。

 

「さ、お休みしましょう。こういうときは、寝るのが一番の薬です。先生は何回言っても無茶をするんですから、私にできることはさせていただきます」

 

 ゆったりとしたリズムで髪の上を温かい手が撫でてくる感覚。心地がよく、まぶたがゆっくりと眠気を主張しだした。

 

「……もう先生は先生じゃありませんけど、それでも……こうやってふたりきりのときだけは、また先生でいてくれたら嬉しいです」

 

 意識がまどろむ中、セリナはこう呟いたような気がした。

 

 

 ●●●

 

 

 気がつくと、早朝になっていた。

 

「あ、セリナ……」

 

 深夜にいたはずの少女は、どこかに消えてしまったかのようにその痕跡を残していなかった。

 思えば前世のブルアカの中から、彼女にはずっとお世話になってきている。死にそうになったときは助けてくれたり、いきなり気絶すればどこからともなく現れて看病してくれてたんだよね。

 それに、戦闘でもそうだ。おそらく、一番編成に入れていたのはセリナ。彼女がいなければ達成できなかったこともあっただろうな。

 

 お腹あたりを触ると、確かに巻き直された包帯があり、その下はもう結構治っていた。

 

「まあ半日もあったしな……」

 

 この世界では、どうやら強いのと治癒能力が高いのはイコールらしく、結構な怪我を負っても、強ければ半日あれば治っているということもある。というかツルギさんと演習した時、どっちも結構な怪我だったはずなのに数十分で治ったりしたし、これでもかかっている方だ。

 

 とりあえず先生にモモトークでも送ろうかな。ええっと……『結構治ってるので今から行きます』っと。

 

 始発のアビドス行きに乗って、しばらく。ちょうど朝日が眩しくなってくる時間にその校舎についた。中に入る。そこにいたのはいつもの通りの服で朝日を眺めているホシノだった。

 

「あ、ホシノ」

 

「んえ? もしかしてシャーレから来ちゃったの? 怪我は?」

 

「もう治った。……ていうか、あれくらいの怪我なら半日あれば治るってホシノは知ってるでしょ」

 

「まあねー。でも、おじさん的にも心配なわけ。あれだけ血が出てるとね。ヘイローが消えた状態でもなければあんな怪我しないし」

 

 ホシノの隣の席は空いている。そこに座ると、ホシノの顔がよく見えた。

 

「……あのさ、まあ、このアビドスのためっていうのもあるから強くは言えないんだけどさ、大切な人は悲しませないほうがいいよ」

 

 過去をゆっくり振り返るように、何かを隠すように、そう一言だけ呟いた。

 

 ただただ無言の時間が過ぎる。朝特有のはやく登っていく太陽を眺めて、また新しい一日の訪れに思いを馳せている。とも取れる顔。

 

 私はその隣から腰を上げて、上に向かう階段に向かおうとして……いい忘れたことに気が付き、後ろを振り返った。

 

「……もしさ、ホシノが『おじさん』じゃなくって、ただのホシノとして話したいこと、したいことがあったらいつでも言ってよ。先生に言いにくいなら、私にだけでもいい」

 

「!?」

 

 驚いた表情で、ホシノは思い切り立ち上がった。

 ホシノの抱えている事情、後悔などの複雑な感情を推し量るのは難しい。でも、それを受け入れてあげたいと思う心はある。

 

「だからさ……すべて手遅れになる前に、相談して。大切な人は悲しませないほうがいいんでしょ?私、もうホシノのことが大好きだよ。大切。だから、ホシノも私のこと、悲しませないでね」

 

 ホシノはいつもとは少し違う見開いた目で、ただ呆然と立っていた。




セリナ、超常存在に見えてきた……
彼女なら別世界線くらい気づいてるやろという設定

文章にオリジナリティ入れる?

  • 原作重視!これまで通りでいく
  • 若干オリジナリティ入れる!
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