前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい 作:うどんそば
さて。この前一緒に遊ぼうとは言ったけど、私はそれより先に遊ぶ(戦闘)が挟まれるのを知っていた。
私はバレないように側面からと、別移動で回っている。皆は正面から戦ってくれているはずだ。
「うへー、結構な速さだね。追いつくのが大変だよ」
「うぇ!? ホシノ!?」
びっくりした……一緒に正面で戦ってくれているものかと。
「ちょーっと心配になったからさ」
「そっか。……じゃあ、一緒に頑張ろうか!」
まあ予定は少し狂ったかもしれないけど、居ないよりはいるほうが助かる。それに戦闘面でかなりの実力があるのもありがたい。
正面のほうが少し気になるけど、まあ先生もいるし、余裕でしょ。
「んっ……と、この辺りかな?」
少し身を出して見てみると、側面と言うよりは最後方だった。
ホシノに目線を向ける。こくりと頷いたのを確認して、突入した。
「あ? 誰だ……ってうわっ!」
一気に何人かを倒すと、流石に気づかれる。後方待機勢でもあるため、完全に戦闘態勢に移るまでは時間がかかると思う。それまでに、何人いけるかが鍵になってくる。
「ホシノ! いい?」
「はーい、りょうかい」
ホシノは真ん中に突入、穴をあけると、そこに私が入ってミニくんを掃射した。久しぶりのフルの速度の連射になるけど、なかなか調子良さそうだ。
それにしても、多対少の戦いで、連射というのはなかなか便利だなあとつくづく思う。少対少なら、一発一発のほうが狙いやすくて弾の消費も抑えられるんだけども、多数でそういう戦い方をすると、どうしても前回みたいに倒しそこねて囲まれたりするから。
正面はホシノのショットガンがどんどん消していく。私もサイド方面の掃討をしていたわけだけど、まああくまで便利屋で雇える範囲しか居ないから、そう多くない。もうアルちゃんの顔が見えるくらい。
そして、遂にその時がやってきた。
キンコンカンコーン、チャイムが鳴る。
一人が時計を見たかと思うと、バイトの傭兵たちは一気に時計を見て、定時だ、と帰っていく。バイトだからね! 仕方ないね!
居なくなった正面を走って追うと、私達が到着する前に便利屋は逃げ帰ってしまった。ホシノは追撃に一発撃とうとしていたけど止めた。
「もう! 何なのよあいつら!」
セリカちゃんはかなり頭にきているみたい。
「まあまあ。向こうも雇われだろうしさ」
少し宥めてみるけど、それでも……! と言う。まあ、特盛サービスしてあげたのに! とは思うのは当然だし。
「まず、どこから雇われたのか調べないと」
「まあ、背後関係を洗っていけばわかるでしょー」
そう言って中には帰って行くみんな。
●●●
先生と同じ部屋に泊まって、朝起きると、アビドスの面々は外でカイザーのロボットに金を支払っていた。たしか……300年くらいのローンだっけ?
先生は居ない。先に起きてアヤネちゃんと出かけてただろうしね。つまり、ムツキちゃんに絡まれたということ。
朝ごはんを適当に食べて、部室に戻ると、全員椅子に座っていた。
”おはよう、キタノ”
「お、来たね。今日はぐっすり眠れたー?」
先生とホシノが声を掛けてくれる。皆もうんうんと同意するように頷いた。なんだか死にかけてから、皆が若干心配性になった気がする……!
「大丈夫。ほんとにぐっすり眠れた」
もう怪我も全く引きずってないし、便利屋襲撃でも全く怪我を負ったりしてないし、本当に万全の状態だ。
「それじゃあよかったです。……じゃあ今日は、昨日の便利屋の方々に関する情報を得ましたので共有したいと思います」
すると、資料を1ページめくって、そこに貼られていた写真を机においた。
「彼女達はゲヘナの生徒で、便利屋68なるビジネスを行っている、便利屋だそうです。リーダーは陸八魔アル……社長と名乗っています」
アルちゃん……実際見ても某BGMが似合う人だったなあ。正面にいる時の顔見たときとか、結構「なんですってー!」顔になりかけてたし。
「その下には三人のメンバーがおり、それぞれ、室長、課長、平社員の肩書があるそうです」
「へえ、随分本格的じゃない?」
「いえ、あくまで自称なので……」
そう言うと、一気にショボさが増したように見える。まあ事実なんだけれども。
「ちなみに、キタノ、ラーメン屋で、一人と話してたよね? 知り合いだったりする?」
「あー、そうだね。説明しようか」
私は席を立って、アヤネちゃんの隣に立つ。
「えっとね……あの課長って言われてた子、わかる?」
「あっ……と、鬼方カヨコさんですか?」
「そそ。その子とは中学の時からの付き合いだね。便利屋に入ってからはあんまりあってなかったけど、余り変わってなくて安心した」
「ちなみに、どんな子?」
シロコが少し興味を持ったようで、聞いてくる。
「うーん、真面目で優秀、頭も切れるし、可愛い。いい子だし、非の打ち所のない人かなあ」
そう言うと、皆は少し考えるように、「うーん」と唸った。
「そう言われても、襲ってきたわけだし……いいこと言われてもそうとは思えないと言うか……」
「ま、向こうも商売があるだろうし。だから、契約は仕方ない。まあ、あんまり悪い子じゃないってことだけは覚えといてほしいかな?」
先生はうんうん頷き、皆も少し納得できたような顔を浮かべた。
「キタノがそこまで言うなら、少しは信用してあげてもいいかも……」
さっきまで怒り心頭だったセリカちゃんも、どうにか怒りを沈めてくれているみたいだ。でも……
「ここまで言って悪いけど、まだ便利屋は多分敵と契約しているから、信用はしても信頼し切るのはまだ早いよ。お金をもらっている以上、向こうも精一杯金分は働くんだから。それに……」
「リーダーのアルちゃん、相当巻き込まれ体質だから」