前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

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前回の誤字報告かんしゃあ〜


トリニティ総合学園

「なんかいるね。あれ、どうする?」

 

 途中で会った友達と通学していただけなのに、通学路にスケバン共がたむろしていた。もう! めんどくさい! この世界こういう事が多いからもう本当に……!

 

「倒す、しかないよね」

 

「ええ……? ちょっと面倒じゃない?」

 

 面倒そうに、友達……杏山カズサが言う。確かに面倒だ。しかし、ここは最短ルート。ここを迂回するのはとてもめんどくさい。距離が増えるのもだけど、一回引き返さないといけないのも特に面倒。

 

「何言ってるの? 天下のキャスパリーグちゃん」

 

 適当に少し煽ると、カズサはかちんときた表情で、「後で覚えてなさいよ……!」と言いながら、その苛立ちをぶつけるように乗り込み、混乱するスケバンをボコボコにしはじめた。

 

 ただ、スケバンは見たところ数が多いみたいだ。流石に天下のキャスパリーグ様といえども、この数を相手取るのは大変だろう。まあ大丈夫そうな気もするけど、時間が少しかかってしまいそうだし。

 

 私は愛銃であるミニくんマーク2を取り出し、駆け出す。

 

「助太刀いたすー!」

 

 まず一人。飛び込んだ拍子に頭を撃ち抜く。二人目は着地した場所にいたのをなぎ倒す。三人目、あまり近すぎたので、銃で殴り倒す。

 四人目と五人目、六人目は的確に頭、胸、首と腿を撃ち抜く。うまいこと打ち抜けたようで、それぞれ一発ずつで倒せた。

 そして七人目に行こうとして……銃を上げた。全員が確かに倒れていることを確認したからだ。

 

「ふう……カズサちゃん暴れ過ぎじゃない?」

 

「キタノには絶対言われなくないって。私が五人で、キタノが六人? さっき一瞬で飛び込んできただけなのにこんなに倒すなんて、化け物みたいな強さじゃん」

 

 相も変わらず、私が戦っているところを見るたびに、ドン引きしたような声を漏らしてくるカズサちゃん。自分も相当強いくせに、何を言ってるのさ。

 

「キャスパリーグ様がなにか言ってる!」

 

「ほんとにはっ倒すよ?」

 

「あはは、ごめんごめん。まあね、私からすれば、あのカズサちゃんがまだほんの少し前に思えてさ。こうやって最近は楽しそうにしてるから、嬉しくて」

 

 およよよ……と泣き真似をしていると、カズサちゃんは「まあ、実際この前まで……」と、言いよどむようにボソボソと口を動かした。

 

「まあ、片付いたし、正実が来る前にさっさと行っちゃおうか」

 

「ん、そうだね。……そういえば、今日は宇沢と一緒じゃないんだ」

 

「今日はレイサ、昨日のパトロールの疲れがあるらしくって。ぎりぎりまで寝かしてあげたかったからさ」

 

「ふーん……まあ、私からすれば良いことだけど」

 

 カズサちゃんは、中学の時の因縁から、レイサにいい印象を持っていないらしく、レイサ関連の何かがあるとものすごく嫌そうな顔をする。なんか、嫌いというより、苦手っぽいイメージかな? まあ、例のイベントと似たようなことが起きてたんだろうな、と。

 

 ちなみに、私はレイサと一緒の登校が多いので、カズサちゃんが登校中にもし私を見つけても、レイサと一緒のときは避けていることもあり、今日みたいに一緒に登校するのは実は珍しいことだったりする。

 

「そういえば、キタノは自警団に入ってるわけでもないんでしょ? あいつとはいつ知り合ったの?」

 

「ああ、それはまあ……絡まれたというのが一番近いかな」

 

「私と一緒?」

 

「うーん、ちょっと違うかな。カズサちゃんはたしかに不良だったし。私は不良じゃなかったから」

 

 思い返せば、あれは完全にレイサの暴走癖が悪い方に作用してしまった感じだったな……そのせいでその後慰めるのも大変だったし。

 

「ふーん……まあ、正直キタノが誰と交流を持ってるかなんて、私には関係ないんだけどね」

 

「お? もしかして嫉妬?」

 

 からかうように言うと、こっちに戻ってきたカズサちゃんは、「ばか」とだけ言って、ぺしりと一回叩いてきた。かわいい。

 

 カズサちゃんは他の人がやると怒るようなことでも、割と私が言ったら許してくれることがある。勿論キレられることもあるけれども。

 その理由は、私が中学の時からの友達であることが関係しているんじゃないかと思う。

 彼女にとっては黒歴史かもしれないが、その時を知っていて、そして受け入れてくれる人がいるというのは、また違うのだろうか?

 もしくは、別に見られて知られて、戦ったこともある相手なら、いじられても何も思わないのかもしれないけど。

 まあ、どうあれ私がカズサちゃんにとって心を許せる友達に慣れているんだったら嬉しい限りだな。

 

 そうこうしていると、トリニティの大きな大きな正門に到着した。かかった時間はいつもどおり。スケバンたちに時間を取られたからほんの少し遅い時間になったけど、まだ少しだけ時間には余裕がありそうだ。

 

「よし! 時間取られたけど、遅刻しないで済んだね」

 

「まあ、もし遅刻しても事情を説明すれば問題はなかったと思うんだけど」

 

「いやいや。それじゃカズサちゃんはまだしも、私が正実に連行されちゃうでしょ? なんでか知らないけど、いい意味でも、悪い意味でも目をつけられてるし」

 

「それはあんたが仕事奪いまくったからでしょ。それに、あんな一方的な蹂躙を見たら、普通にキタノから喧嘩ふっかけたようにも見えるし」

 

 カズサちゃんが厳しい。まあ、自分でもそりゃあそうだと思うけれども。それに、なんでか知らないけど委員長……ツルギさんに気に入られているからまた都合が悪い。私が来たと報告を受ければ、壁を破壊しながら現れることもある。怖い。

 この世界でも戦力トップクラスの設定なんだから、そんなに気軽に来ないでほしい。強いから戦いになったらとても困る。

 

 まあ、というわけで、こういうのに巻き込まれても、極力正実のお世話にはなりたくはない。それに、怒ってくる人もいるし……。

 

「ん、もうお別れかあ。またたまには一緒に登校しようよ」

 

「はいはい。わかった」

 

 私の教室と、カズサちゃんの教室との分かれ道で手を振って別れる。やっぱり、レイサと登下校するのもいいけど、カズサちゃんとも楽しいね。

 

 校舎内の、そろそろ通い慣れた廊下を通って、前世では見たこともないような荘厳な扉を開けると、これまた中世を彷彿とさせるような豪華な教室。私の席に座ると、白っぽい色と、薄い青が混じったような髪の、元気な子が嬉しそうに机近くまで近づいてきた。

 

「おはようございます!」

 

「おはよ、レイサ。先に着いてたんだね。よく眠れた?」

 

「はい! おかげさまで! これで今日も一日乗り切れそうです」

 

 宇沢レイサ。私の友達。自警団に所属しているからか、正義感が強い。それもあってか、よく深夜までパトロールしては、学業に支障をきたしかけている。

 

 あと、こういうのはなんだが……友達が少ないようで、そういうときに頼れる人も少ないみたいだ。まあ、ゲームの中とは違って私がいるから、友達0人ではないんだけど。

 

「あ、チャイムが鳴ってしまいましたね。では!」

 

「うん。頑張ってね」

 

 席に戻ったレイサは、イヤホンをつけて、BDを取り出していた。

 私もBDを取って、タブレットから勉強を開始する。今日は講師のロボットも来ないので楽だ。

 

 

 ●●●

 

 

 今日の分のBDをすべて見終わったときには、昼時を少し過ぎていた。下校開始時間は過ぎており、もう終わったら自由に帰っても良い時間というわけだ。

 

 私とレイサは同じくらいの時間に見始めたので、だいたい同じ時間に机を立った。

 

「あ、レイサ。今日はどうするの?」

 

「今日もパトロールですね。ちなみにキタノさんは?」

 

「私は学校にいるよ。まあ、いろいろ練り歩いてみるかな」

 

「わかりました。では!」

 

 レイサは可愛らしい大きさのリュックを背負って、勢いよく外に飛び出していった。

 

 私も特にすることはないので、カバンを持って、教室から出る。適当にぶらついていたらなにかあるだろう。と思っていたら、案の定、機嫌良さそうに本を持って歩くヒフミ先輩がいた。

 

「あ、ヒフミ先輩」

 

「あ、キタノちゃんじゃないですか! 奇遇ですね」

 

「どうかしたんですか? 機嫌良さそうですけど」

 

「これから、ナギサ様に会いにいくんです!」

 

「ああ、道理で。……ちなみに、ついていっても?」

 

「勿論! きっとナギサ様も喜びますよ」

 

 ヒフミ先輩は、ナギサちゃんに憧れている。ナギサ様もヒフミ先輩には特別な感情がある。と言っていることから、「寵愛」……ときには「偏愛」と呼ばれる関係性だ。たまに私も一緒くたにされているときもあるけど。

 

 だが、私と違ってヒフミ先輩はナギサちゃんのいいとこばかりを見てきている。しかし、ナギサちゃんの本質は「面白い人」なのである。……そこのすれ違いが、ちょっぴりお笑い事になりそうな予感がした。

 

 

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