前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

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銀行を襲う

 改めてブラックマーケットの中を案内してもらいながら歩いていく。ブラックマーケットとはいいつつも、ヒフミ先輩が言うところを見ていくと、どうも違法なものだけが取引されているわけではないみたい。

 

「あそこは限定品がたくさん売られているお店で、あっちはライブのチケットなんかが販売されていて……」

 

 様々なジャンルのものが集まっているというのが正しいのかも? まあ、高額転売されていたりするものも沢山だ。ヒフミ先輩がよく買っている限定モノのペロロ様グッズもそうだろう。

 

「あ、そういえばヒフミ先輩、この前のエンジェル24モモフレンズコラボのぬいぐるみ、買ってるので今度渡しますね」

 

「あ、ありがとうございます! 探したんだけど、無くって……オークションで落札するしか無いかと思ってたので」

 

 危ないところだった……ちなみに、ヒフミ先輩は数十万円くらいなら平気で入札するヤバい人だ。どこからその資金が……?

 

 ちなみに私は、たまにさっきの武器屋のフロントの和菓子屋でバイトしている。このあたりは色々な生徒も来るから知り合いも増えるし、いい事ずくめ。最近は行けてないけどね。

 

 他は……オーパーツが売ってたりする。あの強化素材のやつだ。ただ、余り賑わっていない。売られているところの見た目もただのバザーみたいな感じだし、利用法を誰も見出していないのかも。ただのボロのガラクタにしか見えないし……。

 

 奥の方に行くと、徐々にアンダーグラウンド感が増してくる。よくイメージするザ・ブラックマーケットのような感じだ。違法なものを売るものも増えてくる。あとなんだか煙たい。煙草の匂い……は問題ないんだけど、前世含め、嗅いだこともない煙だ。

 

「ごほっごほっ!」

 

”キタノ、大丈夫?”

 

「うん、ごめんね」

 

 私が咳をすると、少し前を行っていた先生が心配そうに覗き込んできていた。皆も同じだ。とても心配そう。もしかしたら、結構ひどい咳に聞こえたのかも。大丈夫なんだけどなあ。

 

「ほら、進もう? 私は本当に大丈夫だから!」

 

 先生の背中を後ろから押すと、困った顔をしながら進んでくれた。

 

 そこを抜けると、また平和な場所が続いている。

 

「あ、たいやき屋さんですね!」

 

「こんなところに屋台?」

 

 路地から進んできて、向かい側に、ブラックマーケットには思えないほど平和な風景だ。ノノミちゃんが駆け寄り、たいやきを買ってきた。

 

「食べたかったので買ってきちゃいました☆みなさんもどうぞ?」

 

 皆に一つずつ配っていく。わたしの手元にもあるけれど、暖かくて美味しそうだ。

 

「アヤネちゃんには帰ったら買いますね。すいません」

 

「いいですよ。こっちはこっちで色々つまみながら作業してますから」

 

 皆で賑やかにたい焼きを食べていく。先生もシロコに促されて頬張ると、幸せそうに口元を緩めた。確かにこれは美味しい。なんといっても生地。さっくさく。柔らかいのも美味しいけど、こういうのも美味しいよね。これだけしか無いのが少し残念に思える。

 

 皆食べ終わって、ほっと一息吐くと、マーケットガードが出てきた。

 

「流石にこれは隠れたほうがいいと思います!」

 

「マーケットガードは流石に……」

 

 アヤネちゃんとヒフミ先輩の言う通り、皆で隠れて、なにがあったかを見てみる。

 

「あ、あれは……現金輸送車? あれを警備してるみたいですね」

 

 現金輸送車の回りには厳重に何人ものマーケットガードが取り囲んでいる。現金輸送車は闇銀行に停まると、なにかにサインして、金を搬入しようとしているのか、その敷地内に入っていった。

 

「さっきのあの車から出てきたの……」

 

「多分、いつも利子の支払いをしてるやつよね?」

 

「うん。間違いない」

 

 その事に気が付き、上手く事情を理解できていないヒフミ先輩以外が眉を潜めた。

 

「ねえヒフミさん。あれってどんな銀行なの?」

 

「あそこは闇銀行で、違法な手続きをした財のかなりの割合が入っていると言われるところです。ところでさっきの現金輸送車……皆さんはもしかしてカイザーローンに借金をしているんですか?」

 

「うん。もしかして気になることがあったりした?」

 

 ホシノの質問に、ヒフミ先輩は言いにくそうに言う。

 

「いや、カイザーという会社は、グレーくらいのことをよくやっている会社で、ティーパーティーでも目を光らせているような企業なんです……ですよね? キタノちゃん」

 

「そうですね。結構でかい会社なもので、ナギサちゃんが大変そうにしてました」

 

 そう言うと、更に皆の眉が顰められた。

 

「つまり、私達はずっと、闇企業の資金を提供してたってこと……?」

 

 抑えきれない怒りが漏れ出てくる。

 

「それはわかりませんが……さっきサインしていた書類を見ればわかるんじゃないですか?」

 

「あ、それいいね」

 

「ええ……? でも、流石にあの警備をどうにかするのは無理ですよ……?」

 

「じゃあ、あの手段しか無いね」

 

 シロコが、若干上機嫌気味に言った。

 

「うへー、あれ、あれかあ……」

 

「まあ、しょうがありませんよね☆」

 

「え、あ、あの……どういうことかわからないんですが……」

 

 嫌な予感がする……と思ってそうなヒフミ先輩を気にせず、シロコは目出し帽をかぶりながら言う。

 

「銀行を襲う」




これで第一章は終わり……ですかね?

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