前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

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友達との共闘

 早速銀行前で覆面をかぶった私達はタイミングを見計らっていた。だいたい皆はシロコが作っていた例の目出し帽で、ヒフミ先輩……ファウストさんは、紙袋をかぶっている。私はシロコにキーホルダーを買った時の紙袋をかぶった。

 

「さ、そろそろ行こうか〜」

 

 中ではなにかトラブルが起きている様子で、中の人はだれもこちらに気を向けていない。停電も起こしたので、より中の混乱は加速していっている。そんな中、私は突入を敢行する。

 

「突入!」

 

 私の後ろからも、続々と皆がなだれ込んでくる。取り敢えず私は、まだ新品下ろしたてほやほやのロクヨンちゃんをぶっ放した。

 正面に居た銀行のガードたちは、停電に気を取られていたのか、ろくな抵抗もさせずに倒す事ができた。他に脅威になりそうな存在は……あ、そういえば、この場には便利屋が来てるんだっけ。カヨコがこっち見てる。「なにしてるの……」とでも言いたげな顔だ。アルちゃんはめっちゃ目をキラキラさせながらこっち見てる。

 

「皆伏せて! 抵抗するなら撃つ!」

 

 よく通るシロコの声で、銀行員たちは皆ビクビク震えて床に伏せた。便利屋の皆は伏せてない。これ撃っていいのかな? まあいいや。便利屋だし。

 

「うへー、リーダー次はどうすればいい?」

 

「え、り、リーダーって私なんですか!? このままではティーパーティーの顔に泥を塗ることに……」

 

 未だになにがなんだか上手く理解できていないヒフミ先輩は、少し涙目になりながら、あわあわ慌てている。それを横目に、手際の良いシロコは、バッグを指差し、これに書類を入れるよう指示した。

 

「早く!」

 

「は、はいぃ……!」

 

 ビビりまくっている銀行員は、そのバッグを持って奥に行ったかと思うと、パンパンに何かを詰めて持ってきて、「い、命だけはー!」と命乞いを始めた。

 

「あ、あはは……こっちも命まで奪うつもりはないので、大人しく従ってくださいね……」

 

 若干慣れてきたヒフミ先輩の声に、震えながらうなずいた銀行員ロボの後ろから、追手が来た。

 

「捕えろー!」

 

 おっと、結構早いな。ここまで5分ってところか。

 

「じゃあ、帰ろう!」

 

 私が声を上げると、出口に近いセリカちゃんから一気に外に出た。向こうは余り統率が取れていないみたいで、こっちの完璧な動きに全く間に合わない。

 

「っ! 流石に数が多いね」

 

 でも、さすがブラックマーケット最大の銀行。追手の数は相当なものだ。うーん、これは……

 

「皆、先に行ってて」

 

「え!? キタノ!?」

 

「ホシノ。皆をよろしく。だいたい片付いたら向かうから、逃げ切れたら待っててよ」

 

「はいはーい。じゃあ皆いくよー。せっかくキタノが殿してくれてるんだから、逃げ切らないと」

 

 そうホシノが言うと、少しなにかいいたげだった皆も走って行った。先生は今回離れたところにいるけど、良かった。もしこの場に先生が居たら、きっと残ろうとしてくれただろうしね。そしたら、先生が危なかった。

 

 って、覆面がもうひとり来た。

 

「はあ……ほんとになにやってるの」

 

「そっちこそ。次は遊ぼうって言ってたのに、共闘になっちゃったじゃん」

 

「それはこんなことしてるキタノのせいでしょ」

 

 融資してもらえたら凍結されていた口座の代わりにこの紙袋に入れようとしたのだろうな、と言うほど即席の紙袋を被って現れたカヨコは、こちらを呆れるような目線で見た。

 

「ね、どれくらいいた?」

 

「まあ、百は居ないかな」

 

「じゃあ私達なら余裕じゃん」

 

「ん。勝手に抜けてきたし、バレないうちに戻りたいから」

 

 カヨコは懐から拳銃を取り出すと、迫りくる追手を睨みつけた。その瞬間、その追手は進むのをためらうようになる。

 

「なんでカヨコって怖がられるのかな? 可愛いのに」

 

「……そんな事言うの、キタノだけだよ」

 

 軽口をたたきながら、一緒に突撃する。せっかく作ったチャンス。ここを逃すと少し時間がかかる。一気に片付けてしまおう。

 ロクヨンちゃんのアタレの文字、その「レ」の部分にレバーをあわせ、飛び込む。そこで敵に向かって一斉に撃った。

 

 思ったよりいい撃ち心地に、さすが店主、と舌を巻く。私の好みをしっかり理解してくれている。楽しい。

 とりあえず急所と呼ばれる場所を狙ってマガジン一本分を撃つと、二十位を無力化できた。一人だけならこうは行かないけれど、仕留めきれなかった相手は、的確に後ろからカヨコがとどめを刺してくれるので、安心して撃てる。

 

「相手はマガジンを使い切ったみたいだぞ!」

 

 私が打ち切ったのを見てか、一斉に飛びかかってくる奴らがいる。もしかして舐められているのだろうか。

 私はコートの中からガバ号を取り出し、一度コッキングして撃つ。片手で対応しながら、マガジンを取り出す。そしてガバ号を素早く入れ替え、ロクヨンちゃんを取り出すと、マガジンを交換した。これでほぼ隙のないマガジン交換が可能だ。

 

「ほんと、凄いね、その技術」

 

 少し目を丸くしながら、カヨコが言う。

 

「それはいいんだけどさ、これ、逃げどきじゃない?」

 

 相手はこっちに隙がないことを理解したか、攻めあぐねている。カヨコと目を合わせると、思いっきり後方に逃げ出す。こういうのは私も慣れているし、カヨコも便利屋にいる以上は慣れてるだろう。

 勿論追いかけてくるわけだが、ロクヨンちゃんのアタレの文字の「タ」に合わせた状態で先頭を定期的に沈めていたら、徐々に追ってくる速さは遅くなり、やがて巻けた。

 

「よし、じゃあここまでくれば大丈夫だね。ありがとう。カヨコ」

 

「ん、それは大丈夫。友達が危なっかしいことをしてたら、助けるのは当たり前だと、私は思ってるから」

 

 カヨコは紙袋を脱ぐと、そろそろ帰らなきゃ、と去っていく。私もさっさと皆と合流したい。お互い手を振りながら離れ、次の出会いを心待ちに……って、もしかして再会ってこの直後じゃない?

 

 未来を知ってるとしまらないなあ、なんて思いながら、一人で苦笑いをこぼした。




友達カヨコ概念、いいと思います。
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