前世の記憶が戻ったので、シャーレでハッピーエンドを手に入れたい   作:うどんそば

60 / 68
投稿遅れていすいません!!!

忙しさが極まっておりまして……まだ開放されたわけではないですが、投稿です!


水着パーティー!

 

「それでは……記念すべき第一回、水着パーティを始めます♡」

 

 静かな体育館に、雨音とハナコの声が響いた。水着パーティーって何だ……?

 

「着替えが濡れたからって水着になるってどういう事……?」

 

「まあまあ、気にしなくてもいいじゃないですか。水着になるのが最善だったんですよ」

 

 ハナコちゃんはニコニコしながら上機嫌気味に言うが、先生は少し引きつった苦笑いをしている。

 

”なんだか、すごい光景だね?”

 

 今の様子と言えば、とんでもなく広い体育館のなかで、外に雨が降る中水着で集まっているという状態だ。一応先生は男性なわけだし、少し気にしてるのかな? 私はもうほぼ女の子みたいなものだから気にしないけど。

 

「な、なんで水着になる必要があったのよ! 別にさっきまで来てた服で大人しく部屋にいれば良かったじゃない!」

 

 コハルちゃんが噛みつくが、ハナコちゃんは一切表情を変えない。

 

「まあまあ、いいじゃないですか。せっかくなんだから、このパーティーを楽しみましょう? ね? コハルちゃん?」

 

「あ、あはは……」

 

 少し圧を感じ、一歩後ずさったコハルちゃんに、ヒフミ先輩が困ったように笑う。まあ、しょうがないと言えばしょうがない。なんてったって、落雷の影響で停電したせいで、洗濯機も動かせない状態なんだから。

 

「まあ、どうしてもコハルちゃんが違うのがしたいと言うなら、下着パーティーなんかもありですよね♡でも、本当にそれでいいんですか?」

 

「いいわけ無いでしょ!」

 

 コハルちゃんの大きな声が響く。その瞬間、窓の外が光って、どーんという轟音が鳴り響いた。大きな雷だ。

 

「それにしても、こんな雷くらいで建物全体が機能不全になるなんて、ひどいセキリュティだ」

 

「まあまあ。その御蔭でこのパーティを開催できたんですし。みんなで寄り添って、深い部分を晒し合う……これこそ、合宿の華じゃないですか♡せっかくこういう機会なんですし、そうやって過ごしません?」

 

「なるほど。この水着パーティーは合宿の醍醐味なんだな」

 

「いやいや! 違うから! 勝手にそんな卑猥なものを合宿の華になんかするな!」

 

「あうう……たしかにそうですね」

 

 外は大荒れも大荒れだというのに、ここはなかなか騒がしい。まあ、これがなかなかに居心地がいいのだけど。

 

 ちらりと先生の方を伺うと、先生はやっぱり少し居づらそうに苦笑いして、佇んでいた。

 私はその先生に近づき、隣に立つ。

 

「先生。どうかした?」

 

”流石に、この場所に男一人っていうのはね”

 

「居づらいの?」

 

”まあ、流石にちょっとね”

 

 先生はやっぱりこの場所が落ち着かないようで、少しそわそわしている。その慣れない感じがなんだか無性に可愛らしい。

 

「まあ、じゃあ私と話してる? そしたら、向こうを見なくても済むでしょ?」

 

”え?……うーん。でも、キタノも水着だし”

 

「全然問題ないよ。私の水着なんて見て喜ぶ人はいないでしょ」

 

 確かに、自分の見た目が結構いいことは理解している。これでもキヴォトス人だし、相対的に、ね。でも、私の体は結構貧相だ。出るとこもそんなに出てない。というか全然出てない。こっちを見てるくらいなら、ハナコの水着を見ていたほうが数倍目の保養になると思う。

 

”……キタノは間違ってるよ”

 

「……え? どこが?」

 

”これ以上は言いません! 黙秘権を行使します!”

 

 少し顔を赤くした先生は、これ以上は触れてくれるなと体の前でばってんを作って拒否の姿勢に入った。本当にどういう事?

 

「まあともかく、晩酌でも話してはいたけど、こうやってにぎやかな中で話したのは結構前でしょ? 晩酌のときとも話題が違ったりするし、楽しいと思うんだけど」

 

”うーん、確かに。だったら、そうしよっか。今日は勉強もできなさそうだしね”

 

 先生はその場に座った。私もその真正面に座る。

 

”座ると更に目に毒だ……”

 

「なんていったの?」

 

 先生はぼそっと何かをつぶやいたあと、”なんでもないよ”と少し大げさ気味に手を振って否定の意を表してくる。なんだか変な先生。

 

「ま、こういう機会はさっきハナコが言ってたように、少ないからさ。もう二度とこんなシュチュエーションは体験できないと思って、先生も少し楽しんじゃおう?」

 

 誘うように先生を見ると、少し困ったふうに、でも嬉しそうにした先生はほほえみを向けてくれる。良かった。

 

”まあ、たしかにシャーレでしてたみたいな話は、最近してなかったしね”

 

「うんうん。じゃあまずは仕事がどれくらい溜まってるかの話でもしよっか! そうだね、多分書類のサンクトゥムタワーができてるのかな?」

 

”ええ……よりにもよってその話?”

 

「あはは、ちょっとした冗談だって。だいたい大丈夫だよ。これが終わったら、私もいくらかかったって手伝ってあげるから。そうでしょ? 一心同体の相棒なんだから」

 

”そうだね”

 

 先生はふっと微笑んだ。今日もまたいい日になる。これからの少しずつ暗くなっていく物語も、少しだけ明るく見えたような気がした。……あ、ハナコちゃんたち、楽しそうだな。

 

「先生。せっかくなら、ハナコちゃんたちとも話そうよ」

 

”わっ! ちょ!”

 

「あらあら♡大歓迎です」

 

「あはは……」

 

 こうして、大雨の中の水着パーティーは大波乱となった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。