「成る程、篠ノ乃だけでなく?訓練中に更識を『つい殺し掛けた』か」
俺は千冬姉に正直に全部話した。束さんの妹に向けたのは未だ正体がわからないけど、丁度部屋を訪ねていた山田先生や簪に向けたのは殺意とかのレベルじゃない、殺し合いを求めるようなものだった・・・・実際に人を殺してない俺が言うのはおかしいけど、ドイツの時だってこうはなってなかった。
(・・・・早いものだな、だがマシな方だ)
寮長室で正座している一夏を見下ろす私と横であたふたする真耶・・・・悪いが、私にとってはまだ『想定内』・・・・だが?
「ならばどうする?自分には武道をやる資格無しとして両手の腱を切り、二度と剣も持てず拳すら振るえないようにでもして辞めるか?」
「お、織斑先生!」
「山田先生?事態は把握していたのだろう」
「うぅっ」
そう、実際に入学試験でIS同士だが殴る蹴るで殺され掛けている真耶は一夏の危険性を一番思い知らされてる。だが、こうも甘いのは流石だな・・・・全く、教師とはこうあるべきな見本と言うべきか?生徒を信じる事を何より優先している・・・・だからこそだ。
「一夏、率直に聞く。お前は私を殺せるか?」
「な、何を?」
「殺せるなら、お前は束に勝てる」
「「!?」」
話が飛びすぎだから、二人は呆気に取られているか・・・・あこぎかもしれんが、これが私なりの答えだ。少し考えて、私を真っ直ぐ見つめて来た・・・・正直、眩しいよ。
「俺は、やらない」
「甘いな・・・・束はそんなザマで勝てる程甘い相手ではないぞ?」
「わかってるよ!けど、それは殺せるようになる事で勝ててないだろ!」
「ふむ・・・・ならば良い」
「ペンダント?」
「適当なお守り代わりだよ、身に付けといてアホをやりそうになったらソレを身に付けている事を思い出せ」
「これを?」
受け取ったものを見つめている・・・・別に何の変哲もないペンダントだよ、一見はな・・・・何もなければそれで良い。
「もしも駄目なら、お前はそこで死ね。腹切りをさせてやる程度は許してやる。その意味を考えろ」
「わかった」
「うむ、話は終わりだ。風呂に入って寝ろ」
「ありがとう千冬姉」
「礼より今後で示せ。殺人未遂を庇われたガキらしくな」
そうして風呂に入り始めた一夏だが、漸く立ち直った真耶が私に詰め寄って来た。
「お、織斑先生!ひどすぎませんかっ!?」
「殺してからでは遅い」
そう、この後に殺してからではな・・・・真耶も意味はわかるだろうから、押し黙る。ある意味で逞しいのだとは思うよ・・・・あれだけボコボコにされて一夏に恐怖心を抱いてないんだから。
・・・・後日、現役の頃の私に比べれば一夏は全然マシだからと聞かされて私は少し凹んだ。
・・・・・・・・。
千冬姉に相談して少しはマシになったと思うけど、ぎこちない事には変わりなかった。そして日数は進み?
「なあ、何かお祭りと間違ってないか?」
決闘当日、俺は先輩から聞かされた事からイベント感覚で見てると思ったが、流石にこれ程とは思わないでいた。生徒達は観客席でそんな感じだ。
「気にするな、それより来たぞ?お前の専用機だ・・・・って、何を隠れてる?」
「だって、篝火さんが直接来たら尻を触られたりするだろ!」
「確かに」
「そこは庇いなさいよ!」
現れた白衣姿に俺と千冬姉はサブイボを立てていた。何で真面目に来てますかね?
「ねえ、二人共失礼な事を考えてるね?」
「あたぼうよ!」
「確かに」
山田先生に匹敵する巨乳なスタイルで切れ長な目とツーテールにした髪型が特徴なヘンタイ!様々なイタズラされた経験あるから警戒するわ!な人が予想外な姿で現れたが、そう思ってたら?
「まあ、言いたい事はさておき?『政府に依頼された』専用機は持って来たから・・・・それと、そこの日本代表候補生ちゃん・・・・ごめんなさい・・・・私にはこうするしか出来ないの」
「いえ・・・・」
篝火さんは簪に頭を下げた。予定を変更した事に関してだろう・・・・正直、面喰らってるがヒカルノさんなりの謝罪は受け取ったようだ。
待機室には俺と千冬姉に山田先生の他には簪と先輩が集まっていた。二人は訓練に付き合ってくれたしな・・・・束さんの妹はあの後も訓練に乱入しようとしていて此処にも入ろうとしたが、勿論門前払いされた。
「とにかく、ぶっつけ本番だけど先ずは大丈夫かどうか試してよ、訓練機と同じように」
言われたように、俺は待機状態な白いISに身体を預けた。その瞬間?
・・・・・・・・せ。
何だ?誰かの声!?
・・・・を・・・・示せ!
誰だ!と思ってたら、周りが何か真っ白になって目の前には千冬姉を思わせる姿の白い服着た人?
『我に・・・・挑む・・・・力・・・・を』
力?・・・・そうだ力だ!その女が持ってた刀を渡そうとしたので俺はと思った時。
『ソレを・・・・』
俺は千冬姉の声を聞いた。千冬姉から渡されたペンダントを握って刀を受け取らずに待ったを掛けた。
「悪いけど、物騒なものをいきなり渡されて受け取る前に自己紹介くらいしなきゃ駄目だろ、君は誰だ!俺は織斑一夏だけど?」
『・・・・』
女の人は暫く黙って、消えちまった?何だったんだと思ってたら。
『一番困難を選ぶ・・・・それも良い』
そんな声が聞こえた。
『困難』?
そうだよ、俺は一番困難を選ぶよ!そうでないといけないんだ!
そう思った瞬間に俺の周りは待機室に戻っていた。そして、周りは何故か驚いた表情ばかりになっていた・・・・後で聞いたんだけど、俺の纏うISは黒いラインや箇所が所々入って身体の辺りが男性の鎧っぽくなってる以外は、知る人ぞ知る伝説のIS・・・・『白騎士』そのものだったんだ。
山田先生の意外とタフなとこって、理由はそんなかな?ってのと・・・・わかりやすいのを一発。