白い闇から来た騎士   作:くまたいよう

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今回で第一章完です。

次回は未定。


暴発の果て 第一章完

『私と言うものがありながら!』

 

 そう叫ぶ女性の声が響く、織斑一夏は乱入したISと短時間だが戦い、その時に感じた強さに夢中なようで事情聴取の最中にもどこか上の空であったが、彼に歪な執着をしたがる女性には許しがたい事だろう、その不満の爆発にして『暴発』に一夏は向き合っていた。

 

『絶対に許さんぞ!他の女に目移りとは!』

 

『顔すら未確認な相手に妙な言い方するな!お前は俺をどう思ってるってんだ!?』

 

 尤もだ。幾ら複雑で切っても切れない仲とは言っても最低限言うべき事はあるハズだ。感情任せであるが流石に何年も積み重ねたものは伊達ではない猛攻が暴言混じりに続く!

 

 それに対して?

 

『事情聴取の最中に喚き出すな!』

 

 そう言った流れだったのを思い出しながら相手からの射撃を回避していたのだ。今喚いてるのには?『奴』と同じような事を言うなと思う。そう、喚いているのは同じような台詞だから思い出してしまったのだが、そんな余裕は無くなり掛けている。二人を見ているしかない周りは今戦っている二人の技量もそうだが、明らかに自分達では到底及ばない動きを口ゲンカしながらしている事にも唖然としていた。

 

「貴様をこの手で殺すのが私の生き甲斐だ!」

 

「地金を出してんじゃねえ!お前の発想は戦いを生み出す権化だ!」

 

 アリーナ上空で粒子砲を撃ちつつ、迎撃の弾幕を掻い潜って接近し、力任せに大型ブレードが振り下ろされるが、それを上昇しながらサイレント・ゼフィルスは本体周辺に展開してランダム射撃をさせていたBT兵器を今度は白い闇を包囲するように展開しての攻撃が一斉に放たれるが、最小限の動きで回避し、リズムに合わせて一つ一つ粒子砲で撃ち落としつつ本体からのレーザーライフルは何度もやったようにブレードを盾代わりに防いだ。その隙に残ったBT兵器を収納と見せ掛けて懐に急接近する動きに観戦している者達は意表を突かれた。

 

「人様の事を言う前に強い奴なら誰にでも関心持つ癖を何とかしろ!」

 

「俺か千冬姉にしか関心無い狭さな見識なお前の方が問題だろがっ!」

 

 小回りの効くピンク色に光るナイフの連続攻撃をする側と、それを左手の装甲でナイフを持った手を弾き続ける側の攻防に移行した。お互いに距離を取るか取っ組み合いに持ち込むのを図っている流れが何分も続く!

 

 クラス対抗戦が中断し、誰が優勝していたか=一年で一番強かったのかを知りたかったと、残念な空気が密かに漂っていたが?思わぬ形で一年最強決定戦が実現していた。激しく口ゲンカをしながら上級生達すらが青ざめる動きで模擬戦・・・・否、死闘を続ける織斑一夏と織斑マドカ・・・・放課後アリーナの模擬戦どころではないレベルだ。密かにマドカの事を疑っていた者達も実力だけは本物だと思い知らされた。一夏にしてもこれ迄の経験と戦意の爆発的な開花が凄まじいものとなってしまっている。

 

 その内に収納を諦めて地面に落下したと思われてたBT兵器が再起動してブレードを持った右手に一斉に襲い掛かった!?と注目が集まった。擬態だったのだと周りを驚かせた。

 

「バカめ!デカブツを持ったままでいるからだ!右側の隙が大きいわ!」

 

「ヤロウ、小技ばかり少しはマシになったか!」

 

 流石にブレードを咄嗟に盾にしても体勢が悪い上に数が多くて弾かれ、隙が出来たところに蹴りを見舞われて落下していく白い闇に両手に握ったナイフで喉を突き刺そうと襲い掛かったサイレント・ゼフィルスの図に悲鳴が上がるが、刺されようとした側が両手で手首を掴んで足で蹴り上げたから、勢い余って半ば空中での巴投げのような形になり、そのまま蹴り飛ばされた方向の観客席手前のシールドに激突する事になった。サイズの問題で股間に当たる部分を蹴らないようにした一夏なりの配慮は秘密である。

 

 そのまま落下して体勢を立て直そうとしたマドカには、一夏が着地様に回収した大型ブレードの投擲が襲った。粒子砲の追撃を想定していたせいで不意討ちとなり、辛うじて弾いたが、再度体勢を崩したところでこの戦いの勝敗は決した。マドカの腹部に白い闇の左手が掌底の形で打ち込まれ、そのまま壁に叩き付けられた。

 

「さあ、ゼロ距離で撃たれたくないなら降参しろ!」

 

「ふん、やってみてから言ったらどうだ腑抜けが!」

 

「くそ、人様の好意・・・・ぐわっ!」

 

 一夏の頭部に打鉄のブレードの峰打ちが見舞われた。シールド越しでも何か響く一撃を背後から見舞ったのは千冬だが、素手であるのが更に周りを驚愕させた。

 

「バカ共がっ!痴話喧嘩はやめんか」

 

「ご、ごめん・・・・」

 

「ふん、すぐに謝るとは腑抜けになったな愚兄・・・・っぬが!」

 

 今度はマドカの頭部に柄の部分が落とされた。何のかんので千冬の言い付けはギリギリで守る一夏に対してナイフすらISの手から落としたのに負けを認めないマドカは少々噛み合わせが悪い。

 

「バカモノ!こいつなりに加減や線の引き方を考えているのだ!」

 

「ぐっ、私から逃げ出すような奴に・・・・」

 

「それは違う!全く、説明してやるから着いてこい!」

 

 ISを纏ったままなのに引き摺って退散する千冬の姿を含めて、この日の激戦は語り草となってしまった。中断原因の乱入ISから放送室を占拠した篠ノ之箒がどうなったかについての疑問等は綺麗に消し飛んでいたのである。

 

 余談だが、実は箒はマドカ同様に事情聴取中に乱入したISにご執心な一夏に暴発していきなり襲い掛かり、何度も見境ない攻撃をくり出したところをうんざりした一夏から額にカウンターチョップをもらった痛みに悶えているところを取り押さえられて謹慎室送りになっていた。不当に放送室を占拠する前に待ったを掛けた教員や上級生を暴行して昏倒をさせただけで問題であるから慈悲は無かった。

 

 一応は模擬戦を真っ向から挑んだマドカの方がマシである。

 

 鈴は乱入ISが来てから暴れ猫みたいに摘まみ出されたのに憤っていたが、冷静に考えればその直前は敗北寸前な状況だったので凹んでいたがリベンジを誓って学園内での甲龍の両足の修理と再調整に立ち会う事から始めていた。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 模擬戦と言うより実質一年最強決定戦に成り果てた激闘に一応は勝利した一夏が着替え終わったところを出迎えたのは最初の頃から協力してくれている二人、名無しで通す先輩と簪だった。

 

「いやはや、兄妹対決だけで凄まじいもんだったけど?貴方達、何があったのよ?」

 

「理由の一つは、俺が先日の乱入者を気にしてるのが気に入らないようです」

 

 先日のIS・・・・名前は名乗れないままなのに親交は重なる先輩は漸く下らない連中から解放されたが・・・・『二日前のクラス対抗戦』に乱入して一夏と戦ったISの事だけは聞いていた。その強さを千冬姉の次くらいかもと言ったのも波紋を呼んでいる。何気無く言ってしまった一夏だが、身内として現役の千冬を知る者の発言としては重要なのだ。

 

 箒に関して多少推測している側の考えでは、千冬が一夏の一番と言うのは割り切らざるを得ないとしても次に認定してしまう存在が許しがたいのだとしているが、実際は違っている・・・・話を聞けた自分に言わせれば一夏の中での一番は千冬と束がほぼ同率という点が問題なのだ。少なくとも束が自分より上なのが気に入らないどころではないし認めようとしない、それで溜め込んだものが事ある毎に暴発するのを見抜いている先輩な一方?アリーナから撤収前だが、自分と先輩と一夏で過ごせる時間が今の一番安心する時だった簪はこの話題の流れには思うところがあった。

 

「ふむ、次は?」

 

「わかりません、アイツは度々千冬姉と俺に殺意向けるくらいのケンカ売ってくるんですよ、勿論正攻法での戦いじゃなければ受けないし周りに迷惑掛けたら許さん!って条件ありますよ」

 

「おや、一応筋は通してるワケだ」

 

「・・・・」

 

 かなりの数が聞いたが、マドカの言い分は自分に構ってくれなくなりそうな兄に対する殺意込みな怒りを直接対決の最中にぶつけていたものだった。暖かい目で見るにはレベルが違うから複雑とすべきなのが大半の結論であるが、簪は物騒極まるやり取りだったけど自分に比べたらマシかもと思っていた。妹と言われても謎が多くて詳しい事は語らないマドカだが、良く言えば姉と兄に直接戦いを挑み続ける気概に溢れているのだ。密かにだが、簪にはまたも焦りが出始めていた。

 

 

・・・・・・・・。

 

 

「マドカよ、話を聞いただけでアレでは?」

 

「ふんっ、そう言いながらフランスの馬鹿話に乗る方も乗る方ではないかっ!」

 

「馬鹿話か・・・・」

 

『二人目の男性IS乗りを学園に送る』

 

 馬鹿話で良いのだろうか、仮に本当だとしても騒ぎが大きくなりすぎる問題だ。

 

「だがな、マドカよ?本人には直接、間も無く会えるから良いのだ・・・・だが、それ以外はどれだけお前の言う馬鹿だと思っている?」

 

「むっ、それは会社と国のお偉いさんとやらのかなりの数・・・・でもなければ、こんな愚行には及べん」

 

「そこだよ、会社と国を合わせてかなりの数だと?・・・・だがな、そう考えた時点で敗けな真相があるかもしれん・・・・そう、例えばフランスどころか受け入れた日本・・・・その関係者が?全てか、又はそう考えた方が良いくらい真っ黒で馬鹿ばっかだとしたらどうだ?」

 

 マドカはハッとした表情になった。確かに赤信号みんなで渡ればこわくない程度で済まされないなと考えたが?規模が凄すぎるとどうなるか?

 

「だからと言って?『シャルル・デュノア』が来たら、表向きは丁度男同士だからなせいで一夏と同室になる=お前は別室になるから程度で喚き出すものではない」

 

「そっちこそ、一夏が例の乱入者と言うより他に関心持って面白くないのではないか?」

 

「バカな事を・・・・まあ、コーヒーでも淹れてやるから一息付け」

 

 そう言って、千冬が淹れたコーヒーは塩と砂糖を間違えたものであり、二人して後始末が大変な事をやってしまったのである。結局、この二人の弱点は一夏であり、その一夏が他の女と同室になる事にやきもきしているだけなのであった。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

(馬鹿ばっかだった・・・・っ!)

 

 私・・・・いや、僕は祖国を見限った。

 

 自分なりに立てた算段をやる気にはなっていたけど?まさか、ここまで・・・・フランスも日本も終わりだ!織斑家や天災絡みへの考えが甘過ぎるし、関与してる人数が多すぎだよ!集団自殺でもしたがってるの?と言いたい!

 

 会社から聞かされたのは途中で投げ出したくなるくらい行き当たりばったりだ!裏を返せば、データさえ手に入れば僕が好きにやって良い作戦だけど?僕が女だってバレないと考えるのは何故?まさか、日本にいるのが余程のマヌケやお人好しばかりで上手く行ったり事情理解してくれると考えてる?・・・・まあ、良いや・・・・どこかで祖国を信じてしまった僕の方が悪いとして僕を乗せた飛行機の離陸音が響いた。でも、最後に自分の中で言う事はあるかな?

 

(さよなら、お母さん・・・・)

 

 裕福じゃない母子家庭だけど、亡くなった母だけは大好きだった少女は自分の名を偽りながらの流れに敢えて乗った・・・・。

 

 だが、彼女は自分がこの後に偽りの二人目の男性IS乗りとしてではなく、真実この世界を左右してしまう存在となってしまう等と夢にも思わないでいた。

 

『シャルロット・デュノア』改め『シャルル・デュノア』が日本に向かって物語は新たな展開に入る。




第二章から、どの辺りからかはともかく、主役はシャルな予定。
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