世界で2人目のISを動かせる男性、そう偽って学園に入る計画を生い立ち上で断れずに押し付けられたシャルロット・デュノアはシャルルと名を変えて日本に向かっていたが、途中で乗っていた飛行機を撃墜されるテロに襲われる。爆発寸前の機体から脱出する前の光景により、精神を病んでしまったシャルルを強引に学園に連れ出した千冬の意図は?
※
サブタイ通り、ある意味で早期に結果は未定な救済策が始動回。
(私の責任だな・・・・やはり、他を馬鹿呼ばわりしている者は?例外はあれど、最後はどうなっても自分が一番馬鹿認定されるべきなのだな)
シャルル・デュノアの正体も環境も私は大半は知っていた・・・・だが、見下すべきな連中の元に置いたままにするのは胸糞が悪いし・・・・適正値を始め、あいつのデータを目の当たりにした際には打算的な事を含めて丁度良かったと思った。学園に送ってくるなら送ってくるで話を合わせてから、いずれ『実は女』と明かさせるのを視野に入れて過ごさせる。そろそろ、鬱陶しい奴等を黙らせる為の手を打つ事を考えていたからな、何より一夏の『気分』を上手く和らげるにも役立つだろうから・・・・だが、最悪な結果になった。移動中に乗っている飛行機をテロで撃墜されるような事を想定しなかったとはな・・・・思えば、一夏の時に考えが甘いままで話が進んだからか・・・・今の女尊男卑な世の中では、本来男性にISの適応者等が現れたらああもなる。今回テロを起こしたような連中は、あくまで?
『ブリュンヒルデの弟だから強行策には出れなかった』
(シャルル・・・・いや、シャルロット・デュノアか・・・・『事実を知った時』・・・・その時は私を憎め・・・・『一夏の次になってしまう事』を含めてな)
千冬なりの後悔は、その日の内に思わぬ展開を招くのだが・・・・今は、それを振り切るように授業の準備を進めるのだった。いっそ千冬が他に任せっきりにしきれるようならば良かったのかもしれない。
今日は1組と2組の合同訓練で訓練用ISを実戦を想定した範囲で動かせる貴重な授業、ISスーツに着替えた生徒達がグラウンドに集合していたのだが、漸くそこまで来た喜びを出そうにも、ある存在の為に空気が重い・・・・その存在とは、シャルル・デュノア。
『世界で2人目なISを使える男性』
『適正地Aのフランス代表候補生』
しかし、全身から出ている暗い雰囲気はどうにもならない、テロにより日本に着く前に乗っていた飛行機を撃ち落とされた事から生まれた波紋は大きく、初対面な2組の者達からは燻しがられているが、そこは1組同様に、この場で救いになる存在に吹き飛ばされた。
「では、授業を始める!学園に入れてから二ヶ月程度の段階であるからには、貴重な訓練時間を疎かにするような真似はするなよ?小娘共!」
鬼教師口調の千冬の声が響く、流石にブリュンヒルデの尤も内容の一喝に勝る程ではない、シャルルに関しては?彼が同室になる一夏に任せる空気も出ていた。男性同士を始めとした要素を始め、持っている物が自分達より多いので何か出来るかもとは思っている。
(学生達は、そう思っているようだな・・・・流石に一夏を内心で誉めてやるか)
『目標は千冬と束』
徐々に生徒達に広まっている一夏の目標、そうやって高い目標に向けて向上心を持って過ごす弟の影響は良い方向に働いている・・・・実は自分と束くらいしか知らない秘密があるのだが、それは後にしよう・・・・そもそも、千冬の身内だからという利点あってこそだ。でなければ、シャルルのようになっていたと改めて思ってしまうのだ。
「では、本日から実戦を含む訓練だ!手っ取り早い見本から始める。オルコットに鳳は前に出ろ、お前達にこれから来る相手と対戦してもらうぞ!」
『ああっ、どいてくださ~~い!!』
ドカーン!
真剣な千冬の言い分をぶち壊す場違いな声がして、落下音がした方に注目が集まり、近くにいた生徒達は散っていたが、そこには?
「あらあら、失礼しちゃいましたね『デュノア君』・・・・」
展開したISを直ぐに解除したシャルルが、教員用の訓練機で落ちて来た1組の副担任山田真耶に押し倒されている体勢になっていたのだが・・・・あのサイズ違いの胸を押し付けられても無言で暗い顔なままだった。本来は女子高なので、その類いの憧れるか熱情を向ける一部からすらもやはり重症だと改めて思われた。何か思うところがあった麻耶を引き離したのが一夏であるが?
「山田先生・・・・空中で余所見して、途中で方向転換してませんでしたか?」
「い、いえいえ・・・・織斑君の上に落ちそうで、そうなったら格好悪いかなって慌てて・・・・」
真耶の意図は何名かが察した。他とは違うが入学試験でボコボコにされた相手にドジな形に落下なんかしたらと思うと・・・・呆れながらも時間が惜しい千冬は次の指示を出した。
「では、模擬戦開始!」
模擬戦自体は流石は千冬が居なければ日本代表だった真耶だ。ラファール系の扱いは抜きん出ているシャルルですら戦慄する動きで実年齢以上な大人と子供の差を見せつけられて捻られて、連携すらままならないセシリアと鈴が完敗して終わり、仲良く倒れ付した・・・・。
「二人共、織斑君みたいな相手と戦う事を考えてばかりだから私みたいな相手に連携して挑む技術が入学前より落ちてますね」
追い討ちで痛い一言を浴びせられた。確かに言われたように一夏と正面から戦う事ばかり考えていた・・・・そして、この授業の意図は遠回しに千冬が現役の時に周りが犯した失敗を繰り返さないようにさせない為の一歩目でもあるのだが、それを即座に理解していたのは一夏にマドカくらいである。
有り難いものを見せた麻耶だが、実力は認められても?お友達感覚な見られ方はやはり無くならないのはご愛敬である。
(だが、それはそれで『稀有』なのだ)
千冬としては、訓練中に麻耶を自分の算段の中でどうするかを密かに気にし始めた。こう見えて、自分に無いものがあって骨のある後輩を気にしない程に他者に無関心ではない。
その放課後。
「うん・・・・そう、しっかり・・・・見て、思い切り良く・・・・入れてね?」
遠目からは、何故か高くて弱々しい声なせいで妙な響きだ。的に入れてと言う意味よね?と言いたい視線もある。
シャルル・デュノアはアリーナに案内されて専用機も持っているので、一夏と訓練をしていた。見た限り、今のところは期待通りと周りは見ていた。一夏と一緒ならISや身体を動かす機会は多いのは今までで広まった事、心中が計り知れないのだが、動いていた方が楽と思っていたのだ。
次々と出てくる的に向かって、シャルルからアンロック=操縦者からの許可を出してもらえば他のISの武器を使える機能を使ってもらって借りている複数の銃火器を次々と撃って初心者とは思えない命中率で的に当て続けていた。シャルルの専用機である『ラファール・リヴァイヴのカスタム機』は白い闇のサブ・ウェポン候補に数えられるようは武装が多いので丁度良かった。大型ブレードの『未使用な機能』は簪との一件以来、今の自分が使う資格は無いと戒めていた。
(凄い・・・・大振りな近接武器とメインになりきれない牽制用の飛び道具だけじゃなくて、汎用性の高いのを持たせたら手が付けられないかも・・・・って、何を冷静に分析してるんだろ?)
会社に引き取られた・・・・いや、連れて来られた後に義母に『泥棒猫の娘』呼ばわりで叩かれた後に、実験動物扱いな日々で、変な癖が付いてる?・・・・何故か耳に入れられた『ドイツ』の部隊を周りが悪く言ってたけど、それと変わらないじゃないかと思っていた・・・・ああ、そうだ。そのドイツ絡みで日本に来た後の計画を立てたけど?と考えていた時に?
「一夏、そんな邪道をしてないで私と訓『撃て!』・・ぬなあっ!!」
シャルルは『打鉄』のシールド・エネルギーが1割残る程度に自分のISの火器の一斉射を箒に見舞った。案内してくれたお礼を言い出したら?
『じゃあ、邪魔者がISで来たら『撃て』って合図するからシールドエネルギーが切れない程度に撃ってくれ』
そう言われていたので、咄嗟に撃ってしまった。相手はクラスメートの『篠ノ之博士の妹』だよね、それが『のほほんさん』と呼ばれてた娘のIS・・・・確か?
『九尾ノ魂』
ダウンしてた妹?は、狐の尾が先端になったコードが伸びて、それで縛り上げられて退場して行く?大人しくしてるのは突き付けられてる尾に身体に穴を空けられたくないからだろうね。
「ね・・・・え、あの二・・・・人、は?」
「のほほんさんは、あの専用機をいつの間にか実用してたから上手く説明出来ない、篠ノ之妹は時々『武士』だの何だの言って『飛び道具は邪道』呼ばわりとか・・・・色々うるせえから、他に頼んだりしてああしてる」
「そう・・・・でも?武士って・・・・戦国で、近接、武器のみじゃなく・・・・て?石つぶてから弓、当時の・・・・鉄砲から大砲に、軍艦扱ってた?か・・・・らさ、今で・・・・言う、僕が剣とか・・・・槍を使える場合、より上・・・・な『ウェポン・マスター』・・・・じゃ・・・・ないの?」
「ああ、その辺はややこしいから後で時間あったら、俺なりに説明するさ・・・・それより、お前も撃ってみてくれないか?経験者がやったらどうなるのか見てみたいし」
「うん・・・・良、い・・・・よ?」
そう答えて、ライフル類を的に向けて・・・・撃つ、撃つ、撃つ、撃つ・・・・撃つ!何故か、身体を少しは動かしてた方が楽に思えて来た。
そう考えるシャルルだが・・・・来たばかりにせよ、周りは下手をしたら一夏が箒を殺してしまう危機感を持っていたからそうしてると気付けはしない、そして一夏は見抜いていた。シャルルの内包したドス黒い感情の正体と、それの改善から発散が必要な事、今の時点で少し改善策は見えて来た。しかし、色んな意味であの篠ノ之妹絡みたいになるのじゃ駄目だと思った。
その夜、シャルルにとっての試練が訪れたのだ。
「日本・・・・の・・・・お風呂・・・・か」
故郷とはまるで違うが、入浴は偉大な発明だと思う、良く洗って流した身体で熱いお湯に浸かる感覚は、正直凄く良い・・・・知識で知っている一般用よりかなり広めなのは、寮長室のだからかな・・・・ブリュンヒルデと言うよりIS学園の寮長のものだからと手足を伸ばしながら思った。
同室となった織斑君は事情を聞いていたのか、織斑先生から渡されてお昼に食べたのとは違う保存栄養食をありったけ譲ってくれた。それで食事を済ませて・・・・寮長室の鍵まで渡してくれた。一応信用あるかららしく好きに使って良いとの事・・・・時間だからと用意してくれているお風呂に交代で入るのを提案してくれた。最初に行って帰って来た時に?
『千冬姉は留守だったけど、状況はわかってるから入って来いよ?』
そう言ってくれて、次を使わせてもらってる・・・・お湯を両手で掬って顔に掛けて・・・・知識であった事をやって気を紛らわそうとしていた時。
~~っ。
物音?ドアが微かに開いて?まさか、織斑君が?と思った時に隙間から見えた顔は?
「・・・・・・・・」
(お、織斑君じゃない?)
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド。
相手が織斑君じゃない事に気を取られた僅かな間に、浴室内の空気が、ドドドド・・・・と、形になる音が聞こえると言うより見えると錯覚する程に異常な重圧を纏うものに変わっていた。
「お風呂、いっしょに・・・・入っても・・・・」
「えっ!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド。
益々重圧が高まって来た。そして入って来てドアを『バタム』と閉めた存在は?
「・・・・いいかなぁ~っ?『一夏』?おねえちゃんと久しぶりに・・・・」
山田先生のように大きすぎはしないけど、出るところは出てスラッとしてて無駄な肉がないモデル体型・・・・あの篠ノ之妹にすら『完璧』と言わしめたらしいと聞いた肢体を堂々と晒している織斑先生だった。
「な、な・・・・っ」
「どうした?女のような声を出しおって・・・・私が・・・・その何だ?『大怪我』した時、一緒に入ってくれていたではないか?・・・・む、まさか?聴覚もおかしくなっているか?」
『大怪我』
昔、そんな時期があったから?『聴覚』がどうとか気になる事を言ったけど、何故なの?と僕は考えた!湯煙越しでも姿を見ればわかるハズ、籠に入れてる着替えは、同じ学園のジャージ使ってたから?下着は見えないようにしてたから判別が出来なかったの?と思った時に。
「全く・・・・あの時以来?普段は誤魔化せてるのだが、やはり未だに『視力だけでも、録に戻らずに束特性のコンタクトレンズを付けて無いと駄目だ』・・・・実は、そのレンズを始めとして、他も今日は調子悪くてな?済まないが、昔のように世話を・・・・してくれんか?」
(し、視力が録に戻らない?・・・・束って、篠ノ之博士の事だから・・・・い、いや・・・・でも?これって一体どうすれば良いのさっ!?)
真相はどうか知らないけど、言った通りなら織斑君と外見も声の違いも判別つかないし、凄いプレッシャー発している理由にはなる!いや、それより今の自分はこの状況を乗り切らなければならないのだくらいは理解した。ドアを閉めて此方に向かってくる織斑先生・・・・僕にとって初日の最後に最難関と言える試練に見舞われてしまった。
千冬の言った事の真相は後にして、のほほんさんの専用機も早期に出た展開。