白い闇から来た騎士   作:くまたいよう

22 / 53
 あらすじ。

 学園生活初日の夜、シャルルの入浴中に思わぬ乱入者が現れた。気になる言葉を漏らしながら自分を一夏と間違う千冬相手にどう向き合うのか?




過去の恩恵 シャルルの浮き沈み

(乗り切るしかない・・・・)

 

 織斑先生の言った事が真実かどうかは判断できない・・・・仮に、本当だとした場合で考えると織斑君には気を許しきっているからこうなっている可能性は高い、実は織斑先生は生い立ち上で弟思いだってくらいは知られている。ドイツで決勝戦を放棄してまで飛んで行って、それが陰謀だったとわかって政府や大会のお偉いさんを死人が出なかったのが奇跡と言われるくらいに血祭りにあげてしまった惨劇は一部からは語り草だと聞かされていた・・・・。 

 

「わ、わ・・・・かった」

 

「済まんな、一通りで良い・・・・」

 

 そう言って、位置だけは流石に馴染んでるからわかるようでお風呂椅子に近付く先生を織斑君みたいな口調を装った後に座らせてあげて?普通に身体も髪も洗って背中を流してあげて・・・・皮肉な事にお母さんが病気で弱っていた時期にやってた事が役に立っている。人生で・・・・一番悲しかったけど、それでも楽しかった時の経験に僕は救われている。

 

「なあ、一夏・・・・デュノアの様子はどうだ?」

 

「え・・・・やっぱ、元・・・・気、無い・・・・」

 

「そうか・・・・やはりな」

 

 少し身体を震わせている?何故かわからないけど、今はバレないようにして、湯船に入れた後に?出る前だった事を言ったら?

 

『では昔通り、この後に湯船に入ったらお前は一旦出てから・・・・声を掛けるまで待っていてくれ、お前が着替えて数分くらいの辺りで声を掛ける』

 

 そう言われた。指示通りにした後に湯船から上がるのを手伝い、身体を拭いてあげて、髪をくしでゆっくり解かして、頭皮もマッサージしてあげて・・・・とにかく、思い付く事はやるだけやった。

 

「ほう、浴室の中での手際もだったが?久し振りにしては手慣れてる・・・・すまんな、昔取った杵柄とやらの悪い例だな」

 

 そう言ってもらいながら最後に、寝間着姿にしてあげたけど、やっぱり嘘偽りだとは思えない・・・・お母さんの時と同じで本当に身体を悪くしている人にしか思えない動きだ。

 

「後は・・・・寝れば何とかなる。駄目ならば・・・・『束に連絡する』・・・・お前は自分の事をやっておけ、何度も言ったが?何が起きたかはお互いに誰にも口にしない・・・・その約束は絶対だ」

 

「お、おう・・・・」

 

「うむ、では帰れ・・・・いつまでも、こんな姿を見てくれるな?・・・・それと、ありがとう・・・・」

 

 

 

 

 シャルルはやはり、千冬が本当に自分と一夏の区別がつかないのは本当だと思ったが、千冬が疑ってないのは自分に悪意や害意が一切無いのを感じたからでもあるとは夢にも思わなかった。そして・・・・多少の違いはあれど千冬から感じたのは、亡くなった母が自分に弱音を吐き出したがるのを堪えていた時と酷似していたものなのだ。

 

 

 

 退室した。多分、大丈夫だと思う・・・・けど、どうしよう?とんでもない秘密を都合良すぎる流れで掴んでしまった・・・・これをと思って、一応付けといた『髪留め型小型録音機』・・・・これを上手く使えば早目に・・・・。

 

『学園に来い』

 

 先生の言葉が過った。乱暴だけど、保存食を無理矢理に口に入れてくれて栄養補給させてくれた後に連れ出してくれなければ今頃?と思った。録音機を付けてしまっていたのは、スパイの訓練のせいで・・・・スパイ、そう僕はスパイを敢えてして・・・・僕は!

 

 

グシャっ!

 

 

 録音機を握り潰した。最初で最後のチャンスだったのかもしれない・・・・けど。

 

(お母さん・・・・これで、良いんだよね?)

 

 お母さんから、親切にしてくれた人への恩義はとか以前に普通の事が大事と言われて暮らしていた。何かあるかもしれないけど・・・・これで良いんだ。僕はお母さんだけは裏切れない。義母と実父を始めとした人達にどんなに冷たくされて、いずれ逃げ出す事を考えながらもそれだけは守ると誓ってたのを思い出した。

 

 

 

 その光景を今の段階では一夏か楯無でもなければ見破れない程に気配を消し、寮長室にシャルルが入る辺りからの一連の流れを見守っていた少女は学園内の隠し部屋にて『報告』を開始した。相手と自分にしか理解出来ない暗号文であるが、翻訳すると?

 

 

 

(前略 束様?『シャルロット・デュノア』は織斑千冬様の不調が危険域の2つ前のレベルに達した事が原因により『千冬様の秘密の第5項目』に触れましたが、その間の会話を録音していた器機を自ら握り潰し、破壊しました。恐らくは、学園に連れて来てもらった恩義によるものです。スパイとしては0点ですが、いっくん様の傍に置いておいて良いかの採点には満点をあげるべきと思われます。今後の指示を願います)

 

 数分待たずに帰って来た返答は?

 

(は~い、先ずはご苦労様♪♪くーちゃんの判断通りにしてね?それからくーちゃんにはサプライズを用意したから、今から送る資料をプリントして読んでね?)

 

「サプライズ?・・・・とにかく、指示通り・・・・」

 

 プリントした資料の一枚目、実は髪飾りが一見は機械的な要素が無いが、中身は千冬絡みで培った技術で造ったもので目を閉じたままでも映像を送ってくれる特注品、これにより一般生活は『両目を他に見せないままで可能』なのだとして読んだ内容は?

 

(私の『完成品』が来るのですね・・・・)

 

 クロエが言った通りに、近い内に『ドイツからの転入生』が来る。思うところはあるが、クロエにとっては束が何より優先する。私心は2の次にして続きを読んだが?

 

「な、なな・・・・何故?」

 

 ヒドい!確かに、それを可能にしてもらうくらいに便宜を図ってもらってはいるけど!ヒドいです!と思ってしまった。

 

 ガチャっ

 

 少し荒くなったかもなドアの開け方で自室になった部屋に戻った。シャルロットと呼ばれてた頃は割と活発にやってた時期もあったかなと思ってたら?

 

「よっ!」

 

 織斑君だけじゃなくて、同じクラスの布仏さんとセシリアさんに織斑君の妹さんがいた・・・・簡単なテーブルにジュースと保存食?

 

「野菜と果物の手作りなジュースと・・・・保存食だけしか無かったけど、味は良いの用意したんだよ・・・・丁度、まだ胃腸が完全じゃないセシリアに薦めてたのと・・・・お前が一応は学園に来たから・・・・な」

 

「ど、ど・・・・う、も・・・・」

 

 多分?『歓迎会』・・・・そう言うのは駄目・・・・『励まし』とかでも、知った風に言ってるようで駄目だから曖昧にしている?僕が普通に食事出来なくなってるから、大丈夫そうなの選んでくれたのも含めた織斑君なりな気遣い?『赤いもの』や『加熱したもの』を避けてくれてる・・・・保存食は幾らか加熱したものはあるけど、織斑先生のお陰で何とか・・・・ああ、お風呂も何となく大丈夫だったのは善意で薦められたからかな?

 

「わたくしも用意したものを出そうとしたのですが・・・・その?まだ細かいところが良く・・・・」

 

「味の問題だろ、大抵のものは大丈夫な私ですらお前のサンドイッチは死ぬと思ったぞ」

 

「な、何ですって!?」

 

「はいは~い、早く食べようよ~?」

 

「簡単お茶会?も良いとこな場なのに食欲優先かよ?とにかく、シャルル?お前も一杯飲め、日本じゃ駆けつけ三杯ってやつだ!」

 

「・・・・それ・・・・は、お酒?だ・・・・よ?」

 

 薦められたジュースを飲みながら、何か・・・・良いなと思った。僕は初めてかもしれない光景の中でお腹より他が満たされてると感じながら、セシリアさんとマドカさん、何か色々やり合ってるらしい二人の口喧嘩や、布仏さんの着ぐるみや食欲・・・・まあ、この保存食は味は普通のクッキーやビスケット並だから?・・・・に目を丸くしながら消灯近くまで色々お話をした。

 

 呼び捨てや名前呼びで良いと言われて・・・・僕は、織斑先生に連れて来てもらって良かったって初めて思った。

 

 

 

 それから・・・・2日後。

 

 

 

「おりむー、シャルルん少し元気になったねえ~?」

 

「そうか?」

 

「うん、暗さが少し~?減った~」

 

 本音の見立ては正しい、千冬の秘密を垣間見たが、自分なりの良心を優先させると言う行為も初日の細やかな歓迎会のような雰囲気も会社に連れて来られてから初めてなのだ。一夏が敢えて何も触れないでいる私生活も新鮮に映っている。シャルルが立ち直るのを望む側はこれからだと思っていた時、朝のSHRの時間前に全員が素早く席に戻った。席についてないと怖い存在が来るからだ。

 

「席に付いているようだな、唐突だが『また』転入生が来た」

 

 教室がざわめく、2組の鈴を含めて多いとは思うからだが、シャルルは千冬の方を気にしていた。あの日の翌日、言った通りに朝には復調していて、今日は?と考えていたが、見た感じで・・・・何かゲンナリ?したいようで出来ないと言った雰囲気だ。

 

「では、入れ」

 

 促されて入って来たのは、綺麗な銀髪・・・・金髪より珍しい類いだ。

 

 張り詰めた雰囲気で、周囲を警戒しがちな仕草・・・・何よりも表情だ。

 

 両目を閉じている?だが、雰囲気と外見の感想等は自己紹介により吹き飛ばされた。

 

「本日・・・・より、このクラスに編入・・・・させて、いただき・・・・ます。そ、その・・・・」

 

 名前を言い淀んでいる?そう理解はしたが、その理由は次の瞬間に発覚した。

 

「・・・・わ、私は・・・・『篠ノ之クロエ』・・・・と申します。聞いての通りに?『篠ノ之束の義理の娘』・・・・です」

 

『義理の娘』

 

 とんでもない一言だった。IS開発者なだけでなく国際指名手配となっている束の義理の娘が転入生として、いきなり来た事に流石に驚愕の声は抑えられない、その中でシャルルは『義理の娘』という部分に表情を強ばらせたのを一夏は気配で察したが、束のやる事なら間違いは無いとして平静を装った。千冬はそれを見て血が出る寸前まで拳を強く握り締めてしまっていた一方でクロエは先日の事を回想していた。

 

 

・・・・・・・・。

 

 

「手続きはもう済ませて、指定した場に?くーちゃんの私物はあるだけ送っといたから?わ、私に・・・・『IS学園の生徒になれ』・・・・そ、そんなあああっ・・・・!」

 

 確かに、非武装ではありますが?束様から専用機は頂いていますし?視力に関しても千冬様の絡みで得た技術を使って一般生徒としては振る舞えるようにして頂いてはありますが・・・・何故、何故なのですか?私は、私は貴女の為だけに・・・・ヒドい!ヒドいですぅぅ!

 

 そう思ってた時に、最後の一文。

 

『くーちゃんにはね?束さんが『母親』としてやらなければならない事をさせてもらうから、こうするの!それが何かは自分で考えてみて!大丈夫だよ!くーちゃんは束さんより、よっぽど『強いんだから』・・・・だから、自分でやるんだ!』

 

『私が束様より強い』

 

 その辺りは全然わかりませんけど、それは自分なりに考えるで良くなりました。それは?

 

『母親』

 

 束様・・・・私、やります!自分で答えを見つけ出してみせます!・・・・と思ってみたけど、やっぱり普通の生徒と言うより一般人は初めてなので緊張してます。と、とにかく?ギクシャクしたけど自己紹介を終えたと思っていたら?

 

「嘘だっ!あの女が義理の娘な、どぉっ!」

 

 いっくん様が、後ろを見ずにペンをスナップだけで暗器のように飛ばして、何か騒ぎ出した者の額に命中させました。先端を向けてたら突き刺さってましたね。

 

「束さんを悪く言って良いのは千冬姉だけだ!何度も言わせんな!」

 

 何度かあったような図らしいですから、周りはスルーしてますね。しかし『姉さん』?束様に妹が本当にいたのですね、あら?チェルシー様の件で・・・・い、いけない!私って、他への関心が駄目駄目です!これでは、束様の為になろうとするのが逆効果?になりますね、しっかり勉強しないといけません!




 くーちゃんは学校に来ました。書かれてるように、普通に?

『両目を見せないままで、日常生活送れて専用機既に持ってる』

 細部はこう御期待。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。