ぎこちなさが抜けないシャルルとラウラの前に現れたのは三年のアメリカ代表候補生ダリルだった。シャルルを特に煽るダリルの意図を図れないまま、一触即発の状態となるが?
ラウラ・ボーデヴィッヒは隣でドス黒いオーラを全開にするシャルルに尻込みしていた。
『怖い・・・・恐ろしい』
シャルルが自分の誤解したような人間じゃないとは、昨夜でわかったが、恐怖は拭えなかった・・・・織斑教官に救われる前の自分なんか問題ではない地獄を意図的な悪意で味合わされたのが理由で抱えたものには踏み入れない・・・・どうすれば、どうすればと思っていた時。
「やる気になったか?かかって来な!」
指で『カマーン』と言わんばかりに挑発するダリルに対して、シャルルは名前を聞いてないままだったリヴァイヴカスタム機の両手に火器を持たせた。
「仕掛け・・・・たのは、そっちなん・・・・だ!ラウラ・・・・を、一夏が・・・・話し合、えって・・・・言った子・・・・蹴り、入れ・・・・た!」
「ISの鉄拳向けた奴が言うか?けど、そういう怒り向けるからには、多少はマシになったようだなあ?じゃあ、始めようか!」
そう言って、突っ込んで来るヘル・ハウンドにマシンガンを斉射した。ジグザグに旋回しながら近距離に突っ込んだダリルは手刀で左手のマシンガンを落として右手のマシンガンを至近距離で向けられた時、次は前蹴りで弾く。
「そらあっ!」
前蹴りで上げた左足を地につけ様、もう片方の足をそのままの勢いで後ろ回し蹴りの形にしてシャルルのこめかみに向けて振り抜くが?
「なっ!?」
直撃したのに微動だにしない?ISのシールド超しにしても異常な光景!そのまま、いつの間にか握っていたパイル・バンカーを腹部に押し付けてイグニッション・ブーストを掛けられた?
「ぬぐあっ!・・・・器用だっ、な」
ダリルは機体を必死に身体を捻って脱出するが、背中から壁に激突した。次の瞬間にはアサルトカノンが斉射されたので、咄嗟にISの両手を十字にした防御で防ぐが、これは防御態勢になったフリ。
そして、推量を全開にして上空に飛んだ。その先に推測通りに新たにライフルを構えようとしたシャルルがいた。またも火器を封じられる間合いに突っ込む・・・・武器を上手く使わせたら、回避していても分が悪いとして、上空で懐に飛び込んで、脚部を膝蹴りの形で腹部に思い切り直撃させたが?
「捕・・・・まえた」
またも微動だにしない、至近距離でグレネードらしき武器を放ち爆発が起きた。距離が空いたのを機にしてありったけの火力を撃ち込んで来るシャルルに正直なところ気圧された。怒りが最高頂に達しているせいか、多少の打撃ではどうにもならない!
「・・・・こりゃ、良い・・・・上等!」
改めて向き合うが、予想だにしない光景が起きた。リヴァイヴが動きを止めている?
『AIC』(慣性停止結界)
対象を任意に停止させることができる機能、後方にいたラウラが、このまま戦ってはシャルルが取り返しが付かない状態になるとしてレーゲンの切り札を使って止めたのだ・・・・が?
「ラウラ・・・・解いてくれない?」
今にも動き出しそうだ。檻に閉じ込めても食い破って獲物を血祭りにしそうな猛獣のようだった。ラウラは止めているのに完全に気圧されていた・・・・また恐怖の余りに失禁してもおかしくない、誰かに助けを求めたいと思ったが?
『隊長?』
(く、クラリッサ?)
確執の末に自分を認めてくれた同胞の声がした・・・・そうだった・・・・私は隊長・・・・隊長だ!だから、行事でだが?一時共闘する者の勝手な行動は止めるんだ!として、声を掛けた。
「やめないか、一夏に言われたろ?仲直りしましたで済まされない事はやめるんだ」
精一杯、平静を装ったラウラに応えてくれたのかシャルルの殺気が薄れた。その瞬間?シャルルが倒れてしまった?掛けよったが、所々出血している。
「自分のリミッター外して動いてたから、身体がもたなかったみたいッスねえ?まあ、このくらいなら一日安静くらいで済むっすよ?」
いつの間にか、癖ッ毛を三つ編みにした小柄な少女が専用機らしいISを纏って隣にいた。誰かと思ったラウラに少女が自己紹介した。
「あ、私は『フォルテ・サファイア』・・・・一応は二年で『ギリシャ代表候補生』っす」
「おう、来てたんか?取り敢えず溜め込んだもの発散させてやろうとしたんだけどよ、ソイツは危ねえぞ・・・・鬼どころか獣になるくらいにリミッターが効かねえ・・・・下手したら、自分が死ぬまで他を殺し尽くすくらいだ。そうなる前にお前が今回みたいに止めてやれよ?」
白々しい事この上無いが、ダリルのお陰で事前に知れた。そう、目撃した者に言わせたらダリルがやったのは、学園の現状を説いた後に偽悪的に接してシャルルの溜め込んだものを発散させてやる為のもの・・・・変に気遣うより余程先輩らしい、シャルルを医務室に運んで行くしかなかったラウラすらそう思っていた。
「ちと、厳し過ぎじゃないっすか?」
「まあなあ、けど正解だったろ?オレ達も撤収と行こうぜ」
明後日の方向に手を振ったが、その先にいたクロエはISを展開させていた。ラウラに同胞達の幻影を見せて踏み留まらせたが、わからなくなっていた。自分の力を使ってまでシャルルやラウラを助ける機会が出来たのは良いが、何故かわざわざやる意味はあるのか疑問になって来たのだ。
(束様・・・・これで、良いのですか?あの二人を止めたいのな・・・・らっ?)
考えた瞬間に、クロエは自己嫌悪に陥った。どうせなら、束のところに送れば良いと考えた瞬間にクロエは『独占欲』が過った・・・・束は自分の母親として、それを他に揺るがせたくないと。
(違う!違います・・・・ラウラは私の『妹』にも当たる。だから、助けてあげるべきです!そうですよね、束様・・・・で、でも私の能力の使い過ぎに注意が必要で?やっぱり、束様を不用意に頼るのも駄目だから、次は身体を張る形にする・・・・でもなくて、騒動を起こさないようにしないと)
仮に束が見てたら優しく抱き締めてあげただろう、クロエは束が望んだ通りの変化を始めていた。
その束は?
「よしよ~し♪♪『デュノア社』の量産型の購入完了~」
新たな計画をご機嫌で立てていた。学生組に関して、大抵の事は千冬に任せれば良い、クロエも送ったから、これ以上は手を貸してやる必要は無いのだ・・・・。
「じゃあ、始めますか?『束さんの復讐計画の一歩目』をね♪♪」
紹介?
クロエ・クロニクル。
束の義娘として過ごしていたが、潜入していたIS学園に唐突に編入させられた。本人は束の意図以上に前向きになりつつある娘となっている。