休学明け、自室での療養を命じられた一夏とシャルルはそれなりに日々を過ごしていたが、一夏から倉持技研への同行を頼まれてしまう事に唖然となっていた。
一方で、束も独自の行動を着々と準備していた。
邂逅 シャルルは出会った
僕、シャルロット・・・・違う、シャルルは夕日で、赤く染まる廊下を歩いている。
『赤』
違う、これはテロに遭った時の炎や飛行機に乗った人達の血とかの赤じゃない・・・・初日で少し動けるようになったけど、考えてみれば運が良かっただけ、織斑先生と一夏達が学園に居てくれただけで。
もしも、先生や皆が・・・・飛行機の中に居た人達と同じになったら、いや・・・・そうならない為に、日々を過ごすんだ・・・・学園の中に居れば、時間は稼げる。
外から襲撃や裏工作もあるけど、それはと考えた時?僕は悪寒を感じた。
『外から』
そうだ。外から来る理由は何だろうって?
そもそも、訳ありでも学園にいるのは?と考えながら寮に戻ったら?
『中は地獄になっていた』
何とか記憶している人達は、全員が撫で斬りにされていた。血の海になった廊下を進んだ。身体に力が入らない、先生や一夏達は?もしもこの後に、皆の死体もあったら?と考えた時、前からISらしきものが近付いて来た?
「シャルル!無事か?」
「い、一夏・・・・こ、こ・・・・れ」
「説明は後だ。IS展開しろ!迂闊に外出たら危険かもしれない、食堂か浴場か?とにかく、広いところに行くぞ!」
「わ、わかっ・・・・た!」
言われた通りにした。確かに、状況が・・・・と考えた時に、僕はある事に気付いた。
『白い闇の左腕が元に戻っている』
「ここも駄目か、食堂も浴場も死体だらけで寮にいる半分はやられてるか」
「うん、酷いね・・・・で、君は誰なの?」
そう言いながら、僕はパイル・バンカーを一夏の背中に当てた。やっぱり違う、いつの間にかISが修理出来ている以前に感じてた違和感、余りにも静か過ぎだくらいだけど、何となくわかる。
それに、一夏なら間違い無く僕の殺気に気付く、幻術か何かならクロエがやれるだろうけど?・・・・もしも、一夏の偽者で敵なら・・・・と引き金を引こうとした辺りで、周りがどこか知識だけはある場になった。
確か、日本の『神社』『道場』?
実物を見るのは初めてだけどな場になって、ISも解除された?そして、建物の中には聞き覚えがある声?
~~~~っ。
え?これって、テレビ放送の音?しかも、内容は・・・・その時に、背後から近付いて来た気配があるから、恐る恐る振り返ったら。
「見ない顔だな、この当たりに金髪の外国人は住んでなかったハズだが?」
「お、織斑先生?」
「織斑・・・・いや、先生だと?私は、まだ大学にすら入ってないから、教員免許等は持って無いが?」
尤もだ。僕の前に現れたのは良くみると織斑先生が僕達と同年代くらいの年齢の時のような女性、それが白いワンピース姿?ワケがわからない、ここはどこなのかを聞こうとしたら・・・・女性の目が『金色』に光っている?けど、これは?
『夢』
そう、白い闇の左腕を修理するから、一夏と一緒に朝に出掛けるのを楽しみ・・・・そう、楽しみにして眠ったからわかったんだ。
意識がハッキリして目に映ったのは最近に見慣れた天井、一夏は隣のベッドに寝てる・・・・前半は、場合によっては有り得る可能性だったけど、途中からのは?特に最後に出会ったのは?
そう考えていたら、僕の普通の生活用な携帯が一瞬光って、削除推奨とされるメール?開いて見ると?
『前略 フランスの小娘様?このメール、挨拶文?の下にある長い空白の後に打たれた文を読む前に、君が全てかゼロかを選ぶ選択権が欲しいかどうかを考えて?強制はしないから、自信が無いなら読まずに消しな?』
『全てかゼロ』
何のつもりだろ?出所はやっぱり不明・・・・いや、僕を『小娘』と言うからには、ある程度は事情を知る相手からなハズ、考えられる相手はやはり?
元々は僕なりの全てかゼロかを考えていたけど?今の僕が欲しい全ては・・・・と、数分で決意して、メールの下を見るべく、でも長い空白が続く・・・・漸くに出た文は?
『覚悟を決めたかい?君がやるべき事は只一つだよ、下に示してある場所に?自分なりに、その時だと判断する日が来たら?隣に寝ている子を連れて行く事!言うまでもないけど、場合によっては全てを失う・・・・後は、君次第だよ?』
住所が書いてある。確か、此処は多分!そう多分だけどわかる。この前に生徒会長も一夏と出掛けた時?
『近付くのを避けていた場所』!!
な、何で僕にこんなのが・・・・お、落ち着かなきゃ、落ち着いて?
『素数を数えて落ち着くんだ』
僕はアホなのだろうか?僕は世界を一巡させちゃう迷惑神父じゃないよ、お母さんと一緒にいた頃に読んだ日本の漫画のせいなの?そんなのが起きるような類いじゃあるまいしね、仕切り直して、まだ夜中の3時?もう一眠りだ。起きたら、一夏と出掛けるんだから、寝不足は駄目だ・・・・何が起きるかわからないし。
そう考えていたシャルルではあるが、実は自分のアホな考えの方向性が?強ち間違ってはいないと知る術は無かった。
(そろそろ・・・・束様が、シャルル様にメールを送る頃ですね)
私、篠ノ之クロエは『寮長室』にベッドを運んでもらって、そこで寝ています。仮にも国際指名手配を受けている者の義理の娘なので、監視が必要と言うワケで寮長自ら、と言っても関係者達には、それどころではない秘密がありますが?私はそれ等を含め『千冬様の秘密』を知らされているので万一の為ですね、尤も寝る時以外はいっくん様や他の部屋を訪ねて交流して来いと命じ・・・・いえ、薦められてやっているのですが?就寝時間になる前に帰ると・・・・何で、ここまで乱れさせますか?流石は束様の親友な日々。お掃除して床に着いてます。暇あれば、スキンシップ?と言うのをしたがる束様が懐かしい日々、何かモヤモヤしてます。
そうしているクロエを千冬は分析していた。
(・・・・それは『ホームシック』とやらだな)
クロエは、時々深夜に目を覚ますが、思った方向だろう、束の奴・・・・わからんでもないが、配慮が足りんな?此処に来させるのは早計だったかもしれんぞ。
そう考えて、まだ早いので目を閉じる千冬だが?自分が一夏と離れたばかりの事を棚に上げていた。今はまだ眠るべき時ではあるが、既に束が『終末』を視野に入れた動きを始めたのはクロエや千冬ですら予想出来ていなかった。
言い方を変えれば、それだけシャルルが束に買われている事だ・・・・白い闇のブレードを使いこなしただけではないイレギュラーがシャルルに起きていたのを気付いていたのだ。
次回
倉持技研への出発回、そして始まる恐怖。