「専用機?」
二日目の夜、初日同様に千冬姉の寮長室の風呂を使わせてもらいに来て、普通に済ませた俺に決闘当日に政府が指示した専用機が届けられると告げられたんだが?俺はそこで気になった事を質問した。
「訓練始めて、次は二日後に先輩が知り合いも含めてやってくれる予定なんだけど?」
「それは結構だな」
「いや、俺が気になんのは?当日届けるとかもおかしいけど、その専用機がどんなか?って事だよ?仮に訓練機と操作系から何もかもが違ってたらどうする?訓練が意味無くなるくらいの妙なの来たらとか?最低限の資料と情報くらい渡してくれないのかよ?」
「そんな事を政府が考えているワケがないだろう?」
「そりゃそうか」
俺達の中で日本政府なんか便所のネズミの糞に匹敵する下らないものにしかなってないのは説明不要である。ドイツの時の汚名挽回したいのか、又は自業自得だろと言いたい事の復讐か何なのかはともかくマイナスになる事をしてる時点で『 』の時・・・・やっぱり最近多くなって来た。日記付けてたりしてるけど。他も何か考えないとな。
「じゃあ何かわかっている事は?例えば、どこで造るんだよ?」
「倉持技研」
「え!?あの『篝火さん』の?」
嗚呼、千冬姉と束さんの同級生なんだけど?私は二人と対等とは程遠いとかで否定してた人だ。そこまでは尊敬出来るんだけど、何か突拍子も無いから何と言うか・・・・いや、そもそも?
「心配いらんだろ?私と束の同級生だぞ」
「だから心配なんだよ」
そうだ!能力は認めても二人同様に何をしでかすかわかんねえんだよ!例えばだな?
「失礼だな!授業参観の時に私が行けない時に代理で行ったりしてくれただろう!」
「教室に川遊びで使うISスーツで平然と入って来て、俺含めた男子の尻を物色するヘンタイに保護者代理と名乗られた学生の身にもなれよ!」
ギャンギャン吠え合う俺達だが、何とか話題は元に戻った。俺の専用機についてだ。
「何、心配はいらん!流石に安全性無視の殺人的な加速が掛かるようなのが来るワケではないだろう」
「前後対象で水陸両用みたいな奇抜なんが来るかもしれないけど?」
「それは有り得るな」
「そこを理解してるなら最初から倉持に否定的になってくれよ」
不毛なのか否かな時間を終えて、俺は自室に戻ろうとした時だ。
「待て・・・・」
「?」
「どうなんだ?その・・・・学園は?」
「学園・・・・学園生活か?周り全部女なのは不安で、あの束さんの妹相手にやらかしたの以外は順調だよ、のほほんさんと、訓練してくれてるけど名前聞きそびれた先輩がいるだけで何とかやれるかもしれないさ」
「そうか」
そう言った時の千冬姉は家で二人の時に度々見せる笑顔だった・・・・まあ、それが嬉しいのは否定できないからお休みを言って退散した。
・・・・・・・・。
「当面は順調・・・・頼むぞ束よ・・・・私もまだ準備が整ってないんだ」
先程とは一転して、千冬の顔は弟には見せられない怜悧なものだった。自分なりの覚悟を決めざるを得ない千冬は気分替えの為に冷蔵庫から出した缶ビールを一気に飲み干したのだが?
「・・・・機会があったら、一夏には何かツマミを作ってもらおうかな、近くにいると作って欲しくなってしまうよ」
そう呟いた後は束が見たら鼻血を出しかねないくらいな哀愁と色香が漂う大人の女のものだった。
・・・・・・・・。
さて、俺は岐路に立たされている。寮長室から出た俺に向いた視線を『二つ』感じているんだよ。
まだ消灯まで三時間はあるから、時間取られるのは多分構わないにして、どちらを選ぼうか?
片方は、放課後に剣道場で関わった束さんの妹。また妙に絡む気かよ?
もう片方は?訓練場で感じた視線だな、邪気と言うには程遠いんだが、何か言いたいようで諦観が混じるのにはシンパシーを感じるぞ?
寮長室から出たとこを見計らっているって事は『姉』のいる場に入った事からして何か含むとこでもあるんかな?
とにかく、構図上でどの道?どちらかの近くを通過するから何かありそうだが、俺の選択は?
続く。
一夏は料理上手いのもお約束。