私、岩永琴子は不思議な少女と出会った。
妖怪、あやかし、幽霊、魔、そういった類いのモノの知恵の神として仲裁役を請け負っている私でも知らない未知の存在、それが麻生真奈美さんだ。
彼女はある種の霊媒体質というもので「こちら」の存在に気付いている数少ない人物であり私の後輩になる予定の女子高生だ。まず彼女を
麻生真奈美は霊媒体質である。
ただし、この言葉の意味は『憑依されやすい』『幽霊と語り合える』など。そういう意味合いは含まれていない。
霊媒体質とは彼女の稀有な能力についてだ。
彼女の能力は『話せる』『触れられる』『見える』の基本の他にもう一つ『攻撃できる』というものだ。それは、あの鋼人七瀬と渡り合えるほど優れており、私のように等価交換で得たものとは違う。
九郎先輩のように接収して得たものでもない。本当の霊能力というべきものだ。実に興味深い能力だと私は思っているが、如何せん能力に対するデメリットが大きすぎるのが難点だ。
私は『陣』と呼称される呪符を麻生真奈美から譲り受け、その効果や影響も鋼人七瀬とやり合ったときに把握している。
だが、どうしても引っ掛かるのだ。
私の調べた限り。麻生真奈美は普通の女子高生であり「こちら」の存在と戦っているという話を私は一度も見聞きしておらず、鋼人七瀬が現れると同時に彼女は能力を使い始めた。
それは与えられた能力を誇示するように。
しかし、私の予想に反して彼女は鋼人七瀬と戦うだけで妖怪や幽霊など「こちら」の存在に敵意を向けることなく普通に過ごしている。
「こうなると皆目検討も付きませんね」
ポツリと言葉をこぼす。
私の呟きに九郎先輩は一瞬だけ視線を向けてくるもまた瞑想し始める。鋼人七瀬と戦って以来、あの瞑想は日課のごとく続いている。
九郎先輩は麻生真奈美の『梵術』を見て盗んだ。それはとてもすごい事だ。私の記憶が正しければ麻生真奈美は『剄嚶』と呼ばれる技を使うだけで座り込むか、ふらついていた。
「九郎先輩、どうなんでしょうねアレは」
「麻生については俺は知らん。…けど、あいつの動きは鋼人七瀬と戦っているとき、すごい速さで成長していたのは何となく分かる」
「『しかし、普通の人間だ』…と?」
「ああ、少なくとも俺とは違う」
私は九郎先輩を疑うつもりはないけれど。麻生真奈美について、彼は個人的に理解しているような雰囲気を醸し出すときがある。
それに私はムカついているのだ。
とりあえず、私達と大学を受けるように催促してあげましょう。きっと彼女も喜ぶでしょうね。私や九郎先輩のような人が先輩になるわけですし。