「逃げるな、蓬ィーッ!!」
「いや、そりゃ逃げますよ!?」
ドタドタと河川敷と土手を走り抜ける。
クソ、なんであんな速いんだよ。もう追い付けない距離まで離された俺は渋々ながらアイツの待つジャンキラーに戻ることにした。………そういや、どうやって帰るんだ、あれ?
「……カニ獲るか」
アイツに借りたバケツを拾うと川原を動き回るカニを掴み、大きさと硬さを確かめながらバケツに放り込む。まだ知り合って一日しか経っていない女に養われるのは、わりとキツいかもしれない。
いや、普通にキツい。
俺は大人だ!
たとえ迷子の女だろうと衣食住を提供されようと自立する!そのためにも先ずは飯を食わねえとまた此処で倒れそうだ。
「ガウマ、流石に沢蟹は料理できないよ」
「な、なんでだ!?こいつらだって食えるぞ!」
「たしかにジャンキラーで料理は出来ると思うけど。それよりもさ、ガウマって昨日からずぅーっと同じ服着てるじゃない」
「それが、なんだよ」
「あの蓬って人…臭いから逃げたんじゃない?」
そ、そうだったのか!?
確かに人に会うときは清潔性は必要だ。
いくら命の恩人とはいえ臭いヤツに引っ付かれるのはイヤなはずだ。そうか、だからさっきは俺から逃げていたのか。
俺は彼女の言葉に納得すると同時にそこはかとなく彼女に距離を感じる。どうやら俺はマジで臭いらしい。また、こいつにジャンキラーのシャワールームを借りるか。
〈河川敷"水門前"〉
「おお、蓬じゃねえか!」
「………ども」
「なんだ、どうしたんだ?」
今朝と違って元気の無い蓬を見る。
今朝の蓬と話してた女を待ってるのかと聞けば一時間近く遅刻しているらしく、俺は恩返しのためにソイツを探すことにした。雨が降ってるのに蓬を待たせるなんて、どういうつもりだ!
って、あそこにいるのかよ!?
俺の家(になる予定)の橋の上に立っている女のところまで全力で走る。クソ、こっちは食べたばっかで脇腹が痛ってえぇのにっ。
「おい、お前っ!!」
「…今朝の…臭い人……?」
「い、今は臭くねぇ!それよりなんで蓬のところに行ってやらねえんだ!!アイツはまだ彼処で待ってるんだぞ、ずぶ濡れになってるのに!」
そんな俺の言葉を無視して帰ろうとする女の肩をつかみ、蓬のところに連れていこうとした瞬間、俺の後ろに蓬とアイツが現れた。
「怪獣の臭いがする、それも大きいやつ」
「クソ、怪獣を倒したら話続けるからな!?」
俺は怪獣を操るために怪獣を視界に捉える。しかし、いつものように怪獣のコントロールを掴めない。やっぱり、腹が減ってるからか?
いや、違う。
こっちだ、コイツが俺のッ!!
「何でも良いから来やがれ!」
あの人に託された龍の石像を取り出した次の瞬間、俺は狭苦しい場所にいた。これが、あの人に託された力の使い方ってことか。
『どうなってるんですかこれ!?』
「蓬!?と……さっきの女、あと誰だ?」
まあ、そんなのは後回しだ。
まずは暴れまわってる二体の怪獣を倒す!