藤丸立香の交流 -1-
俺の名前は藤丸立香、新米マスターだ。
今日はウルトラウーマンフォスキアこと菱木祐佳さんとシミュレーションルームに来ている。もちろん、特異点に向けてトレーニングするためだ。
ちなみにウルトラウーマンとして活動する傍ら、専業主もやっているフォスキアさんはカルデアでも食堂や洗濯室、さらには各職員(ほとんどの男性職員は土下座して断った)のルームの掃除も行っている。
エミヤや異世界おばさんも似たようなことをしているけど。フォスキアさんほどバブみを持っているサーヴァントはいないだろう。
むしろ、そんな人と出会ったら相乗効果でカルデアはバブみに包まれる。ロマンなんかは糖分控えめのケーキやお菓子を貰えると泣いて喜んでいたのを俺や所長は目撃している。
そろそろ三十代のおっさんがマジ泣きしていたのは、かなりドン引きしたのを覚えている。所長も「あれにはなりたくないわね」とつぶやき、早々に食堂を立ち去っていた。
「マスター君、まずはストレッチをしよう!」
「あ、そこは普通なんですね」
「しっかりと準備しないと怪我しちゃうからね。マシュちゃんやオルガマリーちゃん、他のみんなもマスター君が怪我したら心配するよ?」
「あーっ、それもそうか」
俺はフォスキアさんの言葉に納得する。
ゆっくりと時間を掛けてストレッチを終えるとフォスキアさんと向き合う。フォスキアさんはコレを組み手と言っているけど。ただの動作確認に思えるのは俺だけじゃないはずだ。
宇宙拳法の基本技を繰り返す。正拳突き、手刀打ち、前蹴り、回し蹴りなど空手を彷彿とさせる動きを繰り返しながらフォスキアさんを見る。
まず手足の動きが流麗すぎて真似するのが億劫になるほどウルトラやばいのは理解できる。もともとフォスキアさんはコスモスのような静の動きを得意とする人だ。そのため宇宙拳法の動きに一切の無駄がいない。
「あっ、そういえばマスター君に渡そうと思ってたやつがある!」
「え、なんですか?」
「はいこれ」
「………」
うん、これはあれだ。
俺は疲れているんだ。そうじゃなければフォスキアさんが変身アイテムを渡すはずがない。いや、渡してくれたら嬉しいとは思ったけど。
いきなり、こうなるのはあれじゃない?
「……えと?」
「ちょうどヒカリ先生のじっけ……作ってくれたアイテムがあるんだ。私に使ってほしいって言ってたんだけど、ベリアルが止めるんだよね、だからマスター君にプレゼント代わりにあげる」
ワーイ、ボクモウルトラマンダー。
いや、そんな素直に喜べないんだが?ヒカリ先生ってことは盗まれたとか奪われたとか騒ぎになるやつだよね?えっ、そんなの俺に渡そうとしてるの?
「エ、エミヤにあげよう、かな?」
「エミヤ君にはもうあげたよ?」
ああ、良かった、
俺だけじゃないんだ。
いや、良くないやつだ。