俺の同期には変わった女の子がいる。
師曰く「岩の呼吸の使い手はキテレツな武具を操り、鬼を滅する者が多く、また膂力と忍耐の強さは他流派と比べて逸脱している」と聞いているが、全く以てその通りだ。
彼女の振るう武具は三本の打刀だ。それも一振りずつ使い分ける訳ではなく両手で刀を一振りずつひ持ち、さらに刀を口で噛んで構える。
「三刀流"鬼斬り"ッ!!」
袈裟斬り、逆袈裟斬り、左薙ぎ、その三つの攻撃を同時に放とうなんて考えるやつは彼女のくらいだろう。しかし、しかしだ。どうして、彼女の周りには鎹鴉が多くいるのだろうか。
「(水の呼吸"壱の型"水面斬り…!)」
俺も負けじと迫り来る鬼の首を斬る。
たまたま彼女と俺の任務先が近かったことで合流したけど、正直に言えば全集中の呼吸を使っているのかさえ怪しい彼女と行動を一緒にするのはすごく怖い。というか、なんで三刀流なの?この前は一本だけで普通に戦ってたじゃん。
「虎狩りィ!!」
岩の呼吸の使い手の特性とも言える人並み外れた膂力で放たれた斬撃が鬼を三枚下ろしにする。あれを見せられる人の気持ちを考えろよと思いながら納刀する彼女を見つめる。
「村田君、そっちは終わりましたか?」
「え、ああ、うん、終わった。ところで、その、なんだ、お前の鎹鴉ってどいつなんだ?こんなにいると分からないんだけど」
そう問いかけると彼女の動きが止まった。
じーーっと鎹鴉を見つめながら「これかな?こっちかな?」と指を指したかと思えば「いや、もっと身体は細かったような…」と呟き、ピタッとまた動きを止めて俺を見てきた。
「村田君、私のカラスってどの子だろ…」
「いや、俺に聞かれても分からないぞ」
「でも、わかんないし…煮干しで呼べるかな?」
まあ、兎に角だ。
俺の同期には変わった女の子がいる。
「私のカラスなら頭に乗るはずです。さあ、私のところに来なさい」
一羽も彼女に近付かない。
それどころか彼女のことを黙って見つめている。なんだか、とても可哀想に思えてきた。だが、俺にはどうすることもできない。
「うぅ、オタクさんに頼ろう………」
しくしくと涙を流しながら歩き始めた彼女を見送りつつ、俺はあることに気がついた。彼女の鎹鴉、最初っから頭の上に座っているのだ。
あいつ戦うときは勇ましいが普段は抜けているのか。なんて考えながら頭の上で毛繕いしている鎹鴉とどちらが主人なのか全く分からない光景だと思った俺は悪くない。
「俺も次の任務に行かないと…」