とあるオタク女の受難(クロスオーバー編)。   作:SUN'S

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83スレ目

「そこまでだっ!!」

 

「漸く来たか、杏寿郎ォ!!」

 

煉獄杏寿郎はそう叫ぶと同時に下段から救い上げるように鬼を切り裂く炎の呼吸"弐の型"昇り炎天を放つ。だが、上弦の参───猗窩座は嬉々として煉獄杏寿郎の斬撃を片腕で受け止め、煉獄杏寿郎の胸部に拳を内側へ捻るように正拳を繰り出す。

 

「霜月、此方は俺が引き受ける。すまないが、あの六つ目の侍を任せたい!」

 

「それなら問題ないよ、煉獄君。あの鬼の目的は私みたいだから」

 

霜月楪は黒揚羽蝶の髪留めを外すとロロノア・ゾロのように手拭いを頭に巻き付け、また三振りの刀の一本を横向きに咥える。ザリッ、ザリッ、と草履の擦れる音がだんだんと近付いてくる。

 

大刀を佩いた六つ目の侍。

 

その鬼の厳格な相貌、六つ目の中段の左右の瞳に刻まれているのは上弦の壱という十二鬼月最強の証と相応の覇気を纏った出で立ちに霜月楪は武者震いしていた。

 

「………構えよ、三刀流……」

 

ずっしりとした声に霜月楪は身体を震わせる。

 

「づあぁぁっ!!」

 

鬼舞辻無惨を除けば彼こそ最強の鬼であると彼女は確信している。それ故に油断もなければ慢心もなく上弦の壱が動くよりも鋭く、そして素早く両手の刀を斜め十字に振るった。

 

しかし、上弦の壱に霜月楪の刀は届くことなく、大刀の鞘のみで斬撃を防がれていた。彼女は上弦の壱と自分の間に存在する圧倒的な技巧の差を感じながら顔を紅潮させて嬉しそうに刀は振るう。

 

「三刀流"牛針ィ"!!」

 

爆発的な踏み込みによって地面は陥没すると同時に無数の突きを放ちながら霜月楪が上弦の壱の背後まで通り抜ける。その素早さと突き技に「ほぅ…」と上弦の壱は感心するように息を漏らす。

 

「……今のは雷の呼吸を使ったか…中々に術技を練り上げているようだが、まだ荒削り………だが、こちらも抜かねば無作法というもの……」

 

すらりと引き抜かれた大刀。その刀身にはギョロリと無数の眼球が付いており、まるで脈動するかのように刀身に張り巡らされた線が動く。

 

霜月楪は異様な刀身に注視する。

 

おそらく血鬼術を警戒しているのだろう。その様子に上弦の壱は「私の血鬼術はコレではない」と告げたその時だった。

 

「…いざ」

 

彼は唐突に刀を横薙ぎに振るった。

 

すると上弦の壱と対峙していた霜月楪、その傍らで死闘を繰り広げていた猗窩座と煉獄杏寿郎に横一文字の斬撃が刻み付けられる寸前、三人は己の持ちうる最強の技で上弦の壱の斬撃を防いだ。

 

霜月楪は三・千・世・界によって斬撃を切り裂き、煉獄杏寿郎は炎の呼吸"奥義"煉獄を用いて斬撃を抉り裂き、猗窩座は滅式で斬撃を迎え撃った。

 

「貴様、どういうつもりだッッッ」

 

「……あの程度、避けろ…」

 

そう怒りを露にして食って掛かる猗窩座に上弦の壱は見向きもせず、霜月楪の放った三・千・世・界を興味深そうに観察していた。四百年と幾年月、彼女の様な三刀流の使い手もいなければ鉄の呼吸など存在していない。

 

彼の興味は新流派の剣技のみだ。

 

上弦の壱からすれば「血鬼術を用いるまでもないのではない」など口にすることこそ本当に有り得ない事だ。上弦の壱もまた霜月楪と同じく純粋に最強の剣士となるために剣術を極めようとしている。

 

「霜月、まだ戦えるな!!」

 

「戦えるに、決まってるでしょう…っ」

 

煉獄杏寿郎の問いかけに雑木林を出てきた霜月楪は素直に答える。だが、二人とも身体の数十ヶ所が裂け、骨には細かいのもあれば完全に折れ掛けている寸前の罅が入っている骨もある。

 

「杏寿郎、やはりお前は素晴らしいぞ!」

 

「……三刀流、よくぞ防いだ」

 

「ふぅ…煉獄君はそっちね」

 

「ああ、任せろッ!!」

 

四人はお互いに標的と見定めた相手に向かって駆け出す。霜月楪は上弦の壱と鍔迫り合いになりながら幾つもの三刀流の技を繰り出す。煉獄杏寿郎も同様に炎の呼吸にある九つの型を織り混ぜた連続技を放つ。

 

「炎の呼吸"壱の型"不知火!!」

 

「三刀流"鬼斬りィ"!!」

 

「破壊殺"乱式"っ!」

 

「……の呼吸……」

 

すべての技が一撃必殺と成りうる攻防の最中、霜月楪と煉獄杏寿郎は身体の位置を入れ換えて攻撃を繰り出した。

 

一刀流の動きになれていた猗窩座は突然の変則斬撃をまともに受け、斜め十字に胴体を切り裂かれ首は落ちかけている。上弦の壱は煉獄杏寿郎の唐竹割りを受け、大刀を見事に叩き折られた。

 

「………日の出だ、此度はこれまでだ」

 

「ああ、そうだな。杏寿郎、そして三刀流の女、次こそお前達を鬼にする。それまで負けるな、死ぬな、お前達を殺すのは俺だ!!」

 

そう叫ぶと猗窩座と上弦の壱は消えた。

 

「……引き分け、だね」

 

「…うむ」

 

霜月楪と煉獄杏寿郎は顔を見合わせ、ようやく休めると言いながら地面に座り込んだ。上弦の参、上弦の壱、どちらも討伐は失敗した。だが、生き残り、部下を守り、一般人を助けた。

 

とても素晴らしい光景だ。

 

〈頭の中の掲示板〉

 

832:名無しのオタク女

すごかったね、二人とも

 

833:名無しのオタク女

マジで感動したよ、鬼ころし隊ちゃん!

 

834:名無しのオタク女

煉獄さん、よかった!

 

835:名無しのオタク女

二人ともおつかれ!

 

836:名無しのオタク女

おつかれーっ!!

 

 

 

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