アイちゃん達、B小町との関係は良好だ。
元々B小町はアイちゃんを全面的に押し出していたところもあり、そういう部分で嫉妬されていたんだろうと私は推測している。だが、掲示板のみんながB小町の全員へメチャクチャに案件を送りつけ、そんな不満や不平を言う暇が無くなってきたのだ。
みんなはアイドルとして売れたい。と、そう思っているんだろうけど、私達の雇い主の斎藤壱護さん曰く「これからも芸能界で生き残るためにコネクションはいる。瀬戸みたいに謎の影響力を持っているのが、その良い例だ」と話す。
なるほど。アイちゃんだけでなく私もセンターに押し出すつもりなのかと納得し、それぞれ与えられた仕事現場に向かうB小町のメンバーと挨拶を交わして、私も仕事場に向かうバスに乗り込む。
「ミオちゃん、今回の現場って何するの?」
「斎藤さんも言ってたけど。私とアイちゃんはバラエティー番組の出演だよ。で、今日はお笑い芸人さんたちとスポーツ勝負するはず」
「スポーツ…」
「うん、スポーツだよ」
いまいち分かっていないアイちゃんのために番組でよく登場するスポーツについて教えながら、どうやるのかをゆっくりと教える。
〈頭の中の掲示板〉
1:ドルオタやるってよ
ふおおぉぉぉぉ!!!
ミオたんが芸人とサッカーやってるうぅ!!
2:名無しのオタク女
アイドルちゃん、楽しそうね
3:名無しのオタク女
ほんとねぇ
4:名無しのオタク女
誰が真達羅烈鉄流古武術教えたの?
5:名無しのオタク女
私だ
6:名無しのオタク女
だれよ
7:名無しのオタク女
秘密兵器
8:名無しのオタク女
あんたかよ
9:名無しのオタク女
じゃあ、アイちゃんが使えるのは?
10:名無しのオタク女
アイドルちゃんの影響だ
11:名無しのオタク女
うーん、環境汚染が進んでる
12:名無しのオタク女
そういや、あれどうなってるの?
13:名無しのオタク女
あれって?
14:名無しのオタク女
アニメの布教
15:名無しのオタク女
それならばっちりよ
向こうのネットはバトルものが少なくて
私達の総取りみたいになってるわ
16:名無しのオタク女
私達の布教した分は本家さまへ
17:名無しのオタク女
とても素晴らしいサイクルね
18:ドルオタやるってよ
それよりもミオたんの華麗なプレーを見ろ!
ミオたん、すんげぇシュート決めてるんだぞ!?
19:名無しのオタク女
うーん、このドルオタめ
20:名無しのオタク女
私達の誰よりも世界に馴染んでるわよね
〈アイドルです:LIVEモード中〉
私とアイちゃんはサッカー(どちらかと言えばかけっこ)をやっている。芸人さんが蹴ったボールを受け止め、そのままアイちゃんにパスをする。
「アイちゃん、今だよ蹴って!」
「うん!」
スカッとボールに当たることなく空ぶったかと思えば踵でボールを蹴り飛ばした。アイドルって、ああいうのも出来るんだと驚きながら私のところに戻ってきたボールをまたアイちゃんに蹴り返す。
なぜか戻ってくる。
「アイちゃん、私にじゃなくてゴールに…」
「え、あ、そっか!」
私の言葉にようやく理解してくれたアイちゃんは思いっきりボールを蹴った。ほんの一瞬だけ虎が見えたけど、ただの錯覚だろう。