最近、経営の調子が良すぎるほどスゴい。
自分で言うのもあれだが俺の経営する苺プロダクションは弱小事務所だ。ようやくアイドルグループが売れてきた時に売り込まれた瀬戸ミオという無名のアイドルを引き入れるのは些か抵抗もあった。
だが、彼女をスカウトしたプロデューサーの目利きは正しかった。瀬戸ミオはうちのアイと互角以上に張り合える逸材だ。ほんとにアイツの「こんな地下で終わっていい存在じゃない」と言った通りだ。
瀬戸ミオの周りには必ずと言っていい。
つねに稼ぎのチャンスが転がっている。元々アイを贔屓していたことに不満を持っていたB小町のメンバーも嫌がらせする時間さえ無いほど沢山の番組に招待され、かなりの成果と結果を残している。
そのおかげなのか。
俺の手腕までテレビに取り上げられるようになった。やれ天才だとかやれ鬼才だとか書き込んで囃し立てる連中もいるくらいだ。そういうのはアイドルたちに言えよと愚痴をこぼす。
いや、嬉しくて愚痴をこぼしているのだ。
きっと、あいつを引き入れたのは運命だ。あと少し遅かったら完全に壊れていたグループを立て直し、みんなが輝ける場所を持ってきてくれた。
このまま行けばドームも夢じゃない。
そう確信みたいなものを感じる。
「壱護さん、ちょっと」
「どうかしたのか?」
「実はアイから、これが…」
「なんだ、メールか?あいつにしては珍しく畏まった書き方だが………うそだろ」
しかし、神様ってやつは理不尽だ。
検査キットを片手に満面の笑みを浮かべたアイと、どこか憂いを帯びた表情のままアイに寄り添っているミオの付属写真に俺は泣きたくなった。
俺は彼氏を作るなとは言わねえけど。せめて、義理とはいえ親の俺かミヤコには相談ぐらいしてくれてもいいじゃねえか。
ミオなんて死にそうになってるじゃねえか。どうすんだよ、いつも親友とか語り合ってたやつが妊娠しましたって報告してきたせいで可笑しくなってるじゃねえかよ。
このままアイドルやめたりしないよな?
そんなことを考えているとミヤコがスッと手帳らしきものを差し出してきた。んっ、んんんんんっ、こっちもだったかぁ………。
「いきなり子供と孫のダブルパンチか」
「あら、嬉しくない?」
「チョー嬉しいに決まってんだろうが」
こうなりゃ自棄だ。
なにがなんでもアイ達をドームに連れていく。そんでもってミヤコもアイの子供も不自由なく暮らせるぐらい稼いで稼いで稼ぎまくって幸せにしてやる。
「待ってろ、俺の子供と孫っ!!」