アイちゃんの子供は少しだけ変わっている。
まだ、一歳になったばかりなのに流暢に言葉を喋っているのは「私の遺伝だよね、すごいでしょ?」と自信満々にドヤるのでそういうものだと私は勝手に納得している。
それにしても
「ねえ、君はどう思う?愛久愛海」
「とりあえず、フルはやめてほしい」
なんか切実だね。と、私はアイちゃんの演技を愛久愛海と一緒に眺めているとアイちゃんだけが異様に注目を集めているのが素人ながらも理解できた。
ああ、これは不味いやつだ。
私は監督のカットの言葉を聞いて直ぐにアイちゃんのところに向かう。キョトンとしているアイちゃんもかわいい。タオルと飲み物を渡して、みんながいないところへ誘導する。
「なになに、どうしたの」
「アイちゃん、このままだとアイちゃんのシーンが減らされるかもしれない」
「え、なんで?」
「上手すぎるんだよ、アイちゃんの演技が。さっきのシーンも主役の女の子より目立ってたし、ちょっとだけカメラを虜にするの抑えられる?」
私の問い掛けにアイちゃんは笑って答える。
〈頭の中の掲示板〉
700:名無しのオタク女
アイちゃんのドラマ良かった
701:名無しのオタク女
ほんとにすごかった
702:名無しのオタク女
たぶん、抑えてるんだろうけど。それでも主役の女の子を押し退けて光ってた。あれが本物のアイドルなんだと実感したよ、私
703:名無しのオタク女
ほんとにそうなんだよ
アイちゃんさいこーっ!
704:名無しのオタク女
そして、なぜか登場するミオたん
705:ドルオタやるってよ
あの鬱ってる顔もいい
706:名無しのオタク女
あんた、ほんとになんでもありよね
707:名無しのオタク女
そういうところよ、ほんとに
708:名無しのオタク女
旦那に逃げられそう
709:ドルオタやるってよ
逃がさねえよ!!
710:名無しのオタク女
そっちなの?
711:名無しのオタク女
こいつの怒るやつが未だに分からない
712:名無しのオタク女
それより愛久愛海くんと瑠美衣ちゃんの話を教えてほしい。あの早熟すぎる愛久愛海くんの反応がマジで面白いからさ
713:名無しのオタク女
それは同意する
あの愛久愛海くんの低姿勢さがね
714:名無しのオタク女
すんごい見覚えあるのよね
715:名無しのオタク女
疲れはてたサラリーマン
716:名無しのオタク女
あれ、どうなってるんだろうね
717:名無しのオタク女
私達と同じには見えないし、たぶん私達の誰かが影響してるのは間違いないんだけど。何かしたって記憶のある人は教えてよ
718:ドルオタやるってよ
私はライダーの知り合いにガジェット貰ったから、そのままプレゼントした
719:名無しのオタク女
いや、なにやってんだよ!?
720:名無しのオタク女
私は魔法少女になれるアイテムを
721:名無しのオタク女
お母さん!?
722:名無しのオタク女
私は擬似的にライダーになれるベルトを
723:名無しのオタク女
マザーもなの!?
724:名無しのオタク女
じゃあ、私は普通だな。私はアイちゃんたちに家政婦代わりに僧侶ガンタンクを贈っただけだし、なにも危ないものは渡してない
725:名無しのオタク女
どいつもこいつも世界観壊しまくりじゃねえか!
726:名無しのオタク女
さっきから騒がしいわね
なにがあったの?
727:名無しのオタク女
秘密兵器さん、アイちゃんにプレゼント贈ったりとかしてます?
728:名無しのオタク女
えぇ、してるわよ?
この前はアイドル衣装を贈ったけど、どうして?
729:名無しのオタク女
良かった、ふつうだ
730:名無しのオタク女
これよ、これ
731:名無しのオタク女
ふつうは衣装とかよね
732:名無しのオタク女
なんだよ、変身アイテムって
733:名無しのオタク女
アイドルは最初から魔法少女だし
734:名無しのオタク女
ねぇ、ほんとになにがあったの?
735:名無しのオタク女
さあ、私は知らない
736:名無しのオタク女
私はほしいけどな、魔法少女になれるやつ
737:名無しのオタク女
………私もほしい
738:アイドルです
また、なにかやってたんですか?
739:名無しのオタク女
ただのプレゼントの話よ