私には尊敬する人が二人いる。
一人は死ぬはずだった小さな私を救ってくれた救世主。もう一人はリコリスの先輩の南居だ。この二人のおかげが小さかった頃の私を支えてくれた。
自分も相手も死なせない。それがDA内部で異端視されているのは分かっていた。それでも救世主のように命を救おうと努力したけど。私はファーストなのに人を殺せないから、いつも一人だった。
あの電波塔事件の時も「テロリストを殺せ」と命令されていた。もしかしたら南居が殺さずを了承してくれなかったら私は処分される可能性もある。
「千束、あの人はファーストだったんですか?」
「ファーストだよ。それもとびっきり最強のファースト、あの人に勝てるのやつはいない。私の弾丸避け、元々は南居の真似だから」
「………それ本当ですか?」
そう問い掛けてきた今の相棒の井ノ上たきなの言葉に素直に思ったことを答える。たきなは怪しんでいるけど、私の言葉は事実だ。
まあ、さすがに全部じゃないけど。
射撃に関して南居の真似をやっているのは本当のことだし、一撃で気絶させるのも南居のやり方を先生と楠木司令に頼んで教えてもらった。
「………」
「たきな、ダメだよ?」
「まだ、なにも言ってません」
「それくらい分かるよ。南居に頼んで本部に戻りたい?それともテクニックを教えてもらいたい?どっちも絶対にダメだからね」
「なぜ、それを千束が決めるんですか?」
ムッとするたきなの傍に近寄る。いきなりのことに驚いている彼女に、ゆっくりと手を伸ばして優しく頬を撫でながら諭すように話す。
「組織や国に忠誠誓って何になる。人生楽しみなさい。これね、私が南居に言われた言葉だよ。あの人は楠木司令だけに従って、彼女の負担を少しでも減らそうと戦って戦って戦い抜いた…もう休ませてあげて」
「……はい…」
「まあ、南居だったら勝手に教えてくれるかもしれないし。そのときは好きなだけ聞いて、一人でも助けられるようになろう!」
「…なんですかそれ。まあいいですけど、千束の言いたいことは分かりました。もしも機会があれば南居さんに教えてもらいます」
たきなは私の言葉に呆れているけど。さっきのように南居に頼もうという雰囲気はない。それにしても、ほんとに南居が帰ってきてくれたんだ。
さすがに制服じゃないけど。ソフト帽とスーツ、少しだけ目元が隠れているのがかっこいい。よく見たら先生にお土産を渡している。
もしかしたら私にもあるのかな?
「千束、お前にプレゼントだそうだ」
「ほんと!!」
そう先生に言われてカウンターに駆け寄る。なにをくれるのかな?どんなプレゼントかな?とワクワクしながらプレゼントを受け取る。
ゆっくりとプレゼントの入った箱を開ける。
小さな羽根のついた耳飾り。いいのかな、こんなステキなやつ貰ってもなんて考えているとミズキが小声で「意味は『あなたを見守っています』らしいわよ」と教えてくれた。
「ありがとう、南居!」
ずーっと大切にするね。