俺の名前は星野愛久愛海、星野アイの息子だ。
ほんの数年前に許嫁(仮)と宇宙人の義母(仮)になるかもしれない人達と出会った。まだ、あの時の出来事を夢だと信じたい俺の部屋には彼女の置いていったガンタンクがいる。
そして、あの時は幸運にも眠っていた妹の星野瑠美衣は「お兄ちゃんだけズルい」とか「私も宇宙人に会いたかった」なんて言っているが、いきなり許嫁の出来た俺に少しだけ同情していた。
「お兄ちゃん、ちょっと来てぇ~っ!!」
「なんだよ、まだ本読みたいのに」
そう文句を言いながら後ろに振り返る。
可愛いフリルつきのスカート、大きな紅玉石のブローチのついたジャケットの様な上着、そしてキラキラと光っている魔法少女のステッキを握ったルビー、そんなルビーを真顔のままスマホで連写するアイとミオがいた。
おれ、つかれてるのかな?
そんなことを考えながら「魔法少女ルビー」という子供向けアニメに付きそうなタイトルを思い浮かべているとステッキと一緒に入っていたカードが風に巻き込まれて飛んでいってしまった。
「あ、そういえばウルトラさんが『ステッキとカードは離れたら危ないから無くさないでね』って言ってたような、言ってなかったような………」
「ほえぇ…そんなことできるんだ」
うーん。と唸りながら考え込んでいるアイとステッキに説明を受けているルビー。俺はガンタンクに持ってきてもらったジュースを飲みつつ、あのカードを回収しないといけなくなったことを悲しむ。
さらば、俺の平穏な日々よ。
〈二週間後〉
「お兄ちゃん、そっちに行ったよ!」
「う、うおおぉぉぉっ!!!」
俺とルビー、アイは真夜中になると飛び散ってしまったカードを回収するために頑張っている。現在、ルビーの使えるカードは〈風〉と〈跳〉と〈花〉の三つだ。つまり、それをルビーが使うまで俺は囮をするしかないのだ。
なによりもアイに囮なんて真似をさせるわけにはいかない。ましてやルビーだけで回収するなんて絶対にやらせちゃいけない。
俺はタコのカンドロイドの群れに乗りながら地面を突き抜け、蛇口やマンホールから噴き出してきた大量の〈波〉から逃げる。
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ、契約のもと、ルビーが命じる。
その呪文と共に吹き荒れる風が俺の後ろに迫り来ていた〈波〉を吹き飛ばす。よ、よかった、あと少しで飲み込まれるところだった。
クルクルとステッキを回転させながら俺の後ろに立ったルビーはステッキを構える。
「汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」
ようやく終わった。
さすがに下水道を流れていた水に浸かるわけにもいかず、俺達はカンドロイドに運ばれながらアイのところに帰る。
もう、こういうのはやりたくねぇ…。
魔法少女ルビーちゃん、いきなり活躍回です!