俺の妹のルビーはアイドルを目指している。
かつてアイの所属していたB小町の布教も兼ねた新生B小町による仕事なのだが、どうしてもメンバーが揃わないのだ。有馬かなは休日に遊ぶことで了承は得ているものの、あと二人ほどメンバーはほしい。
「…これだけは使いたくなかった」
ウルトラさんの娘の連絡先の書かれた紙を見ながら俺はスマホを操作し、ゆっくりとスマホを耳に添えて挨拶しようとした次の瞬間、いきなり目の前に女の子が現れた。
突然の出来事に涙を流す。
もう、やだ。
なんで、いつも俺の周りにやって来る女の子は不思議ちゃんかメンヘラばっかりなんだ。もっと優しくてかわいい女の子がほしいよ。
「…あくあ…?…」
「え、あ、はい。そうです、俺がアクアです」
「……そう…」
………………えっ、なにこれ?
すごい気まずいんだけど。なに?ウルトラさんって俺のことどういう感じで伝えてるの?なんて考え込んでいると女の子が動いた。
「…菱木理子…まあ、よろしく……」
「あ、ああ、よろしく」
この子は無口なのか?と思っているとルビーと有馬かなが事務所に帰ってきた。とりあえず、彼女を紹介しようとした瞬間、俺の頬を何かが掠った。
ゆっくりと後ろに振り返る。
ハサミとドライバーが事務所の壁に突き刺さっていた。俺は恐る恐る視線を戻しながらふたりの誤解を解く言葉を考える。
「アクア、もう浮気かしら?」
「
「ち、ちがう!これは浮気じゃなくてスカウトしてきた女の子を紹介しようとしただけだ!!断じて、断じて浮気とかじゃないぞ!?」
いや、普通に怖すぎる。お兄ちゃんとして真摯にルビーとは向き合ってきたし、有馬かなとだって演技を通じて分かり合えていたはずだ。
「もぉ~っ、そういうことなら早く言ってよね!私は星野瑠美衣って言います、よろしく!」
「有馬かなよ。まあ、よろしく」
「…菱木理子…アクアの
彼女は両手で頬を押さえると、わざとらしく照れたようにポッと顔を赤くさせる。理子の突然の告白に二人の動きが止まり、ギギギッと壊れた玩具のような動きで俺を見てくる。
「…チガイマス………」
「…んっ…これが証拠…」
そう言うと理子は婚姻届を見せた。
いや、えっ、なんでそうなるの?
さっき会ったばっかりだよね?と思いつつ、俺は無表情ながらも勝ち誇った顔なのが分かる立ち振舞いをする理子から婚姻届を奪い取り、とりあえず復元可能なぐらい破いた。