どす黒いオーラを放出する男二人とぽわぽわしているウルトさん。あとなんかよく分からない女の子が二人ほど俺の前にいる。
「まさか俺様の娘をたぶらかすだけでなく、幼馴染み、知り合い、果てには妹まで毒牙にかけるハレンチクソ野郎だとは思わなかったぞ」
いや、それ全部デタラメです。
そう言えたらどれだけ良かっただろう。彼らの後ろで照れまくっているルビーたちに何とかしてくれ!と願いつつ、俺に差し出された婚姻届と誓約書、あと謎の道具について聞きたい。
「不本意。不満。不愉快。不快。星野愛久愛海、俺様はお前に負の感情しか持ち合わせていない。そこでだ、俺様が盗ん………借りてきた道具を使い、俺様か我が息子のどちらかと戦え」
今、盗んだって言い掛けてなかったか?等と思いながら四人の期待に満ちた八つの瞳と「どっちを選ぶんだ」という視線に挟まれて苦しい。
アイとミオさんは「がんばれ!」と応援してくれるが、ほとんど逆効果になっているじゃないかと思えてくるほど二人の目と表情はワクワクに溢れて助けてくれる様子もない。
ホントに俺はどうすればいいんだ。
ゆっくりと道具を持つ。
ふと横を見れば理子がいたのでどうやって使うのかを聞く。まず、これは仮称ライザーというウルトラマンのフォームチェンジを手助けするアイテムだそうだ。
「理子、頼めるか?」
「…うん…いいよ……」
ゆっくりと理子が俺の身体と一体化する。
ウルトラマンコスモス!
ウルトラマンアグル!
ウルトラマンヒカリ!
ウルトラマン達のメダルをセットし、ゆっくりと拳を突き上げる。なんとなくこうやるというのが頭の中に流れ込んでくる。
「紺碧の空、俺の海だ!」
俺の身体はウルトラマンになった。
〈宇宙〉
「俺様の目の前で娘と融合する度胸は認めてやろう。だが、貴様の息の根は確実に止める。………さあ、掛かってこい」
「父さん、まずは僕が相手するよ」
後ろに振り返ると漆黒のウルトラマンと目付きの悪いウルトラマン、女性的なフォルムのウルトラマン、小さなバリアに守られたアイ達がいる。
前世も含めてケンカなんてしたことのない。それなのに身体が当たり前のように最適化された構えを取り、目付きの悪いウルトラマンに拳を向ける。
「それは宇宙拳法の構え…!」
えっ、そんなのあるの?
「理子が選ぶだけの実力はあるわけか。なら、こっちも本気で相手しないと失礼だね」
目付きの悪いウルトラマンの右の突きを受け流す。………あれ?なんか身体の主導権思いっきり理子に奪われてるんじゃないこれ?
いや、いやいやいや、そんなわけ…あ、だめだ。
「う、うおぉおぉ!!!」
「なっ、いきなり動きが速く!?」
誰か止めてくれ!!なんか理子に身体を操られて俺が戦っているように見せながら戦ってるんだ。ちょ、そんなに腕の稼働域は広くねえから!?
「レッキングバァァストォォッ!!!」
「『宇宙忍法"秘伝"極星光波手裏剣』」
俺の右手に極大化された光の手裏剣が現れ、目付きの悪いウルトラマンの光線を切り裂いた。理子、お前は忍者だったのか。
「それがお前の答えか」
目付きの悪いウルトラマンを抱き抱えた漆黒のウルトラマンの問いかけにうなずき、俺は平穏に暮らしたいのだと意思を示す。
「その男と結婚するのは認める。だが、もしも約束を違えることがあれば支配しろ。そいつが二度と逆らおうと思わぬほど縛り付け、お前のモノだと教え込む事だ。たとえ作り物だろうとそれはもうお前の意思だ、好きなように生きろ」
そう理子に告げると漆黒のウルトラマンは目付きの悪いウルトラマンを連れて消えた。いや、どこかに飛んでいったのだろう。
とりあえず、ご挨拶は終わったわけか。