とあるオタク女の受難(クロスオーバー編)。   作:SUN'S

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星野瑠美衣の独白 -3-

「変身」

 

そう言うとお兄ちゃん(せんせ)…もとい『仮面ライダー電王』は変身する。数々のドラマに出演してきたお兄ちゃん(せんせ)の初の主役だ。色んなキャラクターに成りきる必要もある難しい役だけど、もう中学生になったお兄ちゃん(せんせ)は簡単にこなしてしまう。

 

時間を遡って世界を破壊しようとする『イマジン』と一緒に戦うストーリーは子供受けが良く、バズりまくっているのは事実だ。まあ、そのせいでお兄ちゃん(せんせ)は過労だけど。

 

「行くぜ行くぜ行くぜェ!!」

 

お兄ちゃん(せんせ)は野蛮で不良っぽい性格になって敵対している『イマジン』と殴り合う。まあ、殺陣なんだろうけど。お兄ちゃん(せんせ)の迫真の演技ゆえにスゴい熱が戦闘シーンに籠っている。

 

正直、ワイルドなお兄ちゃん(せんせ)もかっこいい。

 

いつもの優しいお兄ちゃん(せんせ)も好きだけど。ああいうワイルドで強引なところも見てみたいし、にやりと悪巧みしている表情にキュンと来てしまったのは私だけじゃないと思う。

 

ただ、有馬かなと共演するなんて聞いていない。アイドルになりたい私は、しっかりとしたメンバーを得るまでレッスンや下積みも出来ない。私も女優に……ううん、そんな二番煎じはいやだ。

 

「『オレの必殺技パート3』」

 

そのセリフと一緒にお兄ちゃん(せんせ)は駆け出す。

 

なぜかスタントマンも兼任しているお兄ちゃん(せんせ)の動きは速くて追いきれない時もある。そういう風に描写しているのは理解してるけど、もっと生身のお兄ちゃん(せんせ)の活躍が見たい。

 

〈行ってみよ!有馬かなの"○○"体験〉

 

私とお兄ちゃん(せんせ)は有馬かながパーソナリティーを務める体験記番組(分かりやすく言えば職場体験みたいなやつ)を見ている。今日は『ドルオタ農家』という野菜の収穫体験だそうだ。

 

『うわっ、なにこれデカいっ!?』

 

『おう。すごいだろ?やばいだろ?画期的だろ?ここにある作業道具や収穫ロボットは全部、私の旦那が作ったヤツだ。んで、かなたんにやってもらう作業って言うのはコレだ』

 

『べ、べると?いや、ハンドル?』

 

そう言うとドルオタさんはハンドル付き道具?なのかも分からない謎の道具を持たさせれる。ちょっぴり不憫に思えてきた。なんか、いっつもヘンテコなところに職場体験に行っている。

 

あれよあれよと謎の道具をくっ付けられた有馬かなはドルオタさんに耳打ちされ、すごいビックリしたような顔をしてすぐに笑顔になった。

 

スパイダー!

 

冷蔵庫!

 

『よし、これで……変っ身!』

 

冷却のトラップマスター!スパイダークーラー!

 

いきなり有馬かなが仮面ライダーになった。

 

「は?なにあれ、ずるい」

 

そこまでお兄ちゃん(せんせ)と同じとかズルい。そんなことを考えていると蜘蛛の糸を駆使して野菜を引っこ抜き、瞬時に冷凍保存してしまう『スパイダークーラー』のスゴさに、私は更に驚愕した。

 

『ふおぉおぉぉぉ!!流石はかなたん、もうビルドドライバーを使いこなしてる!!もう、まじでサイコー!!』

 

有馬かな最推しの団扇を振り回すドルオタさんの乱れっぷりを普通に放送している。というか、この人の最推しってミオたんじゃなかったっけ?と思いながら見ているとお兄ちゃん(せんせ)が「あの人の事は深く考えるな」と言うのでそうする。

 

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