私は音撃道という和楽器を使用する妖怪退治の技法を学んでいる。というよりも麻生真奈美の部屋に置かれていた『音撃道 ~鬼と呼ばれた男~』というタイトルのついたDVDを観ている。
『ハアァァァッ……タァ!!』
紫炎を纏って妖怪変化を行う男性『ヒビキ』の戦闘はかっこいいモノだった。もしも彼の弟子になれば九郎先輩はあの様な姿になるのだろうか。
「岩永先輩、また勝手に漁ったんですか?」
「これ前回の続きですよ!?そりゃあ見るに決まってるじゃないですか。ああ、それとコーラよりペプシを貰えますか?」
「アレ先輩だったんすね」
「えぇ、もはや私の冷蔵庫の様なものですから。ついでに夕食については出前というものを頼みます。いやはや、九郎先輩や両親に止められていたので、とても楽しみです」
「ちなみに何を?」
「メガマックス盛りピザというものを」
「………バカなんすか?」
なぜ、私は罵倒されるのだろうかと考えながらヒビキさんの戦闘を見続ける。私も音撃道をやってみたいという気持ちはありますが、あのハードトレーニングをこなせるかと聞かれれば無理としか言えない。
ですが、私のために後輩の真奈美さんは音撃道に用いる道具を作ってくれました。さすがに彼らのように大きすぎるものは使えませんけど。
それ故に私の使う予定の音撃道具は『鈴』だ。
巫女と言えば神楽鈴なので納得している。が、彼女の話では数百年前にも音撃鈴という道具を使っていた鬼は実在していたらしく、現在はその鬼のことを知っている人のほうが少ないそうだ。
「真奈美さん、こちらのディスクは?」
「ああ、それは桜川先輩の追跡に使っているヤツですよ。流石に連日連夜もうちに来られるのは困るので突き止めておきました」
「流石は私の後輩ですね!」
早速、九郎先輩のところに向かわなければっ!
〈屋久島"森林"〉
まさか本当に九郎先輩が鬼の修行をやっているとは思っていませんでした。しかし、あの巌のような赤髪の男性と一緒に大太鼓を打ち鳴らす九郎先輩はかっこいいですね。
それにしても九郎先輩のために作った差し入れのお弁当を渡すタイミングが一向に訪れない。そんなことを考えていると、いきなり目の前に綺麗なお姉さんが唐突に現れた。
「はじめして、貴女は誰かしら?」
「こ、これは失礼しました。私は岩永琴子、あちらにいる桜川九郎先輩の恋人で将来の約束を交わしている者です。こちらはつまらないものですが…」
「あらあら、まあまあ、貴女が桜川君の彼女さん!ちっちゃくて可愛い女の子だっていうのは聞いていたけど。本当にかわいいわね」
も、もう、九郎先輩ったら私の居ないところで、そんなこと言ってるんですか?そういうのはハッキリと私に言ってもらえると嬉しいんですが、今日は勘弁してあげましょう。
「それじゃあ改めて、私は風鳴叶です。あっちにいる赤髪の人の奥さんだから桜川君と困ったことがあれば遠慮なく相談してね」
これは間違いない、彼女はいい人だ。