《 決闘終了ぉぉぉおおお!! ジャック・アトラス! 王者は未だ健在だぁ! 第二回KRGP決着ッッ! 王座死守成功ぉぉおおおお!! 》
「いやぁ、まさか決勝で新しいカード使うとはなぁ」
「やっぱキングだよなぁ。 誰が勝てんのって感じ」
「俺会場で見たぜ」
「マジかよ!? いいなぁ〜」
街灯ビジョンに流れるニュースを眺めながら若者らが語らう。
カフェには人が溢れ、その多くがその映像を見ながら満足そうにカップを傾けていた。
《キングのデュエルはエンターテイィメントでなければならない。だが、観衆を心から熱狂させるデュエルは強敵の存在無くして有り得ない。 今大会の参加者は、皆がその資格を十分に有していた》
《決勝戦の対戦相手、 ショーン・レイノルズ選手はいかがでしたか》
《紛れもない強敵だった。 奴とのデュエル中、 敗北を意識した瞬間は一度ではない》
「なんか最近のキングいいよね。 前はひたすらゴーマンって感じだったけど」
「おれは前のキングも好きだけどな、 最近はなんか丸いっつうか」
「それがいいんじゃない。 あー、 あたしキングのレースチーム応募しようかなぁ」
「ジャックは女作んねぇって公言してるから無駄だぞ」
「えー!」
そんな若者の会話を背に、帽子を目深に被った男が席を立つ。
店員に手振りで会計を求めると、 長身の男はキャッシュを置いて店を後にした。
机の上の注文伝票には" 1 3000 "とだけ書かれている。
ジャックがネオドミノシティに帰って来たのは昨夜の事だった。
目立ちすぎるDーホイールをチームが用意したホテルに置いたまま、 彼はかつての古巣を眺めて歩く。
ここを発ってから、あのデュエルの日から、皆と共に旅立ったあの日から五年の歳月が経過していた。
それぞれの夢と想いを胸に、それぞれの道を進む仲間たち。キングとしてデュエルのみならず日々活躍するジャックだが、他の仲間と比べると特に疎遠で、龍可からはよく 「遊星や龍亜もだけど、もうちょっと連絡ちょうだいよ! 少しはクロウを見習ってよね!」などと窘めらることもしばしば。遊星の場合は仕事が忙しく、ジャックと龍亜は単に筆不精なだけだが。
尤も、日々送られる各種報道においてジャックの顔を見ない日は少なく、彼が健在であることは彼自身が知らせるまでもない事ではあった。
元チームメイトのクロウなどは、よくかつての素行や私生活をネタにするので、以前テレビロケ中に大喧嘩する醜態をお茶の間にお届けした事もあった。
それでも、孤高を貫くジャックの私生活は多くの他人がそうであるように謎に包まれている。
こうしてネオドミノシティを訪れている事も、かつて仲間はおろか現在の所属事務所にすら伝えていない。
久しぶりの帰郷。 にも関わらずジャックは誰にも告げずにここに来ていた。
明確な目的があった。
その為にも、できるだけ誰にも悟られたくなかったのだ。
複数の団体で王座に就き、 その王座も防衛し、 今なら世界一のキングとして胸を張れる。
やっとこの手に迎えられる。
待っていて、くれるだろうか。
(カーリー)