ワンピース世界でもアイテムボックスはチート   作:布施鉱平

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なんか思いついたので書いてしまった。
色々連載してるのに……


SSランクの悪魔の実

 オレの名前は浜田英二。

 

 日本人だ。

 

 その日もオレは、趣味であり毎日の日課でもあるゲームをするべく、PS9を起動させた。

 

 プレイするのはかつて国民的な人気を誇った少年漫画『ワンピース』の世界を背景とする、オープンワールドVRMMO『ONE PIECE EVER WORLD ~まだ見ぬ海を求めて~』だ。

 

 このONE PIECE EVER WORLD……長いのでワンピEWと略すが、ワンピEWは広大なマップとVRならではの没入感、そして原作には登場しなかった様々な悪魔の実が手に入ることで人気を博していた。

 

 手に入る悪魔の実はSS、S、A、B、Cの五段階で、B~Cランクの実に関しては『人造悪魔の実』という設定なので同じ能力の実が複数用意されている。

 

 しかしAランク以降のレアな実は、原作同様『世界に一つ』しか存在しておらず、能力が重複することはない。

 

 そして当然最高ランクであるSSの実は最も手に入りにくく、今のところ確認されているのはなんと3つだけ。

 

 発売されてからすでに1年が経過し、全世界でプレイしている人数が100万人を越えるというのにその数だ。

 どれだけ希少なのか、容易に想像がつくだろう。

 

 かく言うオレも、発売当初から毎日最低8時間はプレイしているというのに、今だAランク以上の実を手に入れたことはない。

 

 原作と同じように、一度悪魔の実を食べてしまうと他の悪魔の実は食べられない仕様なので、下手に低ランクの悪魔の実を食べるわけには行かないのだ。

 

 まあ、別に悪魔の実を食べなくても覇気や六式で強くなれるし、能力者になると海に落ちるだけで死亡扱いになってしまうため、別に食べなくてもいいっちゃあいいのだが、やはり特殊能力には浪漫を感じてしまうのが人間というもの。

 

 オレはいつものようにゲームを起動させて仮想空間にダイブし、自らのアバターである『ハマー・D・エッジ』に入り込んだ。

 

 アバター作成時には魚人やミンク族なども選ぶ事が出来るのだが、エッジは普通の人間種で性別は男。

 身長は190㎝、外見は銀髪で垂れ目、物憂げな優男といった感じだ。

 

 並々ならぬ厨二感を感じるが、流石にオッドアイにまではしないよう自重した。

 

 取得している技能は武装色レベル2、見聞色レベル3、六式の剃、月歩、紙絵、嵐脚である。

 攻撃や防御よりは、素早さや回避に重点を置いたビルドだ。

 

 ちなみに覇王色はPVP大会で上位入賞すると取得可能になるのだが、オレはそこまでプレイヤースキルが高くないので持っていない。

 

 さて、そんなエッジに入り込んだオレは、今日も今日とて悪魔の実を探して広大な海を彷徨っていた。

 

 悪魔の実を手に入れるためにはいくつかの手段があり……

 

 1・総合懸賞金一億ベリー以上のNPC海賊団を倒す。

 

 2・沈没している船をサルベージして宝箱を開ける。

 

 3・商船を襲って宝物を強奪する。

 

 4・ランダム生成でどこかの島に生ってる。

 

 この四つの内のどれかだ。

 

 オレがマラソンするのは1と2。

 

 3をやると自身の懸賞金額が上がり、賞金稼ぎプレイヤーや海軍プレイヤーに狙われやすくなるのでやらない。

 

 そして4はマップが広すぎるため、狙ってやるというよりは偶然見つけたらラッキーくらいに考えている。

 

 NPC海賊や沈没船を探し、新世界の海をうろうろすること約3時間。

 

 3つの沈没船を見つけ、2つの億越えNPC海賊団を潰したが、見つかった悪魔の実はゼロ。

 

 今日はどうも調子が悪いようだ。

 

 船内の物資が少なくなってきたので、肉や果物を手に入れるべく近くの適当な島に船を着ける。

 物資補給用にいくつも用意されている、名も無き島のひとつだ。

 

 上陸したオレは、動物を狩ったり果物を採取したりしながら島の奥に進んでいたのだが────あるものを目にして、思わず「うぉおおおおおっ!」と声を上げた。

 

 それも仕方の無いことだろう。

 

 なにせ、目の前には明らかに『悪魔の実』と思わしき果物が生った木がそびえ立っているのだから。

 

「まじか、まじか」となんども独り言を繰り返しながら、オレはその実を手に取る。

 

 そして、息を飲んだ。

 

 心臓が止まったかと思った。

 

 その悪魔の実を調べたとき、こう表示されたからだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 ◇悪魔の実◇

 

 ランク:SS

 

 名称:ストストの実

 

 分類:超人(パラミシア)

 

 能力:???

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「は、はは、はは……」

 

 笑い声とも、吐息ともとれる声が、勝手に口から漏れる。

 

『ランク:SS』

 

 オレの目はその文字に釘付けだった。

 

 世界でまだ三つしか手に入っていない、最高ランクの悪魔の実。

 

 それが、オレの手にあるのだ。

 

「ストストの実…………まさか、時間停止(ストップ)人間になれる系か? えっ、それって最強じゃね?」

 

 ワンピEWにも悪魔の実図鑑が存在するのだが、そこに載っているのは原作に出ていたものと、すでに誰かが手に入れて食したもののみ。

 

 つまり、Aランク以上の悪魔の実は基本的に全て初出のものになるため、食べてみるまでどのような能力が手に入るかは分からない。

 

 だが、オレは『ストストの実』という名前から、時間停止能力ではないかと推察した。

 図鑑に載っていた『ノロノロの実』の上位互換に当たるのではないかと。

 

 ごくり、と唾を飲み(アバターでは出来ない動作なので、あくまでも気分)、オレはストストの実を口に近づけた。

 

 売れば相当な額になるだろうが、その選択肢はオレにはない。

 

 高ランクの悪魔の実を食べる、その為にこのゲームを長時間プレイしていたと言っても過言ではないのだから。

 

 大きく口を開き、オレはストストの実にかぶりついた、その瞬間────

 

 

 あり得ない異変が起きた。

 

 

「まっず! えっ、まっず!?」

 

 ストストの実はとんでもなく不味かったのだ。

 

 いや、設定通りと言えば設定通りなのだが、そう言う問題ではない。

 

 これはVRゲームだ。

 

 VRゲームで表現することが許されている感覚は、視覚、聴覚、わずかな触覚の三つのみ。

 

 味覚や痛覚、快感などは、VR依存やVR内での暴力的支配などを阻止するため、法律で厳しく制限されているのである。

 

 つまり、味があること自体がおかしい。

 

「げほっ、おぇっ……! あ、あれ、なんだ、めまいが……」

 

 異変はそれだけで終わらず、今度は視界がぶれ、意思に反して体がふらつき、強烈な眠気のような感覚が襲いかかってくる。

 

「く、そ……いったい、なにが……」

 

 次第に遠のいていく意識の中、オレの目の前には能力の詳細が表示された、ストストの実の説明文が浮かんでいた。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 ◇悪魔の実◇

 

 ランク:SS

 

 名称:ストストの実

 

 分類:超人(パラミシア)

 

 能力:貯蔵(ストック)

 

 異空間を作り出し、その中に生物以外のあらゆる物を貯蔵できる。

 また、運動エネルギーや熱エネルギーを保持したまま貯蔵できるため、貯蔵された物質が腐敗・劣化することはない。

 物質の大きさは問わず、体のどの部分からでも出し入れができる。

 

 覚醒能力:???

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

「……時間停止(ストップ)人間じゃなくて……貯蔵(ストック)人間かよ……」

 

 

 その呟きを最後に、オレの意識は闇に閉ざされていった。

 

 

 




気が向いたら続きを書いて更新します。
あとは気が変わったらR-18に方向転換します。
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