俺の名前はハマー・D・エッジ。
襲撃者だ。
上空から、三人の少女が甲板の上で男たちに暴行されそうになってるのを目撃したオレは、即座に宙を蹴って降下した。
その勢いでまず一人を蹴り飛ばして海に落とすと、反動を利用して少女たちの真上辺りまで跳び上がり、周囲に向かって手加減した嵐脚を放つ。
威力を加減したのは男たちを殺さないように……ではなく、船を傷つけたくなかったからだ。
その証拠に、嵐脚を喰らった男たちは船の縁を乗り越えて全員海に落ちている。
能力者なら死ぬだろうし、能力者じゃなくても意識は刈り取ったはずなので死ぬだろう。
甲板に降り立ったオレは、残存する敵勢力を確認するため、見聞色で船の中をざっと調べた。
小さな気配が複数と、やや強めの気配が1つ。
おそらく小さな気配は子供か非戦闘員だろう。
そして強めの気配は、この暴行に加わっていなかった船の乗員だろうか。
敵の戦力を把握したオレは、背後で怯える三人の少女に向き直ると、その場にしゃがみ込んで話しかけた。
「大丈夫か?」
最初は突然の事態に混乱していたであろう少女たちだったか、その中の一人────長く美しい黒髪を持つ美少女は、自分たちが助けられた事を理解したようだ。
「あ、ありがとう、助けてくれて。でも、まだこの船には……」
「分かってる」
少女が最後まで言い切る前に、オレは振り向いた。
そこには、でっぷりと肥え太ったひげ面の男が立っていた。
やや強い気配を放っていた、最後の一人だ。
「てめぇ……俺様の部下たちはどうした?」
「仲良く海へボッシュート」
「ふざけやがってっ!」
部下……というからには、この男が船の船長なのだろう。
怒りの表情を浮かべた船長は、雄叫びを上げながら、手にしたカトラスで斬りかかってきた。
……が、遅い。
その動きは、ゲームの中で億越え海賊団をいくつも潰してきたオレには、あまりにも遅く感じられた。
それに見聞色の覇気によって、どこに攻撃してくるかが丸わかりである。
ちょうどいい機会なので、オレはここでも『ストストの実』の能力を試して見ることにした。
多分大丈夫だとは思うが、念のために剣に当たらないよう身体を移動させつつ『門』を発動。
そして振り下ろされた剣が、オレの『門』に触れた瞬間……
「なっ……!?」
船長が驚きの声を上げる。
船長の手の中から剣が消失し、オレの『倉庫』の中に収納されたからだ。
思った通りだ。
オレの『ストストの実』の能力は、『物体の一部だけ』を収納することは出来ないが、『繋がった二つの物体の一つだけ』を収納することは可能だったようだ。
どういうことかというと、例えば二つの金属を溶接して一つにした場合、それは融合した『一つの物体』なので、引き剥がして片方の金属だけを収納する、というような事は出来ない。
しかしそれが、『二つの金属に穴を開けネジで固定した』物だった場合。
それは『金属1』と『金属2』そして『ネジ』という、三つのパーツで構成されており、繋がってはいても『一つの物体』ではないため、その中からどれか一つだけを『収納』することも可能なのだ。
つまり、今オレが船長の手からカトラスを奪ったように、どれだけ強く握りしめていようが、手から直接生えていたり、身体の一部を変化させて武器にでもしていない限り、オレの『門』に触れた瞬間、その武器を奪い取ることが出来ると言うわけだ。
無人島で考察していたことが、今回の事で実証され満足である。
「て、てめぇ、能力者……がぁっ!」
検証が終了したため、お役御免になった船長は腹パンからの海へドボン。
ロリコンどもに慈悲はない。
サヨナラ!
……さて、後は後ろの少女たちである。
再度オレが振り返ると、少女たちは一瞬、ビクリと肩を震わせた。
まあ、仕方無いよね。
オレが容赦なく男たちを海に放りこんだ所を見てたわけだし、ロリコンどもから助けたとは言え、オレがロリコンじゃないとは限らないしね。
大丈夫、オレはロリコンじゃないよ。
ロリもイケるけど熟女もイケるし、チッパイもイケるけど魔乳もイケるってだけ。
そもそも無理矢理はNGな紳士だから大丈夫。
そんな想いを込めてにっこりと微笑みながら、オレは片膝をつくと、少女たちに嵌められていた手錠を収納した。
そしてその代わりに、手のひらに門を開いて、無人島で収納してあった一輪の花を取り出した。
「可愛い子には、手錠よりも花の方が似合うよね」
そんなキザなセリフを言ってみる。
前世の肉体でこんなことを言った日には、失笑か通報かの二択だっただろうが、今のオレは銀髪イケメンだから大丈夫! ……なはず。
「あ、ありがとう…………///」
黒髪の美少女は花を受け取ると、顔を赤らめながらそう言った。
…………こうかはばつぐんだ!(オレに)
主人公の強さは、現在悪魔の実込みで海軍本部中将程度(中将もピンキリだが)。
今回の人攫い屋たちはザコどもが海軍一般兵レベル、船長がギリ少佐くらいの強さだった。