ワンピース世界でもアイテムボックスはチート   作:布施鉱平

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原作の魔の手

 オレの名前はハマー・D・エッジ。

 

 略奪者だ。

 

 人攫い屋の仲間と思わしき二隻の船を沈めたオレは、ついでとばかりにその船から奪ってきた物資を検分していた。

 

 ほとんどは食料や船の修理道具、資材、武器、弾薬といったラインナップだが、その中に何点か剣呑(けんのん)なものが含まれていた。

 

 まず一つ目は、海楼石の首輪と手錠。

 

 おそらく、商品に能力者がいた場合の備えだろう。

 

 例え力の無い子供を攫っても、万が一その子が悪魔の実の能力者だった場合、能力によっては自分たちが全滅することになりかねないからね。

 

 ……まあ、本来の目的はアレなブツだが、能力者相手には確かに有用なアイテムだ。

 

 ありがたく『倉庫』に収納しておこう。

 

 そして次、これは海楼石の拘束具よりも厄介な代物なんだが…………なんと、悪魔の実があったのだ。

 

 それも、三つも。

 

 オレはゲームをプレイしているとき、よく『悪魔の実図鑑』を見ていたので、悪魔の実についてはよく知っている。

 

 もちろん、この三つの実に関してもだ。

 

 一つは動物系(ゾオン)ヘビヘビの実、モデル『アナコンダ』。

 

 もう一つも同じく動物系(ゾオン)ヘビヘビの実、モデル『キングコブラ』。

 

 そして最後の一つなんだが……超人系(パラミシア)悪魔の実、『メロメロの実』だった。

 

 前二つについては詳しく知らないが、メロメロの実に関してはその能力も、能力者についても知っていた。

 

 そう、何を隠そうオレの嫁であるハンコックが、ゲームの中ではこのメロメロの実の能力者だったのだ。

 

 ということはもちろん、原作でもそうだったのだろう。

 

 どういう経緯で原作のハンコックがこの悪魔の実を食べたのかは知らないが、なんというか、原作の修正力のようなものを感じる。

 

 だって、原作にオレが登場しない以上、オレ経由でハンコックがこの実を食べることなど無いはずなのだから。

 

 オレは悩んだ。

 

 この実をハンコックに渡すかどうかだ。

 

 この実を渡すことによって、もしかしたらハンコックは原作と同じように悪の道に進み、七武海の女幹部になってしまうかも知れない。

 

 だが逆に、オレがこの実をハンコックに渡さないことによって、彼女が危険な目に遭ってしまう可能性だってある。

 

 オレは悩んで、悩んで、悩み抜いた末……結局ハンコックに相談することにした。

 

 もちろん原作云々のことを話すのではなく、単純にこの悪魔の実をどうするかって話だ。

 

 知らないうちにいつの間にか結婚していたとはいえ、ハンコックとオレは夫婦。

 

 こういう大事なことを勝手に決めたりすることが、夫婦間に溝を生み、破局に繋がったりするのだ。

 ラブコメ系のラノベで学んだから間違いない。

 

 で、相談してみた結果。

 

「ふむ……では、この悪魔の実は、わらわたち姉妹が食べることにしよう」

 

 ということになった。

 

 なんでもハンコックは、故郷のアマゾン・リリーで英才教育を受け戦士として選ばれたにも関わらず、人攫い屋にあっさり捕まってしまったことがもの凄く悔しかったらしい。

 

 それに、弱っていたからといって、明らかに格下な男たちに囲まれ、碌な抵抗も出来ずに怯えていた自分が許せないのだとか。

 

 その気持ちは妹のソニアちゃんとマリーちゃん(略称で呼ぶことにした)も同じらしく、三人で強くなることを決意していたらしい。

 

「それにわらわは、ただエッジに守られるだけの女になるつもりはない。わらわは誇りある九蛇の戦士。夫の背に隠れるのではなく、共に戦い、互いに守り合う対等な関係でありたいのじゃ」

 

 腰に手を当て、やや仰け反りながらそう宣言するハンコックは、年下の少女とは思えないくらいに美しく、そして愛おしかった。

 

 惚れ直したオレが衝動を抑えきれずに抱きしめると、顔を真っ赤にして、

 

「こ、これが、子づく……」

 

 と言いながら気絶してしまったハンコックは、とにかく可愛かった。

 

 もちろん、その後実際に子づく……手を出したりはしていない。

 

 そういうのはほら、ね。

 もうちょっと互いに大きくなって、家族計画とかちゃんと話し合ってからにしないと。

 

 親御さんへの挨拶とかもまだだし、オレはそういうところ、ちゃんとしてからじゃないと手を出さないって決めてるんだ。

 

 前世では手を出す相手もいなかったけどな!

 

 ……まあ、オレの下半身事情は置いといてだ。

 

 ハンコックの決意に胸を打たれたオレは、彼女を信じて悪魔の実を三つとも渡した。

 

 もし原作の修正力によってハンコックが悪の女幹部の道に誘われるというのなら、オレが体を張ってそれを止めよう。

 

 それが、オレと対等な関係でありたいと宣言したハンコックへの、オレの決意だった。

 

 そして、ハンコックとソニアちゃんとマリーちゃんは、悪魔の実を食べた。

 

 一番ヤバい能力を持つメロメロの実は、原作通りハンコックが。

 

 ソニアちゃんはヘビヘビの実モデル『アナコンダ』を、マリーちゃんはヘビヘビの実モデル『キングコブラ』を、それぞれ食べた。

 

 やはりオレの時と同じようにめっちゃマズかったらしく、一口囓って顔をしかめていたが、これで三人とも能力者になったわけだ。

 

 もちろん、能力者になったからと言っていきなり強くなれはしない。

 

 能力の強さ=強さではないことは、ゲームの中で嫌というほど思い知っていた。

 

 有名なプレイヤーの一人に『ハギハギの実』っていう、触れたアバターの衣装を剥ぎ取るだけのネタ能力者がいたんだけど、そいつPvP大会の上位常連者だったからね。

 

 というわけで、ハンコックたちに能力の試運転がてら稽古を付けようとしたんだけど……

 

 ……開始十秒で、オレは石にされてしまった。

 

 …………

 

 ……違うんや。

 

 ハンコックが可愛すぎるのが悪いんや。

 

 邪な感情って言うか、ハンコックのことが好きなだけなんや。

 

 オレから能力の説明を受けていたハンコックは、自分の能力が通用したことからオレの感情を察し、顔を真っ赤にしながらもまんざらでもない笑みを浮かべていた。

 

 今後、オレがハンコックには絶対勝てないことが決定した瞬間だった。

 

 

 

 

 






なんかラブコメ要素が増してきたな。
タグにラブコメも入れとくか。

あ、それと、ハギハギの実はゲームオリジナルの悪魔の実なので、実際には存在しないよ。

そして一話しか書かない予定だったジョジョの二次創作、なんか二話目も書いちゃったよ。
せっかく書いたんで、良かったら見てね。
下ネタありのコメディだけど。
https://syosetu.org/novel/318560/
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